ロシアンルーレット

敗 者 復 活 戦

 

22.

 自分の股間からピチョプチョと液体が戯れる音がする。
 祥子は音をたてないとフェラチオ出来ないのだろうか。それとも、「舐めてますよ、舌を這わせてますよ」と主張するために、わざとそうしているのだろうか。あるいは、無意識のうちにそうしているのだろうか。

 音などあったってなくったって、性器への口唇愛撫が気持ちいいのは当然だ。そう思ってから真也は、いや、音も大切だな、と考え直した。股間に顔を埋めていとおしそうに性器をしゃぶる祥子の様子が、耳からも伝わってくるからだ。

 真也の性器は快感と興奮に包まれている。なのに、思考だけは妙に冷静だなと真也は自分で自分のことが可笑しくなった。

「う!」
 祥子の舌先が真也のツボに触れた。
(真也はここが気持ちいいのよね)
 そう言いながらミコが執拗に舌をこねまわす部位だ。
 真也の反応に敏感に反応する祥子。

「ここが、いいんでしょ。見つけちゃった」
「あぅ……」

 声を我慢することは出来るが、男の声を聴かせることも女を悦ばせるコツだ。夢中になってヨガるようなことはさすがにしないが、「男が声を出すなんてみっともない」などとはこれっぽっちも考えない真也である。
「イキそう?」
 上目遣いに真也を見る祥子。その間も、咥えたままだ。

 祥子は高校3年生。男とセックスすることだって、子供を生むことだって出来る年齢ではある。
 既にたくさんの経験を持ち、女としての歓びを知っている子もいれば、まだまだ縁のない子もいる。そういう年代だ。

 真也が最初に感じた祥子へのイメージは、どちらかといえば後者だった。それも、幼い、成熟していない、というのではない。セックスに興味を向ける暇などないくらい、ずっとずっと夢中になれるものを彼女は持っているから、と真也は感じていた。
 それほど祥子の走る姿は、まばゆく輝いていた。

 彼女のイメージは、男とまぐわうためにネットリとアソコから湧き出してくる粘液ではなく、スポーツに熱中して流す汗。

 ふと、「清純」という単語が脳裏に浮かんだ。いやしかし、そのイメージは正しいのだろうか?
 真也は思う。スポーツや勉強に熱中することだけが清純ではあるまい。
 恋愛にしたって、「清純」というフレーズが用いられる。

 じゃあ、清純な恋愛ってなんだ? セックスが介在しなければそうなのか?
 違う、と真也は思った。
 清純、とはまっすぐなことだ。よこしまな気持ちや打算がないことだ。
 なら、今の祥子の行動だって、そうだ。
 雰囲気に流されているとしても、その場限りの恋愛だったとしても、それはそれで清純なのだ。

「イキたかったら、いってもいいよ」と、祥子は言った。
 言葉を発するために、唇はいったん真也のペニスからは離れている。それはちっとも不自然ではなかった。なぜなら、祥子はただ咥えるだけのフェラチオを施していたのではなかったからだ。このとき祥子は、真也のモノを横咥えにして、根元から先端部分にゆっくりと何度も往復させているところだった。低音部から高音部へ、そしてまた高音部から低音部へと、ハーモニカの音色を連続的に移動させるように。

 祥子は息を吸っていただろうか、それとも吐いていただろうか。ハーモニカの場合、それによって紡ぎだされる音の種類は異なる。トランペットやサキソフォンのように、吹くだけの一方通行ではない。そういえば、他にハーモニカのような楽器ってあったかな、などと真也は考える。

「飲みたい?」と、真也は訊いた。
 精液を飲みたがる女がいるのは確かだ。
 言ってから、(女子高生に言う台詞じゃないな)と思った。そして、それもまた違うなと自らの意見を否定した。
 性の成熟度と年齢は比例しない。
 おそろしいほど幼い中年女もいれば、娼婦顔負けのティーンエイジャーだって存在する。

(でも、それも男次第かもな)
「好きな味じゃないけど、飲んで欲しかったら飲んであげるよ。しゃぶっておいて『中に出さないで』なんてつまんないこと、あたし、言わないから、安心して」
 祥子はどうやら、真也の発射が近いと勝手に想像したのだろう。最大限に張り詰めた真也の性器がひくひくと震えるのを感じ取れば、そう思うのは無理もない。祥子は先端部分を口に含もうとした。

 真也が長時間にわたって射精をコントロール出来ることを祥子は知らない。このまま出してしまうことも可能だし、一度や二度の射精で萎えるような真也ではなかったけれど、やめておくことにした。

 理想を言えば、男も女も同時にイクことだろう。しかし、セックスとはそれが全てではない。自分はオルガズムとは遠い位置に居ても、フェラチオで男を射精に導いたら、それが喜びになる女もいる。
 しかし、男が出せばそれでセックスは終わり、と心得る女性も少なくない。
 真也は祥子にまだ挿入さえしていなかった。身体の隅から隅まで味わってすらいなかった。自分だけたった一回射精して、終わってしまったんではつまらなすぎるし、祥子にだって申し訳ない。

 でも、自分本位なセックスしかしない男とばかり運悪く巡りあわせてしまった女性は、男性がイクことでその行為を終わらせてしまう。あるいは、男が満足することで自分も満足することが習い癖になっている。
 祥子がどういうタイプの女性かはわからないけれど、「あら、出したのね。はい、終わり」なんてことになったらたまらない、そう真也は思ったのだ。

 真也は祥子の肩に手を添えて、唇がペニスに接近するのを抑えた。「どうしたの?」と目で問う祥子。
「もっと、キミのこと、よく見せて」と、真也は答えた。
「え? やだ……、恥ずかしい……」
「知ってる? 男は女に恥ずかしいことをさせるのが好きなんだ」

「そうね。言われてみると思い当たることがあるわ」
 祥子はいくつかの出来事を思い出すように、視線を天井に泳がせた。

 祥子は布団から出て、立ち上がった。ストーブに火が入ってから、そこそこ時間が経過している。室内は十分に温まっていた。身体を求め合って高揚した二人には、裸でいても平気な温度にまでなっている。

 真也は耳を澄ませた。
 おばあさんの就寝前の楽しみはもっぱらテレビである。その音声は真也の部屋までも微かになら届く。だが、テレビの音が聞こえなければ、とっくにおばあさんは眠っている。一度眠れば、朝まで起きないはずである。
 階下からは物音ひとつ聞こえない。
 これで祥子に集中しても問題ない。
 真也はあらためて祥子を見た。

「綺麗だ……」
「バカ……、まじまじと見て、何言ってるのよ」

 照れもある。恥ずかしさもある。真也の視線に祥子は戸惑った。
「バカじゃないよ。本当に綺麗だよ」
 ストーブの赤い火が、祥子の半身を照らす。残りの半分も天井からの照明でくっきりと部屋の中で浮かび上がっている。四肢は健康的に日焼けをしているが、そうではない部分はまるで透き通っているかのようだ。ストーブに面した部分は、赤く映え、艶かしさと清純さが同居している。
「もう、知らない……」

 裸の女性はとにかく美しい。そういえばこれまで真也は、美しくない裸体を見たことがない。どんな腕のいい芸術家だって、女性のふくよかで繊細なカーブを造形することは不可能だろう。
 真也はゆっくりと祥子に近づき、抱きしめ、キスをした。長くもなく、短くもないキス。舌を差し入れたり、テクニックを労したりしない、ただ純粋で熱いキス。

 唇が離れた瞬間、祥子は真也を抱きしめた。そうしなければ、自らの身体が崩れ落ちそうだったからだ。
 そして、耳元で囁く。
「やめてよ、そんなとろけるようなキスをするの。本物の恋人にしかしないようなキス、しないで……」
(キスに本物も偽者もない)
 心の中で呟きながら、真也はもう一度唇を重ねた。
 続けて何かを言おうとしていた祥子も、もう諦めたみたいだった。体重を真也に預け、ゆっくりと口付けに応じた。

 真也は布団の上に祥子を横たわらせた。そして、おでこから始めた唇と舌での愛撫をゆっくりと下に向かわせる。瞼も耳たぶも、鼻の頭も丁寧に通過する。祥子が感じやすいタチなのはもうわかっている。真也のうごきのひとつひとつに、祥子は感応した。

 最初の頃の単調な「あん、あん」という喘ぎ声ではない。
 その時々の官能に応じて、喉から発せられる声色は微妙に変化した。
 今から思えば、あの単調な「あんあん」は無意識ながらも「声を出したら男の人って悦ぶから」という祥子の中の思い込みが、条件反射のように紡ぎだしていただけなのかもしれない。

 声になったりならなかったり、息が混じったり混じらなかったりする今の喘ぎは、大きくなったり小さくなったりしながら、祥子の身体を素直に表現している。
 首筋から、胸へ。

「すご、感じる……、あん、ああ〜ん、うあああ……、気持ちいい。気持ちいいよおぉ〜」
 甘ったるい声を出しながら、祥子の手はシーツをきつく握る。かと思うと、その手が宙を泳ぎ、真也の背中に乗せられる。掴もうとして、けれど、シーツのようにはいかず、仕方なく爪を立ててしまう。真也にとっては心地よい痛さだ。

 肌に傷が付くほどの力が入った瞬間、真也の背中から祥子の手は離れる。
 宙を彷徨ったり、真也の身体の一部に触れたり、そしてまた離れたりしながら、やがて祥子は真也の腕に辿り付く。
 ここなら遠慮なく握ることができる。

 もちろん祥子はそんなことを考えたりなどしていない。バラバラにされてしまいそうな電流が身体を走り抜けていくのを、真也の腕をつかむことで耐えているのだ。
 けれど耐える一方で、さらなる快感が訪れるのを待ち望んでいた。
「なに、これえええ〜〜〜。気持ちよすぎるのお〜〜〜」

 自分がどれだけすばらしい状態にあるのか、それを真也に伝えようと祥子は必死だった。
 真也の愛撫によって自ら作り出した海の中に埋没してしまいそうだ。
 真也の尖らせた舌先が、さっきからわき腹とお臍の辺りを行ったり来たりする。
 たまにそれが足と腹の境目や恥丘にさしかかる。腰がぴくんぴくん跳ねた。

 せめて指だけでも割れ目に這わせて欲しい。そんな想いが足をゆっくりと広げさせる。けれど、官能の波が押し寄せるたびに、太ももに力が入って足をギュッと閉じてしまう。
 くちゅ。
 自分自身が収縮しているのを祥子本人も自覚していた。その都度、搾り出されるようにジュースが飛び出してくる。
 洪水だ。

 祥子は何度も「お願い、入れて、お願い、もう入れて」と叫びそうになった。
 こんなに感じたのは初めてだった。この状態でひとつになれば、今までに味わったことのない快感に包まれるのがわかっていた。
 けれど、そう叫ばなかったのは、なぜだろう?
 挿入さえしなければ、真也の愛撫が永遠に続きそうに思えたからだ。この至福の愉悦をいつまでも享受していたかったからだ。

 ピタリと閉じたデルタの頂点に真也の舌先は到達していた。
 けれど真也は無理にこじ開けようとはしなかった。
 快感の波に翻弄されている祥子をまるで弄んでいるかのようだった。

 祥子の右手は真也の腕ではなく、真也の本体をつかんでいた。太く、硬く、いきり立っていた。これまでに色々なそれを握ったりしゃぶったりしている祥子だが、真也のものがどの程度なのか、これまでの経験と比べることすらもう出来なくなっていた。わかるのは、それが自分を新しい世界へ導いてくれる偉大な存在であることだけだ。

 真也の動きのひとつひとつをとりこぼすまいと、祥子の身体は最大限に感応しやすくなっていた。神経のひとつひとつが研ぎ澄まされていた。でも、ただされるがままになってもいなかった。祥子は右手の意思を集中させて、握った真也にありったけの快感を注ぎ込んだ。

 それが自分の中に差し入れられた後のことを思うと、いとおしくてならない。
 むしゃぶりつきたい衝動を抑えて、とにかくされるがままの状態を維持する。
 そして、イキそうになるのを我慢した。
(挿入もされてないのに、イッてたまるもんか)
 限界は超えていた。けれど、その先に未知の領域がある。真也の絶妙の愛撫がそれを教えてくれる。イッてしまえばその時点から快感曲線は下降へと移る。まだまだ上昇するのがわかってて、それを止めることは出来なかった。

 同年代の男とのセックスで、「早くイッて」とか「早くイカセテ」などと思ったのは、それが未熟なセックスだったからなのだと思い知らされた。
(もっと、もっと、もっとお〜〜〜)

 ストーブの中には十分な灯油が入っていなかったらしい。火が消える直前の、中途半端な燃焼時に発生する不自然な異臭が漂ったかと思うと、煌々と燃えていた火が少しずつ消えていった。紅く色づいていた鉄のネットが徐々に黒味を帯びてくる。
 灯油の買い置きはない。部屋の温度は徐々に下がってくるだろう。けれども、真也は窓を細めに開けた。換気のためである。
 風は吹いていないようだ。だから、部屋の中に寒風が差し込む、ということはなかった。けれども、ふうわりと冷たい空気がそよぎこんできて、真也の頬を撫でた。

 それは寒くはなく、むしろ心地よかった。身体が火照っているせいだと真也は思った。

 振りかえると、祥子は布団の上に、半ば崩れたような正座の状態で座っていた。布団を胸元まで持ち上げていて、股間とバストは隠れている。けれど、それだけだ。お尻から腰にかけてのカーブは布団には覆われていない。そのような状態で、祥子はじっと真也を見つめていた。

 祥子の視線の先にあるのは真也だけである。他の何者をも見ていない。そのことは、真也にはよくわかった。けれど同時に、祥子は何者をも見ていなかった。祥子は真也を見ていたけれど、見ていない。真也を捕らえようとしているけれど、していない。呆然としてただ真也のいる方向を向いているのではないのは真也にもわかっている。祥子は網膜全体で真也を補足していた。というより、祥子の目に映るのは真也だけであった。だからこそ、凝視する必要などなかったのである。

「ねえ、ひとつになろうよ」
 祥子は言った。
「ねえ」ともう一度祥子は真也に呼びかけ、そして付け加えた。

「あたし、感動してるの。エッチって、ただ気持ちいいだけじゃないのね。それがわかったの。もちろん、気持ちいいんだけど、それ以上に、なんだかすごい……」
 真也は「そうだね。ひとつになろう」と言って、窓から離れて祥子に近づいてゆく。
「小野さん、あたしのこと、すごく大切に扱ってくれてるって、わかるんだ」

 真也は祥子のはす向かいに座った。そして、祥子の肩に手をかける。
「今までの男の子って、ただセックスしたいだけだったんだね」

 真也は祥子の言葉には何も返事しなかった。そのかわり、肩に載せた手にそっと力を入れる。祥子は力のベクトルに応じて、ゆっくり身体を傾ける。
「男の子だけじゃないわ。あたしだって、そう。男の子に求められるのが嬉しかったんだ。で、エッチなことしたら、気持ちいいし。でも、小野さんの方がものすごく気持ちいい。比べようもないくらいに」

 ふたりは布団の上に横たわった。
 祥子がまだ何か喋りたそうだったので、真也は唇を塞がなかった。そのかわりに乳首にキスをした。
「ん、あ! 感じる……。ものすごく感じるの。これまでにないくらいに。怖いくらいよ」

 真也は乳首を唇で軽く挟んで、先端部分を舌でまさぐる。
「あ、ああ……。どうして、こんなに感じるのかしら。……ううん、わかってるの。わかってるのよ、ホントは。小野さんに愛撫されてはじめてわかったんだけど……、んあ、は、は」
「何がわかったんだい?」
「セックスって、身体と身体が会話することなのね……」

 真也は唇の位置を胸から下腹部にむかわせる。ミコとのセックスでいつもしているように。その間、相手の身体を優しく包むように掌はボディのどこかに置いている。力を入れるでもなく、かといってただ載せているのでもなく、産毛をなぞるかのようにゆっくりと動かしている。

 確かにセックスは身体と身体の会話だな、と真也は思った。
 最近のミコとのセックスは挿入して腰を振ることよりも、こうやって長い間まさぐりあっている方がメインだ。
 そうか、これは身体同士が会話をしていたんだ、と真也はあらためて実感する。それを確認するように、肌の表面を優しくなぞった。

 真也の動きに呼応して祥子は吐息を漏らす。無声音がほとんどだが、時々その中に有声音が混じる。官能を示す激しい喘ぎではないが、真也には祥子がどんどん上り詰めているのがわかった。体温の上昇、脈拍の増加、そしてとろけるような表情。最高に淫靡で、最高に美しい。
 この時の祥子は、スポーツ少女でもなく、女子高生でもない。まるで無垢な天使。あるいは、セックスに取り憑かれた魔女。

 しっかりと閉じていたはずの両足は力なく開き、肌の表面がざわめきたつ。祥子自身はその変化に気づいていないはずだ。ただただ真也に身を任せている。しかし手は真也の本体を握り締めている。いとおしいものを離すまいとするように力がこもっている。大きさと硬さを確かめるように撫でまわす。そうしながらも指先からは微妙に振動を伝えてくる。

 真也に気持ちよくなってもらおうとか、そういう意識はおそらく働いてないだろう。
 大切でいとおしいその部位を手にし、自然とそうしているのだ。

 暖房器具が機能を停止してどれくらいの時間がたったろう。換気のために開けたまどもそのままだ。かなりの空気が入れ替わっているはずだったが、寒いとは感じなかった。
 真也の指はついに祥子の敏感な場所に差し掛かった。
 ぐっしょりと濡れていた。コップの水を何杯もこぼしたかのようだ。祥子はずっとずっとラブジュースを流し続けていたのだ。

 ミコはこんなに濡れない。興奮していることがわかる程度には潤うが、一定の状態を維持して、多量の愛液を吐き出し続けるなんていうことはない。そのかわり、タップリと愛し合った後、ひとつになるぞというそのときになって、一気に溢れ出す。何度も何度もセックスを繰り返すうちに、ふたりのペースというものが出来上がって、身体がそれにあわせて反応しているのだと真也はそう理解している。
 それにくらべて、祥子は……。
 いつ、挿入されてもいい状態を保ち続けていたのだ。これまで祥子を抱いた男たちも、そして祥子自身も、性器そのものの擦れあいこそがセックスだったことを物語っていた。

「ひとつに、なろう」と、真也は言った。
「うん」と、祥子は答えた。
 けれど、真也はコンドームを持っていなかった。機会があれば買うつもりでいたが、まさかこんなに早く機会が訪れるとは思ってもいなかった。

 一瞬の躊躇が祥子に伝わった。
「そのままで、いいよ」
「でも……」
「お願い、そのままで」
 出すのを我慢して、何度かイカせてやるしかないか。で、適当なところで抜いて、外に射精すればいい。
「ねえ、は、やく、」

 乞われるままに真也は膣の入り口にペニスをあてがった。ニュルリと吸い込まれるようにして、二人はひとつになる。蜜壷からはジュースが押し出されて、グシュっと音をたてた。
(すごい)
 腰を突き出した真也は、祥子のヴァギナに驚いた。祥子のそこは吸い込むだけではない。ピタリと張り付き強烈な摩擦で刺激を与えてくる。
 しかも、タップリの愛液で滑りがよく、そのくせひっかかりが多いのだ。
 大きく膨らんだカリの部分だけでなく、ペニス全体を包み込んで離さない。俗に言う名器だ。

 真也は自分自身が普段のセックスよりも遥に怒張しているのがわかった。それは祥子の締め付けによる錯覚だけではない。祥子の膣が素晴らしく、真也の限界を超えてその能力を導き出しているのだ。我慢するのには慣れていたし、ノーサックなのである程度は我慢しなくてはならないと決意していたけれど、真也は力の限り腰を振らずにはいられなくなった。

「ああ、くる、くる、いやあ〜〜。奥までくる〜〜。あん、あん、うああ〜〜ん」
 全身をバネのようにのけぞらしながら、祥子は激しく悶えた。
「もっと、もっとお〜〜。激しく、はあ、はあ、はあ、……突いて突いて突いて〜〜!!」

 祥子は半ば白目をむきながら、それでも喘ぎ続ける。快感の雫を一滴たりともこぼすものかと、貪欲に真也の攻めを受け入れていた。
「いく、いく、もういっちゃう。もっともっと、早く早く早くうううう。お願い〜〜。イカせてえええ〜〜〜」

 叫び声は表まできっと聞こえていただろう。
 破裂寸前にまで膨張したペニスが、狭くなった祥子の中を押し広げる。
 先端が何度も何度も祥子の子宮口に叩きつけられる。
「う、うう、出、出そう……。これ以上は……」

 思わず呟いた言葉を祥子は聞き逃さない。
「お願い、一緒に……」
「でも」
「いいの。中で出して。思いっきりよ、ねえ、思いっきり。そうしたら、あたしもイケるから」

 もうどうでもいいと真也は思った。避妊もしていないし、安全日の確認もしていない。この状態で射精したら、大量の精液が噴出するだろう。しかも、子宮口のすぐそばで。
 でも、もう何も考えられなかった。

 祥子の穴の振動が激しくなって、真也は中でもうわずかさえも動かすことが出来なくなった。力の限り締め付けてくる。祥子の膣はあきらかに痙攣を起していた。その振動は、祥子の肉体がある限界点を超えて発生するいわば肉体的な悲鳴ではなく、男を射精に導くために細胞の中に染み込んでいる本能によって行なわれていた。

 

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