運命の人  by 春馬





 




 話は長くなります。幼なじみで家も隣で同じクラスに好きな子(実咲)がいました。
 いいにくいですが、僕は結構、放課後などに告られていましたが、付き合うということはありませんでした。
 その好きな人に告白するということもなく、相手から告白されるのを待っているという状態でした。
 彼女も結構もてていて学年のアイドル的な感じでスタイルも良かったです。

 僕と彼女の距離が縮まったのは、小5の夏休み少し前のある事件がきっかけでした。クラスの子の筆箱が盗まれたという事件が起きました。
 丁度、体育見学をしていた実咲が疑いわれました。
 それから女子にいじめられるようになりました。

 ある日、その現場に通りかかった僕は無視しようとおもいましたが、なぜか本能なのか助けにいきました。
 彼女は、モップで叩きつけられたりごみ箱に押し付けられたりされていました。

「おい! 筆箱返せよ」
「貧乏で筆箱も買ってもらえないのか?」(結構、貧乏だったそうです)
「きったねぇな〜雑巾で拭いてやろうか!?」

 僕は「や、やめろよ。証拠もないのにいじめるなんてひどいぞ!!」と、言いました。 「証拠あるじゃねぇか。見学してたっていう証拠がね!」
「でも、本人は持ってないじゃないか!」

 すると、担任が「こらぁ〜〜〜〜!!」と、注意しました。
「うぁっ、センコーだ。逃げるぞ」
 いじめっ子達は逃げました。

「大丈夫?」ときく担任に、実咲「は、はぃ……(泣)」と、答えました。
「本当に盗んでないだよね?」
「はぃ……」
 担任は「春馬くんありがとう。また何かあったらいってね」と言って去っていった。

「大丈夫か?」
「う、うん。ありがとう」
 それから筆箱は見つかり、いじめっ子達が実咲がもててることに嫉妬して仕組んだことだとわかった。
 実咲がいじめられることもなくなり無事解決した。

 その日の帰り道、実咲は「今日は、ありがとう」と、僕に言ってきた。
「お、おう」
「あ、あのさぁ〜」
「何?」
「ま、前からさぁ〜」
「う、うん……」

 このとき、僕の心臓は張り裂けそうなぐらいドキドキしていた。
「す、すぅ、好きで、そのぉ〜、付き合ってください!」
 僕は言葉を失っていた。
「ご、ごめん。いきなりすぎたね」

 沈黙がつづいたが、ついに僕も言った。 「ぼ、僕も前から好きだったんだ。付き合おう」
「う、うん!」

 それから、夏休みになりよくデートをするようになった。実咲の家に行ったり僕の家に来たり祭りに行ったりと楽しい一時を過ごしていた。
 小学校卒業までは……。
 その日から僕を避けるようになった。話しかけても無視をする。あんなに仲が良かったのに。

 そう思い帰っていると実咲がいたので、思い切ってはなしかけてみた。
「最近、どうした? 具合でも悪いのか?」
「……」
「しっかり話してくれよ!」
実咲は「今は話せない」と言って家の中に入っていった。

 次の日、親友(ケンジ)が「おまえら最近喧嘩でもしたのか? 俺たちは順調だがな!」
「わからないけど、避けてるんだよ」
「俺のハニーに聞いてもらおうか? 親友だし」
 すると、ケンジの彼女(りか)が「わかった! 聞いてみる」と、引き受けてくれた。

 数日後、りかが報告してきた。「なんか、お父さんの転勤で引っ越すらしいよ。さびしいね」
「気を使うくれてるのか」

 そして、卒業式の日、実咲と帰ることになった。
「黙ってて、ごめん」
「いんだよ。しょうがないことだし」
「私、絶対忘れないし、戻ってくるし、誰とも絶対付き合わないから〜!(大泣)」
「僕も絶対忘れない。絶対戻って」
「う、うん!」
 そして、ファーストキスをした。

 中学生になり友達も増え、告られるのもかわらず、勉強もまぁまぁ。だけど、何かが足りなかった。
 中3になり、小さいころからやっていたhiphopの上手いクラブが近くにある高校に入ることにした。寮生活なので、みんなと離れることになった。

 受験は合格。中学を卒業した。高校に入学した。
 その日の夜ケンジからメールがきた。
[実咲が戻ってきた! 俺の高校に入学した。]

 思いもよらぬ知らせだった。嬉しくてたまらなかった。夏休みに実家に戻ることにした。
 夏休み、久しぶりにケンジ達と会った。そのなかに実咲がいた。抱き合った。
 今、ケンジ達は結婚し、僕と実咲も結婚した。これからは、失った中学3年間を取り戻した。
(中高生の恋愛告白掲示板より 2011年1月17日 )

 
 う〜ん、いい話ですねえ。いじめ事件は、昨今世間を騒がせている悪質なものではなく、嫉妬から出たつまらない悪戯、ほんの一時のことだったんだろうけれど、その時の春馬君の行動が、彼女の心を動かすきっかけにもなり、その後、別れた後も思い続ける糧になったのかもしれませんね。

 
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