約束の場所は君のために
(6)輝きは心の中に





 プラットホームは淋しげだった。
 長くて重厚な印象を与える夜行列車が身を横たえているだけで、人通りというものがほとんどない。
 隣のホームでは通勤電車が発着し、わずかな停車時間にたくさんの人が吐き出され、そして乗り込んで行く。
 夜汽車のホームに人影が少ないのは停車時間が長いのと、そもそも利用者が少ないからだろう。
「心配しないで」と、ユキちゃんは言った。
「心配なのは、キミのお母さんだよ」
「大丈夫よ。一週間もすれば良くなる」
 ユキちゃんの母親が入院することになり、そのかわりに彼女が実家に帰って家族の面倒を見ることになった。
「浮気...」と、ユキちゃんが言葉を漏らす。
 しないでね、と言われるのかと思えば、「したかったら、今のうちにね」だって。
 僕がユキちゃん以外の女の子と寝るのが平気なわけはないだろうけれど、彼女はそのことを「浮気」とすら思っていないのだと、僕はわかりはじめていた。僕にはユキちゃんしかいない、そのことを彼女は知っているのだ。
 もちろんユキちゃんは、僕のことを信用なんかしていないと思う。ただ、僕にとって最終的にはユキちゃんしかいない、そのことを知っているのだ。
 それはとてもはかなく淡い繋がりのように思えた。
 傷を舐めあうように、僕とユキちゃんは惹かれ合っている。決してポジティブな仲じゃない。
 だから僕は他の女の子と機会があるごとに寝てしまうのだ、と言えば、言い訳だろうか?
 ユキちゃんを見送った後、僕は部屋に戻った。
 すぐに眠りについたものの、何度も目が覚めた。目が覚める度に、隣に誰もいないことを思い知らされる。
 最近はほとんどひとりで眠ることはなかった。ユキちゃんが隣にいて、手を伸ばせば届いたのだ。
 朝になり、やはり僕は完全にひとりだった。
 小林でも呼ぼうかと思った。彼女とはもはやセックスフレンドである。お互いに異性の身体が欲しいときに連絡を取り、都合が付いたら会って抱き合う。ただそれだけだ。他には何もない。
 キャンパスですれ違ってドキドキすることもなければ、微笑み合うこともない。知らないフリをすることで、僕たちのセックスフレンドという関係は成立していた。誰にも知られてはいけない。
 少し迷った末、僕は小林に電話するのをやめた。
 この部屋はユキちゃんと僕との巣だし、小林とはあふれんばかりの性欲を携えてグチャグチャのセックスをするのが常だった。今はそこまでたまっていない。
 でも、何となく、女を抱きたい。
「自分から声なんかかけたらダメよ。そこまでもてないんだから。でも、自分から誘ってくるような女ならいい」と、小林は言った。
 そんな女、そう簡単に見つかるだろうか?


 それで思いついたのが、伝言テレホンである。
 週刊誌の広告から適当なものを選んで、電話をかけてみる。
 使った分だけ料金後払いだとか、Q2回線を使って電話料金と一緒に料金を払うとか、あらかじめ振り込みをするとか、色々な案内があったが、クレジットカードからの引き落としで支払う方法を選んだ。
 女の子のメッセージを聞いて相手を選ぶ方法と、自分で伝言を録音して返事を待つ方法があるとのことだが、僕はもうさっさと相手を決めてセックスをしたかった。
 誰でもイイ、という心境だった。でも、誰かがイイ、とは思えなかった。特定の相手、という関係になるのが嫌な自分に気が付いた。特定の相手はユキちゃんだけで十分だ。小林もひょっとしたらどうでもいい存在になりつつあるのかも知れない。
 女性からのメッセージは主婦の浮気願望が多かった。平日の昼間、というせいもあるのかも知れない。
 結婚している人となんて、と最初は思ったが、さほど年齢の離れていない人もあるし、メッセージを聴いていくうちに、「いかにもオバサン」という声の人と、「若々しく可愛らしい」伝言の二通りに綺麗に別れていて、後者なら悪くないなと思った。
 一通り伝言を聴いて、もういちどはじめに戻ると、新しいメッセージが入っていた。すごく刺激的だった。
 それは次のような内容だった。
 わたしは一流企業のOLです。もちろん一流なのは企業であってわたしは生身のエッチな女。わたしはミニスカートがとても好きで、男の人は一緒にいるととてもそそると思います。会社ではユニホームなのでつまらないから、通勤の時とかデートの時はいつもミニスカートで男の人の視線を感じています。こんなわたしとデートしてくれませんか? スカートがとっても短いので、盛り上がったらそのまま入れるのもアリのようにしておきます。
 それって、つまり、ノーパン・ミニスカでデートということか?
 なんでもいいや。
 メッセージを聴いて、その人とおしゃべりしたければ、「1」を押して下さいというアナウンスが流れたので、そのようにした。
 しばらくして、「つながりました」のテープ音の後に、彼女が出た。
 今更、と思ってしまったのだが、何を喋っていいのかわからない。
 彼女は「こんにちわ」と言った後、年齢とか身長といったことを質問してきて、いつの間にか雑談になった。
 仲のいい女友達との会話のような感じだった。
 電話の目的が目的だから、どちらからともなく随所にエッチな話題が挿入される。
 今から思うと、彼女が録音していたメッセージは不自然な口調だった。原稿があるわけではないだろうが、あらかじめ「こんなことを喋ろう」と決めておいて、それを思い出しては確認しながらメッセージを吹き込んでいたのだろう。
 それに比べると、全てがアドリブの会話ははるかに自然だった。
 僕たちは会う約束をした。
 待ち合わせ場所に現れた彼女は、さほど極端な格好をしていたわけではなかった。黒のタンクトップに黒のミニスカート。普通にしていればスカートの中を覗かれることもなさそうだ。彼女の中で妄想がどんどん膨らんでいっているだけのようである。
 だけど、ピタリと寄り添われて「そそるでしょ」と囁かれれば、確かにそそる。
 僕たちは少しだけ喫茶店でおしゃべりをした後、ホテルに向かった。
 相変わらず彼女は僕に寄り添っていて、そそるでしょとか、そのようなことばかり聞いてくる。おちゃめな笑顔にいたずらっぽい視線で。僕が「うん」と答えると、「どれどれ」とか言いながらズボンの上から触ってくる。
「ううん、半立ちかな?」
「君はどうなんだよ」
「もう、ヌレヌレ。触ってみる?」と、僕の手を取った。
 このテの興味で彼女の頭の中はいっぱいなのだ。彼女はいやらしい妄想にとりつかれていて、いつもエッチなことばかり考えているに違いない。僕はそう判断したので、もう一切遠慮することはないと思った。
 おしりの方からスカートの中に手を滑り込ませる。
 あ、やっぱりノーパンだ、と思ったのは早合点で、Tバックをキュウッと食い込ませていた。両サイドから秘肉がはみ出していて、既に蜜がしたたっている。優しくなぞると彼女は歩くスピードを緩めた。
「あ、声が出そう」
 声が出ることをヤバイと思っているときはこんなことを言わない。本当は声を出したいのだ。
「出せばいいじゃないか」
 僕は指に入れる力を少し増やし、今までよりも早めに指先をこすりつけた。食い込んだTバックの横から指を這わせ、一番感じるところを直接愛撫する。
「ああ、感じルウ」
 実際感じているのだろうけれど、演技も入っているようだった。演技と言っても男を喜ばせるため、ではなくて、徐々に雰囲気を盛り上げようと無意識のうちにやっているのだ。
 僕たちは、ホテルに入るなり抱き合い唇を重ねた。久しぶりに逢った恋人同士が空白の時間をなんとか埋めようと努力するような長い抱擁だった。
 伝言テレホンに電話してくるような女の子、という先入観があったけれども、おしゃべりをして、そして抱き合えば彼女は普通の女の子だ。服を脱がしてみれば心にまとった飾りまで取り払われるのか、本当に普通だった。
 他の女の子とあえて比較するなら、ひとつひとつの行為が長かった。
 ねちっこい、というのとは違う。大切なものを丁寧に慈しむみたいな長さだった。
 舌を絡ませたキス。僕の口の中を全て味わい尽くすような舌の動きに、顔中が性感帯にさせられた。
 ベッドの上で横になりながら身体を密着させていると、僕の背中にまわされた彼女の手は何度も何度も往復した。
 足を交互に絡ませて、太股でお互いの感じる部分に振動を与え合った。
 それから僕たちはシックスナインの体制になった。
 彼女は僕のおしりの穴からペニスの先まで丁寧に舐めて唇を這わせた。何度も何度も。
 僕も割れ目にそって舌を動かしてあげた。前後に往復しながら、時々深く差し込んだ。
 暖かくて優しい液体に満たされた泉にゆっくりと沈んでいくような快感を彼女は僕に与えてくれた。僕の全てを包み込んで行く。ふんわりと全身が溶けていく。
 彼女の指が、舌が、唇が、腕が、胸が、足が、どのように僕に触れているのかもはやはっきりとわからないくらいの、穏やかで深い快感。
 「気持いいよ」
 思わず口から漏れた言葉。
「わたしも。とても気持いい」
「どうして欲しい? 何でもしてあげる」
「じゃあ、口の中に出して。飲みたいの」
「いいよ」
 彼女は体を起こして、僕のをくわえた。
 その舌使いといったら!
 さっきまでの快感を深くするしゃぶり方とは違う、射精に導くための技巧だった。
 極端に激しいことをしないから気が付かなかったのだけれど、彼女はセックスが上手だ。
 僕はアッという間に放出させられてしまった。
 その後も彼女は舐め続けさほどの時間をおかずに勃起に導かれる。
「ねえ、何回ぐらい続けて出来るの?」
「ううん、3回ぐらいなら平気。...足らない?」
「そうじゃないの。生で入れたいでしょ? 全部出した後だったらかまわないから。あと2回ね」
「全部出してしまったら、もう立たないかも知れないよ」
「大丈夫。わたしが何とかしてあげる」
「じゃあ任せるよ。でも君は? まだ一回もイッてないだろ?」
「あら、わかんない? わたし、もうイキまくってるよ。ずーっと、イッた状態だよ。声とかあんまり出さないけど、ずっと昇り詰めているよ」
「なんか、それって、すごくない?」
「男の人にはすごいって言われるし、わたしがこんなんだって知ってる女の友達には羨ましいって言われる。特別みたいね、こんなの」
 僕は乞われるままに、一回は彼女の顔にぶちまけ、もう一回はアナルの中に放出した。
「もうダメ? もうたたない?」
「立たないかと聞かれたら、まだ、立つけれど」
「じゃあ、まだナマ入れはダメ」
 僕はお預けを食わされた犬の気持が理解できそうな気がした。
 お風呂に少しぬるめのお湯をはり、ドボドボとシャンプーを放り込んでたっぷり泡立てた。その中で僕たちはお互いの身体をまさぐり合う。
 泡のお風呂はとても気持ちよかったし、彼女も色々してくれたけれど、射精には至らなかった。
「もう、このまま入れよっか」と、彼女。
「いいの?」
「ん、ま、いいや」
 僕は湯船の中に座り、その上に彼女がゆっくりと腰を落とした。挿入をじっくりと味わうように。
 ペニスの先が子宮口に押しつけられると、彼女は豹変した。
 それまで彼女がインサートを要求しなかったわけが、入れてみて初めてわかった。
 彼女は「ずっとイッていた」と言ったけれど、にわかにそれよりも激しく感じ始めたのだ。
 我を忘れたように腰を振り、歓喜の叫び声を間断なく発する。
 愛撫を続けていたときのようなふんわり包み込むような快感から一転して、激しく突きつけるような刺激に変化する。
 指を入れたときからは想像できないほど彼女は僕を締め付けてきた。
 後できくと、「わたしは2段階でイク」とのことだった。触られているときと、入れられているとき。
 人が発したとは思えないえげつない叫び。
 彼女はもう僕には何もしてくれていない。本能に任せて結合部の摩擦に専念しているだけだ。
 僕は後ろから彼女の胸に手を回し、ぎゅうっと力任せに何度ももんだ。
 腰を中心に全身を揺さぶり、獣のような声を発する彼女。彼女とつながった部分から僕の全身にとろけるような恍惚が巡り、血が逆流したような錯覚にさえなる。
 僕はぐんぐん昇りつめ、「あ、出るよ、でちゃう」と、彼女に告げた。
「わたしも、イきそう。ね、一緒に」
「いいの? 中で出しても?」
「いい。出して。お願い」
 僕たちは二人とも快楽の泉の底で、一番の贅沢を享受した。
 挿入してしまうと自分を制御できなくなる。わけがわからなくなる。だから、出し尽くした後で入れて欲しかったの、と彼女は言った。


 セックスの後、僕たちはシャワーを浴びて、それから部屋のソファーに座って冷蔵庫から出した缶ドリンクを飲んだ。
「わたしのこと、どう思う? 変じゃない?」
「うん、少し変わってるかな」
 僕は正直に言った。
「よね。色々な人としたけど、ずっと男の人だけが満足して、わたしをここまで充足させてくれる人って、いなかった」
「ふうん」
「ねえ、時々でいいんだけど、また、逢えない?」
「あ、でも、僕には...」
「誰か決まった人がいるのね? まさか、結婚しているとか」
「結婚はしてないけど」
「私から連絡していい?」
「いいけど。一人暮らしだし。でも、時々、彼女が泊まりに来てるから」
「うん、注意する。女の人が出たら、何かの勧誘みたいなフリするから。だから、電話番号教えてよ」
「君のは教えてくれないの? こっちからは連絡できない?」
 正直言って、僕はユキちゃんに絞りたかった。たとえセックスフレンドという割り切った関係であっても、それは良くないような気がしたのだ。こっちから連絡するということにして放置すれば、それで関係は終わらざるをえない。
「ごめん。わたし、結婚してるから」
「え、ええ?」
 思わず僕は叫んでいた。
 そういえば、伝言ダイヤルではやたらと「結婚しています」なんてメッセージが入っていたなと、思い出す。
「隠すつもりはなかったんだけど、何となく言いそびれてて」
「いや、それはいいんだけど」
 別に僕は、そのことで騙されたとか、嘘をつかれたなどとは思っていない。ただ、生涯のパートナーを見つけておきながら、どうして他の人と付き合いたいとか、抱かれたいとか、思うんだろう?
 僕はそれらのことを質問してみた。
「そりゃ、理由は色々あると思うの。出張とか単身赴任とかで寂しいって言う人もいるだろうし、夫婦仲が悪くなってしまってる人もいるだろうし、ダンナとのセックスだけじゃ満足できないって言うのもあるかなあ。たまに違う男とエッチするのがストレス発散になる人もいるだろうし。でも、そういう具体的な理由が存在するのはむしろ少数派だと思うな。実のところ、心の中では、ドキドキするような恋愛をいつもしてみたいって思ってるのよ。結婚したらそういうのが無くなるってことじゃないのよ。でも、結婚っていうのは生活そのものじゃない。生活するというのはシビアだし、甘くないし、そっちが優先されることの方が多いのよ。そのことに不満があるのじゃなくてね、なんていうか、わかってはいるんだけど、時々落とし穴にはまりこんだように『味気ないなあ』とか『艶が欲しいなあ』とか思うのよ」
「じゃあ、結婚してる人はみんな浮気をしたがってる?」
「みんなとはいわないけど、かなり多くの人がね。実際にするかどうかは別よ」
「結婚している人の方がナンパしやすい?」
「それはどうかな。相手にもよるよ。悪いけど、君はやめといた方がいいよ。一声かけられて付いていきたくなるタイプじゃないもん。でも、上手く言えないけれど、自分から声をかけるタイプの女の人には好かれるよね。大丈夫よ。黙ってたら君に抱かれたい女なんて、いくらでもいるとは言わないけど、君が欲求不満にならない程度にはいると思う」
 前にも同じ事を言われたなと。
「そんなことを考えずに、電話番号教えてよ。誘ってあげるから。もちろん都合が悪ければ断ってくれていいのよ」
 結局、僕は連絡先を教えることになった。
「君と彼女の仲を壊すようなことしないから、安心して。わたしだって、同じ立場だし」
 そういえばそうだ。
 この人との関係も、小林との仲も、ユキちゃんにばれることはない。ようは、僕の気持ち次第なのだ。「こんなことしてていいのか?」ということである。
 別れ際に、彼女も電話番号を教えてくれた。
「平日の昼間だけよ。わたしとセックスしたくなったら電話してきて。もしダンナが出たら、百科事典の勧誘をすること。いい?」
 彼女はメモに電話番号を書き真田祐子と名前を添えた。
「祐子...」
 僕は彼女を初めて名前で呼んだ。


 ユキちゃんが帰ってきた。
 彼女が実家に行ってから10日間経っていた。その間に僕は小林を1度、祐子を2度抱いた。
 ユキちゃんは自分の下宿には戻らずに直接僕の所へ来たのだろう。大きな荷物を持っていた。
「家の方はもういいの?」
「うん。もう大丈夫。落ち着いたから」
 そう言って、ユキちゃんは僕に力一杯抱きついてきた。
「ねえ。抱いて抱いて。ずっと、電車の中とか、ずっとずっと、抱かれることを考えてたのよ。わたし、エッチでしょ?」
「うん」
 僕たちは長い間、服を着たままでお互いに抱きついていた。
 唇を重ね、舌を絡め合った。
 ほんの一週間ほど離れてただけなのに取り返しの付かない長さだったようにも思えた。
 僕はやっと気が付いたのだ。他の女達とユキちゃんとの違いを。
 小林や祐子とは逢えない時間が長くても平気なのだ。でも、ユキちゃんにはずっと側にいて欲しい。ただそれだけの違いだ。
 小林を部屋に呼ばなくて良かったと思った。言い訳がましいけれど、外で何があってもこの僕の部屋だけは、僕とユキちゃんの場所なのだ。
 僕はユキちゃんの服を脱がせ、自分も裸になった。
 ユキちゃんのアソコは洪水のように濡れて開いていた。
「いつから?」
「だから、ずっとだってば」
「がまんしてたの?」
「毎日オナニーしてた。浮気もしちゃった。ごめんね。我慢できなかったし、昔の彼にあって誘われちゃったの。怒らないでね。恋愛感情はないんだけど、その人のことは今も好きなの」
「怒らないよ、そんなことで」
 僕は本当に怒るというような感情を持ち合わせていなかった。嫉妬もない。
「この子も浮気したでしょ?」と、ユキちゃんは僕のペニスを握り、口に含んだ。
「よくわかるな」
「わかるわよ。わたし、男の子いっぱい知ってるんだよ」
「そんなもんかな?」
「そうよ。そのおかげで今までさんざん気持のいいことしてもらっておいて」
「まだまだ足らないよ。もっともっと気持のいいことしてくれないと」
「うん」
 ユキちゃんは愛おしそうに僕のを頬ずりした。
「今日はいっぱいしてね」
 僕は祐子とのセックスですっかり長時間の交わりに慣れていた。今日なら何度でも射精できそうな気がする。


    了

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