語り部は由美
高校1年生 夏の火遊び(5)





 ふたりが食事に行っている間にわたしは着替えることにした。いったん裸になり、それから何を着ようかと考えているうちになんだか面倒くさくなってしまった。なんとなく頭の中がボーッとしている。
 気がついたら、とりあえずTシャツだけをかぶっていた。パジャマの代わりに持ってた、ピンク色のTシャツだ。標準サイズのわたしのオッパイも、その膨らみがはみ出すぐらい胸が大きく開いている。生地も色も薄いので乳首が透けて見えた。
 ノーブラが前提の胸元のしっかりしたTシャツじゃない。ハーフカップのブラを肩紐なしでつけてから着るとちょうど良さそうだ。でも、どうせ脱がされるのだから、なるべく裸に近い方がいいし、どうせやられるんだから乳首ぐらい見えていてもどうってことないような気がした。見せてあげたい、見られたい。ワクワクする。どきどきする。
 Tシャツはかぶったけれど、あとはどうしよう。下半身むき出しのまま足を伸ばして床にへたり込んでいたのだった。考えるのが面倒くさい。
 ミニスカにするか、ホットパンツにするか。とりあえずパンティーをはこうと立ちあがった。目の前に姿見がある。裾の長いTシャツなので、アソコもお尻も隠れる。でもギリギリだ。しゃがめばお尻が丸見えになるし、足を伸ばして座ればかろうじて陰毛が隠れる程度。でも、水着をつければ大丈夫そうだ。ビキニのパンティーだけを着て、ノーブラのまま、裾の長いTシャツを羽織る。うん、これで行こう。
 そう思ったときだった。美由紀と梓が食事を終えて戻ってきた。
 
「わ、由美ったら、その格好で行くの?」と、梓は少し驚いたようだ。  わたしは慌てて足をギュッと閉じた。やだ、アソコがジンジンする。圧迫感が敏感なところを刺激して、甘酸っぱい気分になる。
  「まさか。着替えてる途中でヘタってたのよ」と、わたしは言った。
「ふーん・・・」
 美由紀はわたしの全身を上から下まで舐めるように見た。
「それ、悪くないわね」
「え? 悪くないって、なによそれ」と、わたし。
「だから、えっちぽくていいって言ってるの。ねえ、みんなでノーパンノーブラで出かけない?」
 美由紀の提案に、「きゃー。えっちい」と、梓は悲鳴混じりに喜んでいる。
「どーせやるんだから、思いっきり男達を刺激してやろうよ」と、美由紀は自分で言って自分で興奮している様子だ。
「そーね。花火するだけだから、バレナイよね」
 梓が不安そうに言った。時として「行きつくとこまで行っちゃえ」みたいな発言をする梓だけど、一方でちょっと尻ごんでしまうところがある。ヤリマンのくせに、「わたしはそこまでひどくないよ」という思いが心の奥にはあるようだ。けれど、梓の実際はヤリマンだけどね。その点、美由紀の方が一貫している。一度決めたらトコトンまで。決してぐらぐらしない。
「バレルよ。花火するだけじゃないんだから」と、美由紀は宣言し、そして付け加えた。「乳首は透けて見えること。いいわね」
「わかってるわよ」と、梓は言った。
 
 それにしても、ひどい。
 短いながらも、美由紀も梓もスカートをはいた。なのにわたしは、Tシャツ一枚のままだ。
「だって、そのTシャツ長いじゃない」
 あっさりとひとことで片付けられてしまった。
「でも、いくらなんでも、これじゃただの淫乱よ。してくださいって言ってるようなものじゃない」
「男の子達は、あんたの淫乱ぽいとこが気に入ったって言ってくれてるんだから、すこしぶっとっんでるくらいでいいのよ」
 そう、わたしは淫乱だ。露出狂だ。スカートをはくなんてすぐに出来ることなのに、結局そのままで外出してしまった。
 わずかながらに風があり、アソコがなぶられてスースーする。既に濡れているので、風が温度を奪うのだった。けれど、アソコは熱い。

 美由紀は3人組を見つけたと言ったが、待ち合わせ場所にやってくると、男の子はふたりだった。
「約束が違うじゃない」と、美由紀。
「ごめんごめん。もうひとり、なんか約束があったんだってさあ。いいじゃんか、楽しくやろうよ。なんなら俺がふたりまとめて面倒見てやるぜえ」
 ゲヘヘヘと下品に笑うその男に、美由紀も梓も「ごめんだよ」という顔をしていた。
 3人組の一人は最初からわたしが目的だったようで、残る2人のうち、「良い方」を美由紀も梓も狙っていたと後で知った。一人の男の子を取り合いするのはあとで気まずくなるので、相手の男の子が選んだらそれに従う、と約束をしていたらしい。「悪い方」と組み合わされたら、断って帰るまで、と決めていたのだそうだ。
 ところがやってきたのは、「悪い方」だけだった。
 それでも表面的には仲良く花火なんかをする。
 そうなると、美由紀も梓も、わたしとわたし狙いの男の子だけのために、時間を浪費しているようなものだ。さっさとお開きにしてあげないと悪いなと思った。食事をおねだりでもして、さっさと花火を終わらせてしまおう。
 ところで、わたし狙いの男の子は、そこそこだった。ずっとわたしに寄り添っていて、しずかにぼそぼそ喋るタイプなんだけど悪い気はしない。淫乱ぽいのがいいと言ってくれたような男の子なのに、ぜんぜんガツガツしているところがなかった。

 彼は、自分のことをトオルと名乗ったあと、「..なんて、呼べばいい?」と言った。
「由美、でいいよ」
「由美、でいいの? 呼び捨てで? 特別な関係でもないのに?」
「こうしてるだけで、もう特別じゃないの」
「そうかなあ?」
「わたしも、キミのこと、トオルって呼ぶから」
「ん」
 彼の返事が「ん」だったのか、わたしが彼に重ねた唇が彼の声を遮ったのか、どっちだったろう。うぶな初恋のような甘い気分にわたしはなっていて、唇を重ねずにはいられなかったのだ。  トオルは少しばかり派手な花火をわたしの胸の前に持ち上げる。小刻みで遠慮がちなフラッシュが、いたずらのようにわたしの乳首をスケさせる。
「オッパイが見えるね」と、トオルは微笑んだ。
 女の子の扱いになれているのか、慣れていないのか、よくわからない。
「改めて指摘されると、恥ずかしいね」
「なんだ、そういうの平気なのかと思ったよ」
「コーフンしてるときは、平気。っていうか、そんな自分に感じちゃうんだけどね」
「ふうん。そうなんだ」
「そうなんだって?」
「由美ってすごくストレートな感じがして好き。女の子って、もっと殻が固くて、成り行きとか雰囲気とか、いろいろ自分に言い訳して、それではじめて感じるのかと思ってた。自分に自分で感じるなんて、すごくエッチだなって思って。まるで男みたい」
「あはは。それはある意味当たってるけど、半分は当たってない」
「なに、それ」
「女の子だってすごくエッチだってこと、だけど、わたしだって今日は特別だし」
「そうだよねえ。そんな格好で学校へ行けるわけないしねえ。まあ、いわゆるリゾートボケしてるわけだよねえ」
 全く、いいように言ってくれる。
 単にエッチに溺れてるだけなんだけど、トオルの論評も100%外れてるとも言いにくいし。
「だって、こっちなんて、ほら・・・」
 トオルはわたしのアソコにそっと触れた。熱く濡れているアソコに。クリトリスをくにゅくにゅされて、わたしはのけぞった。声をだすのは我慢した。小陰唇を指の腹でこすられて、立っていられなくなりそうだ。
 トオルはGパンのそこをはちきれんばかりに盛り上げていたので、わたしはファスナーを下ろしてあげた。
「大胆だね」
「だって、だって」と、わたしは言った。「したい。欲しい・・・」
「だめだよ。友達がいるし」
「そうよね」
 片方の手で花火を持ち、もう片方の手で相手の性器を触る。わたしもトオルもこうして感じあっていた。

「じゃあ、もう私達帰るから、あとはお好きなように」
 美由紀がわたしの耳元でささやいた。
 見ると、「悪い方」の男の子は、とっくに背中を向けていた。以外と潔い性格らしい。
「ねえ」と、トオルが言った。
「なに?」
「どうして、誘いにノってきたの? 僕にあったこともないのに」 
「ううん、なんでかなあ」
 あんまり突っ込まないで欲しいなあ。
 マジに考えられると、ノコノコ出てきたことも、こんな姿でいることも、馬鹿馬鹿しくなるし、自分がアホウに思えてくる。
「なんか、そういうの、白ける」と、わたしは言った。
「どうして?」
「エロエロに迫られる方が、今のわたしの気分に合ってるモン」
「ふうん、女の子でもそうなんだ」
「時と場合によるけどね」
 そう、時と場合による。なんだかすっかりわたしのアソコは乾いていた。
 こんなに近くに男の人がいるのに。
「僕はもっと色々な話をして、それからでないと女の子って、エッチになれないのかと思っていた」
「そういう手続きを踏むのも悪くないわね」
 エッチモードは抜け出してしまったけれど、ナンパって本当はそういうものなのかも知れない、などと思い始めていた。
 色々と話をする。悪くない。こいつのペースに合わせよう。
「ねえ、一度着替えに戻ってもいい?」
「いいけど、僕がキミみたいな女の子、気に入った理由は聞いてるよね」
「スケベっぽいカッコしてたからでしょ?」
「そう」
「うん。でも大丈夫、いつでもさせてあげるから、それより、お腹空いた。何か食べに連れて行ってよ」
「いいよ」
 デートだ。いきなり触りッこするようなヤリ目的の出会いだけど、「2人で楽しむ時間を共有する」ってこともしたくなっていた。恋かも?

 宿に戻ると、「どうして帰って来たの?」と、美由紀が言った。
「これからお食事に連れて行ってもらうの。だから、着替えに戻って来た」
「あ、そう。良かった」
「って、何が?」
「男の子ふたり確保したの。もし由美がふられちゃったんなら、男の子が一人不足するでしょ?」
「大丈夫よ。これからデートだもの。でも、こんな時間によく新しい男の子が見つかったわね」
「宿のお兄さんと、その友達。わたしたちこれから、4pするの」と、梓が嬉しそうに言った。
 そういうのも悪くないなあと思っていたら、外で遠慮がちなクラクションが鳴り、窓から顔を出すと彼が笑って手を振っていた。車で迎えに来てくれたのだ。
「ちょっと待ってね」と、心の中で叫ぶ。  熱中していたエロエロモードから脱して、デートにわくわくする少女に戻っている。
 Gパンとタンクトップを着る。
 美由紀にああだこうだと言われながら、結局下着を付けないままになった。まあ、いいか。脱がされて初めてわかるそういう姿。それも悪くない。
 宿の玄関を出ると、彼は正面に静かに車を付けた。
 車のことはわからないけれど、高級そうなセダンだった。
 トオルはわたしを車に招き入れると、「なんでこんな時間にお腹がすくのさ」
 朝からずっとエッチに夢中で食べるのを忘れていた、とわたしは言った。
 「うわあ、すごいなあ」
 ようやくわたしは彼のことがわかりかけていた。
 男はスケベで、女はそうではない。彼の根底にはそういう先入観があるのだ。
 もっとも女はそういう装いをしているのが普通かも知れないし、露骨にエッチを表現すると淫乱とか変なヤツってことになるのかも知れない。
「ねえ、トオルのことも話してよ」
 わたしはわけもなく甘えてみたくなった。
 耳元で半ばささやくように自分のことを語る男と、そっと寄り添うわたし。そんな構図を思い浮かべて、甘い気持ちになるのだった。
 
 夜の海岸道路、彼はそっと路肩に車を寄せて、止めた。
 まず食事と思いこんでいたわたしは、「なに? どうしたの?」と訊いた。
 トオルは優しく微笑んで、その表情のおだやかさとは裏腹の激しさでわたしの胸をぎゅっと掴んだ。一言も発しないままに。
「きゃあ」
 それはとても唐突だった。まるで誰もいないとはずの茂みの中から手が伸びて、突然そこに引きずり込まれて押し倒された。それに似た恐怖心と興奮と高揚を感じた。もちろん相手がトオルだから恐怖心なんて無い。その分、もうもだえている。
 手のひらや指で最初優しく、それから舌なんかも使ってネットリと、徐々にラブジュースがあふれてきて、そしてやっと「激しくされたい」「むちゃくちゃにしてエ」なんて気分になるのだけれど、それらプロセスを省略されて、それでもわたしはそれに等しい、ううん、それ以上の快感がいきなり身体を支配した。
 わたしのオッパイをいたぶる強さからは信じられないほどトオルはそっとシートを倒した。タンクトップをまくり上げて乳首にしゃぶりついてくる。激しい愛撫に敏感にさせられていたオッパイは歓喜にうち震えた。
「ああ、あん、いやあ、感じるゥ」
 思わず叫んだ。叫ばずにはいられなかった。お腹の底から快感が沸きあがってきた。
 何が何でもセックスやりまくりの熱は醒めていたはずなのに、今のわたしはそれ以上に上り詰めようとしているのがわかる。自分の身体なのに、コントロールできそうもない。
 トオルの唇が胸から離れ、徐々に下がってくる。触れているのかどうかわからないほどの、わたしの肌とトオルの唇の微かな感触と、ねっとりと押しつけるように這う舌のバランスが、身体の奥から恍惚を引きずり出す。
 Gパンのファスナーがおろされ、掌が滑り込んできた。
「やっぱり思ったとおりだ。ノーパンだ」
「いやあ、わざわざ言わないで」
「それに、ドロドロになってる」
「トオルのせいじゃない」
「いいよ。その顔。あどけないくせに、思いっきりやらしくて」
 うん。みんなそう言ってくれる。でも、セックスはあどけなくないでしょ? みんな、男の人が悪いのよ。わたしをこんな女にしたのは、わたしを通り過ぎていった男達。
「学校でも、外でも、いやらしいことばかり考えて濡らしてるんだろ。何も知りませんって顔をしながら、ノーパンでジュースを垂らしながら、まってるんだろう?」
「ひどいこと言わないでエ」
 そんなことしたことない。でも、本当はしたかったのかも知れない。
 いつも誰かに触られていたい。感じていたい。濡れていたい。
 トオルの舌がどんどんアソコに近づいて、クリちゃんをキュッと吸われたとき、わたしの身体はぴょんとはねた。
 なに? いまの?
 ぴょん、ぴょん。
 もうアソコだけを触られている気がしない。身体中が感じている。。。。心も。
 欲しい。これが欲しい。
 わたしはトオルのペニスをぎゅっと掴んで、激しく擦った。いつだったか、誰かに教わったように。

 ああ、ああ、ああ、ああ。
 もっと、もっと、もっと、もっと。

 もだえ狂った女の声が聞こえると思ったら、わたしから発せられたものだった。いつから?
 いつからわたしはこんな風に叫んでいるのだろう?
 わからない。なにもわからない。
 ただ、快楽の渦に飲み込まれて、底まで引きずり込まれるだけ。底だと思ったら、空中を激しく舞っている。

 気が付いたら、彼のペニスをしゃぶっていた。
 気が付いたら、彼の上に乗って腰を振っていた。
 気が付いたら、おしりの穴を舐めあっていた。
 気が付いたら、四つん這いのわたしに彼が覆い被さっていた。
 気が付いたら、足を開き、指でアソコを開いて彼に見せていた。
 気が付いたら、後部座席にふたり向かい合わせに座って足を投げ出し、はめたまま笑いあっていた。
 気が付いたら、、、、、
 気が付いたら、しっかりと抱き合っていた。
 気が付いたら、、、、、わたしは眠りから覚め、車は終夜営業のファミリーレストランの駐車場に入るところだった。

「さ、服を着て。何か食べよう」と、トオルは言った。
 時計は11時52分だった。
「もう少し待って。わたし、今日は男の人しか食べないことにしているの」
「え?」
 わたしはトオルのズボンの上に手を置いた。
 そして、ファスナーをおろしてペニスを引っぱり出した。小さくしなだれていたそれはわたしの手でぐんぐん大きく固くなった。
「お腹空いた。たっぷり出してね」
 わたしはとびっきりのフェラチオをしてあげた。
「わたしには触らないでね。何もしないで。ただ、わたしがしてあげたいの」
「うん」
 トオルは体を反らして腰を浮かせていてくれた。
 チンポの先からおしりの穴まで丁寧に舐めた。何度も何度も往復した。ペニスから唇が離れるときは手でマッサージをした。
 もう出るよ、とトオルが言うので、わたしは深くペニスをくわえた。
 そして左手を玉に添えて指先でおしりまでのラインを何度もなぞりながら、どうしてそんなことをしようと思ったのかわからないのだけど右手の人差し指をトオルのアナルに差し込んだ。
 トオルは嫌がらなかった。
 車の中が他の車のライトに照らされて急に明るくなり、クラクションが鳴らされ、また暗くなった。
 トオルの中で、わたしは指を曲げたり伸ばしたりした。
 トオルはうめき声を上げながら、腰を振った。ううん、振った、といより、ぎこちなく動いた、という感じ。
 いっつも入れてもらうばかりだけど、男の人の中にはいるのも悪くない。喜んでくれるのなら。
 わたしが2本目の指をねじ込むと、わけの分からない声を発して、トオルはわたしの口の中に射精した。
 飲み込むのが間に合わないくらい大量の精液があふれてくる。
 ゴックンゴックンと喉が鳴る。とてつもなくいやらしい音に聞こえた。
 わたしは唇で彼の棒をしごいて最後の一滴まで飲んだ後、舌で彼を綺麗にしてあげた。
 わたしの胃や腸で彼のものを吸収して、それがわたしの身体の一部になると思うと、嬉しくてどうしようもなかった。

 好き。
 どうしようもなく好き。
 今までにあった誰よりも、彼が好き。

 食事を終えたわたしは、彼に送ってもらって、いったん宿に戻った。部屋には美由紀も梓もいなかった。きっと乱交の真っ最中なのだろう。
 わたしは置き手紙をして、帰りの電車までずっと彼と一緒にいると伝えた。
 何人と出来るかなんて、もうどうでも良かった。
 幸いトオルとその友達は別々にホテルの部屋を取っていた。
 結局わたしは電車の出る1時間前までトオルと交わっていた。

 夏の饗宴は終わった。
 あんなに好きだと感じたトオルとも、あれから2回ほどあっただけだ。1回は夏の日を確かめ合うように、ほとんど1日中エッチばかりしていた。2回目はデートらしくお出かけをした。わたしは恋する少女のようにウキウキと、映画を一緒に見て、ご飯を一緒に食べて、ウインドーショッピングをして、ゲームセンターで遊んで、それからラブホテルに入った。でも、どうしてわたしとトオルはラブホテルにいるんだろうと、ふと疑問に思った。抱かれたいほど好きだとは感じなくなっていた。夏の海でセックスに夢中になっているときはあんなに好きだったのに、今はそうじゃない。もしかしたら1回目のデートのときのように、エッチなことだけしていたら好きでいられたかも知れないと思った。どうやらわたしたちはセックスだけの間柄だったようだ。そういえばトオルもデートの間中、それほど楽しそうな顔を見せなかった。セックスだけがしたかったのかな? ううん、そうじゃない。彼は彼なりに、わたしを楽しませようとし、自分も楽しもうとした。けれど、出来なかったのだ。
 彼はその不満をぶつけるように、激しくわたしを突いた。気持ち良かったけれど、幸せな気持ちにはなれなかった。それは彼も同じだったらしく、それ以来、わたしたちはどちらからも連絡をしていない。

 そして、ツケが回ってきた。
 美由紀が妊娠していることがわかった。わかっていたことなのに、私達は誰も避妊なんかしていなかった。美由紀はひっそりと子供をおろした。
 梓はもともと不順気味だったせいもあるけれど、美由紀の妊娠がショックだったのか、生理が来なくなって青くなった。妊娠はしていなかったけれど、次の生理が来るまで半年かかった。
 わたしはあの後すぐに生理が来たけれど、誰かから病気をうつされていた。