狙われた帰宅途上のOL(1)

Novel:峰しずく   Photo:fairy-tale 淫夢  Model:AYAKO

 

 通勤電車も末端区間にさしかかり、乗客もめっきり減った。
 終着駅まであと7駅。座席も7割程度しか使われていない。そこここに空席が目立つ。
 ドア付近にセーラー服の女の子3人が額を寄せ合って何か喋っている。車内が静かなので彼女達も自然と声をひそめている。時折、口元から笑い声が溢れるが、感情をひとしきり吐き出してしまった後は、また元どおりヒソヒソ話が始まる。
 こんな時間まで塾にでも行っていたのだろうか。それともクラブ活動で遅くなったのだろうか。OLの私でさえうんざりするほどの残業をようやく終えて帰路についている時間だというのに。
 セーラー服の3人以外は、車内に動きがほとんどない。
 居眠り、読書、ヘッドフォンステレオに聞きいる、漫然と車内の様子を反射している窓を眺めるなど、ダレた時間をただやりすごそうとしているだけだった。
 その中にたったひとりだけ浮いている男がいた。
 男は膝くらいまである黒いコートを襟を立てて着ている。ボタンはとめずに、身体を絞るように巻きつけている。まるで神経質な女の子が浴衣がはだけないようにしているみたいだ。
 だから襟と襟の間からは顔の中央部分がわずかに見えるだけだ。しかも黒いサングラスに遮られ男の目を見ることは出来なかった。
 男はさらに毛糸の帽子を深くかぶっていた。つとめて自分の顔を隠そうとしているかのようだった。
 11月の半ばという季節を考えればこの服装も不自然ではない。けれどもそれは、この世との接点を極力避けようとしている闇の世界の住人を思わせた。
 車内の誰もがその異様さに気が付いている。
 ターミナルを出発したばかりの時は混雑にまぎれてその男は目立たなかった。すぐ隣に座る者もいたし、前に立つ者もいた。しかし、末端駅に近づき、既に空席のある車内では、もはや男の周囲には誰もいなかった。
 同じシートの乗客はいつのまにか他の座席に移って行ったし、ましてやこの不気味な男の前に立とうなどという客がいようはずもない。

 あたしが居眠りから醒めたとき、その一角にはあたしとその男の2人しかいなかった。ドアとドアの間、通路を挟んだ7人がけのシート。向こう側に男、こちら側にあたし。
 セーラー服3人組も、他の乗客も、その男との接点を避けるべく、場所を離れ、かつ目をあわさぬように注意をしていた。男はただじっとしているだけで静かだった。
 誰かに何かの危害を加えるような気配は感じられなかったが、とにかく不気味だった。

 男は身じろぎもしない。死んでいるのかとすら思うくらいだ。しかし、よく観察すれば肩や胸がかすかにだが規則的に動いている。呼吸をしている証拠だった。
 男の手はコートのポケットに突っ込まれていた。
 前がはだけないようにするためか、ポケットの奥深くにまで手が差し入れられ、腰の上にまでその指先は届いている。
 あたしは目を奪われた。ポケットの中の指先が男の股間上部にまで達しており、微妙に動いていたからだ。
(触ってる・・・)

 コートのために「アレ」の所在をはっきりと確認することは出来なかったけれど、指先の位置からだいたい想像できる。
 あたしの目は男の下腹部に釘付けになった。視線をそむければよさそうなものだが、男の味をタップリと叩き込まれているあたしにそれは無理な話である。車内での公然オナニーを知らぬ振りをしてやり過ごすことなどできはしなっかった。コートの下で男のモノが熱く猛っている様子を想像して、あたしは自分の襞がひくひくするのを感じた。
 あたしが男の行為に気付き、かつそれを嫌悪するどころか興味深げに凝視していることを男に悟られたら、その後どうなるかはだいたい予想がつく。でも、やめられなかった。それでもいいと思っていたのかもしれない。


 指先は根元から亀頭までをゆっくりと往復していた。
 男のソレは既に相当膨張しているらしく、指の移動範囲は広かった。
 ソレがコートを押し上げたりしていないのは、男のモノが元気すぎて腹部にピタリと張り付くほどそそりかえっている証明だった。

 あたしはドキドキした。
 軽く目を閉じ、男の形をイメージした。
 大きくて、太くて、固い。そして、熱い。

 もしかしたらコートの下ではズボンのファスナー外にアレが引っ張り出されているのではないかとか、ポケットの底は破かれていて直にアレに手で刺激を加えているのではないかとか、あらぬことを想像した。

 あたしは男の視線を感じた。黒いサングラス越しなので男の目がどこを見ているのかは定かではないのだが、にも関わらずあたしは男があたしを見ていることを感じ取った。男は腰をずらして顔の位置を低くしている。あたしのスカートの中を覗き込んでいるのは明らかのように思えた。男の目そのものは見えなくても、そういうのは感じるものだ。

 あたしはハッとして足を閉じた。

 居眠りしているうちにいつの間にか股を開いていた。タイトミニのスーツなのでがばっと広がったりはしないけれど、それでもスカートの許す範囲めいっぱいにあたしは足を広げていた。
 足を閉じると、パンティーがあたしの股間に挟まれ、ぐじゅっという音がした。
 静かな車内にあたしの濡れたアソコが発した音が響いたんじゃないかと思うほどの音だった。

 実際には耳に届く音などしなかっただろう。
 あたしの敏感な部分が濡れているのを感じ取って、
 そんな音のイメージを脳内に結んだに過ぎないはずだ。
 なまじ音がしたとしても、電車の走行音は相応に大きい。。

 にも関わらず、あたしは赤面した。
 オナニーの対象にされていると知って濡れ、
 そんなことで濡れている自分に興奮した。
 あたしは目を閉じた。再び居眠りしているフリをした。
 そして、ゆっくりと足を開いた。
 もっと見られたかった。

 ううん、それは正確には違う。あたしを見て男にオナニーされたかったのだ。
 いったん濡れを感じて敏感になったアソコは「ほうら、ますますお汁を漏らしているよ」とあたしに信号を送ってきた。

 薄目を開ける。男の手の動きが早くなっていた。
 もう一度目を閉じたあたしは、コートで隠しているとはいえ、車内でオナニーにふける変態男に、犯されるシーンを夢想した。

 男は立ち上がって、あたしの前にやってきた。
 そして、あたしの横に座る。左右を見渡すが、誰も見て見ぬフリをしている。車内で普通のOLが変態男に近寄られていると気付いているはずだ。

 なのに、誰も何も反応しない。もしかしたら「この2人はもともと知り合いだったのだ」と納得しているのかもしれない。いや、そんなはずはない。だったら、車内がすいてくればすぐに隣に移ってきたはずだ。
 あたしと男の一角から他の人が居なくなって、その後もしばらく様子を伺うようにしてから密着してくるなんて、どう考えたって「あたしを餌食にしようとしている」と判断できるはずだ。
 誰か……、助けて。

 もちろん声に出せるわけが無い。心の中の叫びだ。
 もう一度車内を見渡す。相変わらず周囲は無関心を装っている。
 女子高生3人組はチラチラとこちらに視線を走らせた後、ひそひそと何事か囁きあって、その後隣の車両に移っていった。そりゃあそうだろう。誰だって変態男と関わりたくなんか無い。

 男はあたしの手を取って、コートの下に導いた。
 男のソレはやはり予想通りズボンから出されていて、あたしは肉棒を直接つかまされた。イヤだと思えばすぐに手を引っ込めればいいものの、あたしはなぜか素直にソレを握ってしまったのだ。

「こすって」
 あたしの耳に息を注ぎ込みながら男が囁く。

 これにも拒絶反応はおこらなかった。あたしは男の言われるままに、肉棒を掴んだまま手をスライドさせた。
 亀頭からはねっとりとした液体が溢れている。あたしはそれを指ですくって塗りつけた。それはローションとして実に滑りをよくしてくれた。

「うう…」

 耳たぶに唇を添えながら男が声を漏らす。おそらく半分は演出、あとの半分は本当に感じている。あたしの手淫に感じない男はいない。両手と口を使えばもっと感じさせてあげられるのにと思いながら、それでも片手でできるだけのことをしてあげた。

 ひくひくとあたしのアソコは反応した。
 吸い込み締め付けると評判のあたしのアソコは、Tバックのわずかな布をも割れ目にからめとってゆく。クリトリスが圧迫されて、感じる。
 触っているだけ、触られてなんかいない。にもかかわらず、あたしのクリトリスは勃起していた。
 素肌に直接身に付けたポリエステルのシャツが、固くなった乳首を電車の揺れにあわせてこすり付けてくる。痛いのと気持ちいいのとで気が変になりそうだ。
 あたしの感じるみっつの突起は、タップリ前戯をされたときのように敏感になっていた。

 男の手が背中にまわされ、すぐにお尻に降りてくる。
 あたしのスカートはお尻にファスナーがあり、その上部にホックがある。ホックを外してファスナーを降ろせばあたしは完全に無防備になってしまう。そうしたら男はあたしがいやらしい下着をはいているのを知って、ますますエスカレートしてくるだろう。
 それでなくてもあたしは男に乞われるままに愛撫をしているのだ。この時点で痴漢ではなく和姦である。このあと何をされても文句など言えない。
 文句どころか、あたしは既に感じまくっていた。

 こんなことになるのなら、せめて色気のないパンティーをはいてくれば良かったと思ったが、今更どうしようもない。それどころか逆の想いまでもが同時にこみ上げてくる。
「ノーパンでいたらよかった」と。

 あたしは毎週月曜日と木曜日をノーパンですごしている。大学生風の男が決まってその曜日に同じ電車になる。多分、彼の授業の加減なのだろう。そして彼はいつの頃からか痴漢をするようになった。視線が合ったときに思わず微笑んだのがいけなかったのだ。それ以来あたしは彼と会える日はパンティをはかない。
 それに、持っているパンティといえば、TバックやGストや穴あきなんていう、いやらしいものばかりだ。
(そうか、あたしってスケベだったんだ)と改めて思った。
 この期に及んでパンティだけ取り繕ってもどうしようもない。あたしのこんなエッチな身体は鉄のパンツでも意味を成さないだろう。

 

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