真由美の相談4   by たにぐっち その4





 

 それでね、それから一ヶ月は、デート出来なかったの。彼と私の都合がことごとく合わなくって。
 でもね、彼は私に会うのが怖くて、嘘ついてたみたいなの。
 私の生理が来なかったのよ。私、妊娠検査薬買ってきて試したら陽性反応でたから、彼に電話したの。
 産婦人科行くから付いて来てって。
 そしたら、彼は、「え?僕なの?」って言うのよ! 信じられる?!
 私言ってやったわよ。「あなたとしかエッチしてません。」って。

 そしたら、彼が逆切れして話し始めたの。私のエクスタシーの瞬間の出来事を。
 要するに、自分は危ないと思って抜こうとしたら、私が、「まだいかないで。」って懇願したっていうのよ。
 それで、私がちゃんと絶頂が迎えられるように頑張って我慢して、最後の瞬間に抜こうと思ったら、今度は私が両足を巻きつけてきて抜けなかったっていうの。

 たぶんそれで、最初の半分ぐらい私の中に射精しちゃって、残りの半分がふとももの上に出たんじゃないかって。
 私のせいだって言うのよ。私思わず泣いちゃった。
 絶頂の瞬間に私がそんなこと言ってたなんて思いもよらなかったし。そんな自分に悔しいやら情けないやら。

 で、彼と一緒に産婦人科行ったら、見事妊娠してて。やっぱり私泣いちゃったら、彼が結婚しようって言ってくれて。
 それで出来ちゃった婚は、めでたしめでたしってことになるんだけど、めでたくなかったのは、その後の夫婦生活のこと。
 彼ね、やっぱりなかなかいかないのよ。
 妊娠中で激しいセックスは出来ないんだから、セックスでいかせるのは無理だって説得したら、それはわかってくれたんだけど、それでも彼はなんとかいかせて欲しいっていうの。
 私いろいろ努力したよ!

 アダルトビデオ見てフェラチオの練習したり、素叉っていうの? あそことふとももの間に挟んだり、バックスタイルであそこに手を当てて、その間に挟んであげたり。
 でも、どれだけがんばっても三回に一回ぐらいしかいかせてあげることできなくて。
 彼には、出産して元気になったら、またあの時みたいなセックスさせてあげるから、それまで我慢してね。って言い聞かせたりしてたのね。
 で、無事あの子を産んで、もうセックスできるかなって頃になったら、彼がとにかく毎晩求めてくるの。こっちは、子育てで夜もろくに寝てないんだから、元気なんてあるはずないのに。

 私も疲れてるせいもあったかもしれないんだけど、あんまり濡れなくなっちゃったのね。
 それで、挿入されても痛みが勝っちゃって。彼がピストンするのが苦痛になっちゃったの。やっぱり彼をいかせてあげることが出来なくなって。
 そしたら、彼なんて言ったと思う?
「出産したら、あそこがゆるくなったな。」ですって。
 私悩んだわよ。泣いたわよ。こんなにセックスてつらいものなの?
 いまでも毎晩彼が求めてくるのよ。もちろん、コンドーム着けるといかないからって、いつも生で。

 私、彼との間にもう子供は欲しくないの。こんな自分勝手でセックスのことしか考えてない彼と、一生夫婦生活続けていく自信ないの。
 それで、彼には内緒でピル飲んで避妊してるのよ・・・。

 彼は、毎晩セックス求めてくるけど、さすがに私体調崩してね、それで彼にお願いして二日に一回にしてもらったの。
 でも、彼は三回に一回ぐらいしか射精できなくて、欲求不満が続いてるみたい。
 ねえ? 26才の男だったら週に一回ぐらい射精できれば十分でしょ? どう思う?
 それに私のあそこって、ほんとにゆるいの? 私とエッチしても気持ちよくなれないの?

 彼女はまたここまで一気に話すと、俺の顔を覗き込んできた。
 俺は答えに困った。26才で週一回? それはきついだろ〜。俺だったら二日に一回ぐらいは射精したいぞ〜。
 しかし、これは口に出せなかった。とにかく真由美の相談に優しくのってあげる作戦なのだ。
 それに、彼はなんで自分の手でしないんだ? 俺は週に一回は自分でしてるぞ〜。
 しかしこれも今は言わないほうがいいだろう・・・なにか気の利いたことを言わなきゃ・・・

 真由美? よく聞いてね。
 君はとってもいい奥さんだと思うよ。こんなに献身的に彼に尽くしてる奥さんの話聞いたことないよ。
 真由美きっと頑張りすぎなんだよ。セックスって愛情が必要でしょ? 真由美、自信なくしてるだけなんだよ。
 君みたいないい女、他にいないと思うよ。ちょっと歯車噛み合ってないだけなんだよ。

「じゃあどうすればいいの?」
 真由美は、さっきとは打って変わってしおらしく聞いてきた。
「一緒に考えよ。一つ一つ解決していけると思うから、俺に任せて。」
「谷口くんはそう言ってくれるけど、男の人って愛情より、セックスしか頭にないんじゃないの? うちの主人なんて・・・。」

 また真由美が黙ってしまったので、少し話題を変えて、俺自身のことなんかを話してみたりもした。すると突然真由美が、「ねえ、谷口くんも私とエッチしたかった?」と聞いてきた。
 俺は落ち着いて、「もちろん、したかったよ。でも真由美は、エッチ抜きでも十分魅力的で、友達として付き合ってるだけでも満足だったよ。」
「でも、口でいかせてあげたことあったよね?」真由美が意地悪なこと言い出した。
「はい。あの頃は若くて、大きくなっちゃったあそこは、射精するしか元に戻す方法がなくて・・・。」
 おどけて頭を下げる俺を見て、真由美の顔に少し笑顔が戻ってきた。

「ふぅ〜ん。じゃあ、いまは大きくなってもちゃんと元に戻るんだ〜。」
 真由美が唇とんがらせて話し始めた。昔からの、ご機嫌なときの真由美のおどけかただ。
「はい。いまはずいぶん大人になりましたから、理性で元に戻すことが出来ま〜す。」俺もおどけて答えた。
「じゃあ今日ミニスカート履いてきても、襲われる心配はなかったのね。」
 真由美がかわいく言う。しかし俺としては微妙な心境だね。

「谷口くんと話してると楽しいっ。 ねえ、これからも友達でいてくれる? もっと相談にのってくれる?」
「もちろん! ずっと友達でいられそうだね。」
 彼女が右手の小指を突き出してきたので、二人でおどけながら指切りした。
 まあ作戦の第一段階は成功だね。

 その後、フェリー乗り場と反対側の岸壁に行き、二人で海を見ていた。100メートル間隔ぐらいでカップルが並んでいた。
「昔は30メートルぐらいの間隔でカップルが並んでたよね? ここ人気なくなったの?」彼女が残念そうに言った。
「今日は平日だからだよ。」
 俺の答えに彼女は笑いながら手をつないできた。一時間ほど、そんなとりとめのない話をしていた。
 この岸壁のどのカップルよりも、幸せそうに見えるよな。勝手に俺は楽しんでいた。ほんとに楽しい時間だった。

 帰りの車道、真由美のあの詳細なエッチ描写の相談は、ほんとは俺を誘ってたんじゃないのか。もっとてっとり早く真由美とエッチできたんじゃないのか。
 そんな思いが浮かんできたが、いや、今日は第一段階だ。焦ると一回きりの遊びの関係になってしまうかもしれない。
 もっと末永い、より良い不倫関係を築くんだ。と自分を納得させていた。
 今日一旦勃起した俺を、思い止まらせたのは理性ではなくて、作戦の成功を確信したからなんだね。

 真由美の車を停めたパチンコ屋まで帰ってくると、彼女がピョコンとお辞儀をしながら話し始めた。
「今日は誘惑してごめんなさいでした。谷口くんに抱かれたら、ストレス発散できるかな、とか思ってたんだけど、エッチな話いっぱいして、悩みもいっぱい聞いてもらったら、いま不思議と明るい気分になりました。また今度もエッチ抜きで会ってくれますか?」
「もちろん!」
 明るく返事をしながら、ひょっとして作戦は失敗したのか? と、考え込んでしまう俺様でした。

 真由美を降ろしてから、例の佐藤の職場に寄ってみた。
 佐藤は、「どうだ? 兄弟! 進展はあったか?」と、聞いてきたので、「だめだ、真由美には振られた! あの話はなかったことにしてくれ・・・。」
 がっくりした表情で報告すると、佐藤は残念そうに肩を落として去っていった。

 悪いな佐藤、真由美は俺の大事な友達だ。
 俺のクラス委員の任期の間に、きっと「目下の恋人(もっかのこいびと)」にしてみせるぜ。
(心に残る最高のエッチ告白掲示板より 2004/09/30)

 
 お、おい。ちょっと待ってくれ。本当にそれでいいのか? 誘惑してゴメンナサイ、なんて彼女が言うんだから、そう、これは明らかに失敗だぞ。エッチしたかったんだよ、真由美さんは。もちろん、焦ってここでしなかったことで得るものは大きい。しかし、それは友達として、だ。ひとつのタイミングを逃したことは確かだ。もしかしたら、思い出のフェラチオも、彼女にとっては「それだけで終わらないで」だったのかもしれません。次のタイミングは逃さずに頑張ってくれ。

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