メール

 

 

 会社には制服がある。
 ジャケット、ベスト、スカート。
 シャツは何を着てもいいことになっているけれど、白かまたは薄い色の襟の付いたカットソーが定番。
 そろそろ女子社員はベストも脱ぎ始めていた。
 もうノーブラではいられない。
 あたしはハーフカップのブラを用意した。本来は乳房の見える胸元が大きく開いた服を着るときに、ブラがはみ出さないようにするためのアイテムだ。

 あたしはデスクワークをしながら、乳首をはみださせてやった。
 最初は誰も気が付かない。
 でも、やがて、少しづつ……。
 社内メールで、先輩の女子社員Pさんが注意してくれた。
 けれど、向かいに座ったK君の視線をもっと浴びたくて、しばらくはそのままにしていた。

 やがてPさんとふとしたはずみに目が合った。Pさんはパソコンを指差して、あたしに何か合図をしている。
 メールを送ったから、読んで。
 そういいたいのだとわかった。
 あたしはパソコンに向かい、そしてメールチェックをしたフリをしてから、胸元を直した。
 Kくんのがっかりした表情がおかしかった。
 一度注意されていながら、2度3度と乳首をはみ出させるのはいかにもバカだから、この日はこれで打ち止め。

 にもかかわらず、時々思い出したようにK君がこちらを見た。


 そろそろまたRさんに会ってみようか。

 

もどろっか

それとも、先に進む?