片想いだった彼と  by ふりん





 

 彼とは、終わったつもりでいました。お互いに好意があるっていうことは知っていたけど、一線を越えることができないまま。
 数年たったある日、彼から突然の誘い。
 彼は結婚していて、もうすぐ子供が生まれるんだ、なんてそんな話をしていると、「今度会わない?」って誘われました。

 私は何の気なしに、待ち合わせに応じました。好きだと言う気持ちが無いわけでもなく、内心嬉しいなと思いながら。
 彼は別荘を購入したらしく、それを私に見せてあげるよと、別荘までドライブすることになりました。

 別荘はワンルームのこぎれいな建物。
 部屋に入ると小さなソファーに座ってお茶をしました。
 カップをテーブルに置いたとたん、彼が肩をぐっとひきよせました。
 そして、ちょっと照れくさそうに笑って「おどろいてる?」って聞いてきました。
 私もちょっと困ったように笑ってみせました。
 でも、なんだか心地よくて、そのままでいると、ぎゅーっと抱きしめられました。

 抱き返すと、ゆっくり、キス。

 長い間、片想いだった気持ちが、そのとき一気に溶けはじめました。
 彼が好きだと、また、思ってしまって、それからは、迷いが消えました。

 Tシャツの裾から彼の温かな手が肌に触れて、そして腰、胸、・・と愛撫してくれます。
 あぁ・・と声をあげると、彼は興奮したように私を押し倒して、硬くなったものを体に押し付けました。
 下着の中にもぐりこんだ指先が、濡れている部分をまさぐり、私はますます声をあらげて あぁ・・あぁ・・

 彼が全裸になって、私が身にまとっているものをはがし始めます。
 はずかしいよって照れると、わかったといってあかりを消し、そして無我夢中で彼にしがみつきました。

 彼のものが入ると、ますますわれを忘れて あぁっあぁっと叫びます。
 ソファーがミシミシと音を立てる。
 彼の体からうっすらと汗がにじむ。
 彼が動くたびに、体の奥を電気が走るような刺激。
 気持ちいいっ、あぁっ、んっんっあぁっ、ああぁぁー。

 お互いの興奮が冷めるまで、ずっと抱き合ったままでした。

 あれから数日経ちました。
 別荘での出来事は、お互いに忘れられなくて、あの後、2度ほど私のアパートに彼が突然訪ねてきては、夢中でセックスをしました。

 突然です。
 ドアを開けると彼がいて、ちょっと笑いあって、部屋にはいて座ったとたん、押し倒されて、スカートをめくられて、すぐに挿入。
 少し強姦のような強引なやり方ですが、逆に燃えてしまいます。

 もう少ししたら、子供が生まれるっていうのに……。

 彼のことを考えると、いてもたってもいられなくなります。
 明日はドライブに出かけます。
 多分、車の中でか、どこか屋外で押し倒されるのだとおもう。
(一夜限りのアバンチュール体験告白掲示板より 2005/12/01)

 
 結婚をして、子供が生まれる。そんなときになって、かつてほんのりと思いを寄せ合った女性に声をかける……なんて罪作りな男性でしょうか。でも、わかります。子供までできるとなると、なんか閉塞感を感じてしまうんですよね。そこへ、かつて思いを寄せてくれていた女性に声をかけたら、いまだに好いていてくれた。身勝手といえば身勝手ですけど。一方、ふりんさんはそれにくらべるとピュアですよね。ふりんさんにとっては、きっと、「会えるだけでいい。抱かれるだけでいい。見返りなんていらない」っていうことでしょう。

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