少 年

第2章 春合宿 その1

 わたし達、石原中学女子ソフトボール部は3学期の授業を終えると、すぐに春合宿をする。3年生は既に引退しているから、わたし達2年生が最上級生としてその準備を進める。
 一方1年生は、3年生が引退しようとしまいと、相変わらず「下級生」であるという意識が消えない。わたしもそうだったから、気持ちはわかる。その意識を変え、新一年生を受け入れる準備をする、というのが春合宿の表向きの目的だ。
 でも、真実はそうではない。1年生たちの処女を奪うことだ。
 彼女達はこの1年間のクラブ生活で、女子ソフトボール部の裏の実態をうすうす感じている。先輩たちの奔放な、そして乱れたセックスが、彼女達の口から表に出る可能性が高くなる。だから、彼女達も巻き込んでしまうのだ。自分の口からはとても話せないような体験をさせる。セックスへの多少の興味はあったとしても、好きでもない人と経験させられてしまう1年生達。最初は、「汚れた」だの「汚された」だの悩んだり落ち込んだり、罪の意識にさいなまれたりしてしまう。でも、やがて女の悦びにうちふるえる。悦びは日々大きくなり、セックス無しではいられなくなってしまう。しかもそれは、ソフトボール部に所属するからこその恩恵であると教え込む。
 これが、このクラブの伝統だ。

 わたしも受けた、1年前の洗礼。
 4泊5日間の合宿で体験した男の数が12人。
 先輩のボーイフレンド達に次々廻された初日の夜。わたし達の上級生は9人。そのうちボーイフレンドがいたのが7人だった。あるいは、わたし達が7人だったので、その人数に合わせたのかもしれない。
 布団をいつつも敷けばいっぱいになるような部屋に、わたし達7人は集められ、そこに先輩が9人、さらにそのボーイフレンドが7人。
 厳しいトレーニングでヘトヘトになっているわたし達は、その薄暗くされた部屋でなにが行われようとしているのかなどと考える余裕は無く、ただひたすら自分の部屋に戻って眠ってしまいたいという欲求だけに支配されていた。
 わたし達は先輩の彼と交互に円座に座らされ、その後ろにわたし達を取り囲むように先輩たちが立っていた。

 真中に引きずり出されたのは、幸絵。
 床に転がされた幸絵は両手両足を先輩たちに押し付けられて身動きできないようにされて、先輩のボーイフレンドの一人に上に覆い被さられる。唇を奪われ、胸を揉まれる。いやいやをしようにも身動きが出来ない。叫び声は口を手でふさがれて遮られた。
 ジャージ姿の幸絵はあっという間に裸にされた。



 わたしはその光景に、硬直して動けなくなった。
 でも、「いやああ!」と叫んで、その場に立ち上がる同級生がいた。
 だが、隣にいた先輩のボーイフレンドに両脇からガッシリと掴まれた。
 京子は逃げ出した。けれど、先輩に足首を掴まれてひっくり返った。
 そのままジャージを引っ張りおろされ、下着に手がかかる。そこに先輩のボーイフレンド二人が踊りかかった。
 彼女はそれで戦意を喪失してしまったようだった。いっさいの抵抗を止めてしまった。
 中央では幸絵がまだジタバタしていた。だが2・3度平手打ちを受けて、おとなしくなった。すかさず男が正常位で挿入した。

 友里恵が立ち上がって猛然とダッシュした。それを引きとめることは誰も出来ず、無事逃げ出せたかに思えた。けれど、たったひとつの扉を開けると、そこには引退したはずの3年生がいて、部屋に連れ戻された。そして、乱暴された。

 7人のうち、3人が既に犯されていた。わたしは直美を見た。一番仲の良かった直美が気になったのだ。彼女は、何の違和感も無く、自然な状態で隣の男とキスをしていた。
 嘘・・・・
 目を疑ったとき、わたしは隣の男にそっと押し倒された。
 重ねられた唇から舌が押し入ってきた。
 胸を乱暴に掴まれて「痛い」と叫んだけれど、その途端に愛撫が優しくなり、乳首をつままれたときは思わず、「あ!」と色っぽい声を出していた。

 あとできくと、直美だけは事前にこのことを知らされていたらしかった。彼女だけが処女ではなかったからだ。そのかわり、先輩のボーイフレンドの中から一夜の相手を選ばせてもらったらしい。
 けれども、そんなものは最初だけで、結局彼女も、全員にまわされてしまうことになる。

 7人の男たちに次から次に挿入されて、わたしは茫然自失となった。
 自分がいったい誰で、どこで何をしているのか、さっぱり理解できなかった。
 翌日は何も無かったように練習が行われたが、友里恵以外はみんな無口だった。友里恵は一人だけやたらと明るかった。はじゃがなくてはやっていられなかったのだ。自分の身に何が起こったのか直視するのをさけるには、彼女にとってはこうするしかなかったのだ。
 一番落ち込んでいたのは直美だった。先輩の彼のうち一人と交わればそれでいいと思っていた彼女は、結局次から次へとセックスさせられて、裏切られたような気持ちになっていたのだ。そして、これも後で知ったのだが、何人もの男に犯されながら感じてしまった自分に強い嫌悪感をもっていた。それが彼女を落ち込ませたのだった。
 食事もろくに喉を通らなくなっていたわたし達だけれど、激しいしごきに吐いた。しごきに異を唱える気力などは輪姦されたショックでとっくになくなっていた。
 吐いても吐いても走らされた。意識を失うと、バケツの水をかけられた。

 夜はまた先輩のボーイフレンド達に犯された。
 誰も逃げ出そうとはもうしなかった。気力も体力もなかった。早く嵐が過ぎ去って欲しい、そんな気持ちで男たちを受け入れていた。
 最初に変調をきたしたのは、幸絵だった。悲壮な声がうめく狭い部屋で、突然彼女だけが官能の声をあげたのだ。見ると、四つん這いになって後から男を受け入れ、自分で腰を振っていた。幸絵のその様子に目を奪われたみんなは、一斉に、自分たちの動きを止めた。時が停止したように静まり返ってしまったその部屋で、幸絵のお尻と男の下腹部がパンパンと激しくぶつかり合う音だけが響いた。パンパンという音に混じって、湿った穴を棒でかきまわすグチュグチュという音が、腰のぶつかり合うパンパンに混じった。
 ハアハアという激しい息遣いと喘ぎ声がそれに加わり、時折「もっともっとおお〜」などと叫んでいる。
 美智はゲエゲエと吐いていた。だが、それが収まると、また男に蹂躙され、そしてまた吐いた。
 景子が強暴になって暴れ始めた。手当たり次第に物を投げ、人を殴り、自分の額も壁にぶつけた。顔面に血が流れた。先輩やボーイフレンド達に取り押さえられると、号泣をした。
 そして、「やめる。こんなクラブやめてやる。何もかもばらしてやる!」と叫んだ。
 顔面に血を流した裸の景子に向けて、ストロボが光った。
 カメラをきっと睨んだ景子の表情はこわばっていた。
 硬直状態の景子は、また犯された。胸を揉まれているところをまた写真に撮られた。
 「いやあああ!」と、景子が床に顔を伏せると、後から丸出しの状態になったところをファインダーが捕らえた。そこへ、男の一人が挿入し、またストロボが光った。
 「やめるのはいいけど、黙ってな。でないと、この写真、ばら撒くからね」

 その夜は、夜明けまで攻めつづけられた。意識を失うことは許されなかった。すぐに叩き起こされた。
 幸絵に続いて、京子が感じ始めていた。
 痛い、痛い、アソコが擦り切れる、ああ、もっと、もっと、ああー!!
 過酷な状態の苦痛を逃れるため、限界を超えると麻薬物質が脳内に生成されるという。幸絵と京子がその状態になっていた。
 わたしはただもうダルイだけだった。
 朦朧とした意識の中で、男の数が増えているのに気がついた。OGの先輩たちがボーイフレンドを送りこんできたのだった。
 ほとんど眠っていない状態で、3日目はダッシュ100本をさせられた。
 ぶっ倒れていると、「今夜、きちんと眠りたかったら、練習メニューをちゃんとこなすんだよ」と先輩に声をかけられて、立てない身体を必死で起こそうとする。
 そのときだ。頭の中がクラクラーと明るくなり、あれほど「もうダメだ」と悲鳴を上げていた筋肉が軽やかに動き、意味もなくわたしは楽しくなった。
 「来た?」と、先輩に聞かれて、よくわからないままに、「はい」と答えた。

 壁にもたれて座った直美は、トロントした目で両足を大きく開き、さらに自分の局部を指で開いた。
 「ねえ、誰? 次は、誰? ねえ」
 口の端からは涎が垂れている。
 「いれて欲しいの?」
 「欲しい、欲しい、いれて、いれて」
 だらしない声で哀願するその口に、男性器が突っ込まれた。
 直美は一切の抵抗をせずにそれを受け入れ、ジュブジュブとしゃぶった。しゃぶりながら、下の口を相変わらず指で開きながら、腰を振った。
 「壊れたんじゃないのか?」と、男の一人が言った。
 「試してみたら」と、先輩が答えた。
 そして直美は次から次へと犯された。ぐったりと横たえた直美の口元に、ボーイフレンドの一人がペニスを差し出すと、いとおしそうに撫でながら、口を近づけた。
 その様子に、わたしは昼間の再現が脳内に起こった。
 「きゃはははははー。わたしもー!」と、叫んでいた。
 妙にはしゃぎたい気持ちだった。イヤイヤ受け入れていたはずのわたしの穴はうずき、ドロドロと液体をほとばしらせているのが自分でもわかった。
 わたしの希望はすぐに受け入れられた。

 最後の夜は、自分の部屋で待つように言われた。
 わたしの身体はもう、夜になれば下半身の快感に浸ることに期待していた。
 部屋がノックされ、知らない男が入ってきた。どうせまたOGの彼だろうと思っていた。たった一人とのエッチに欲求不満を覚えたわたしは、自分から求めた。フェラチオもした。終わると、男はお金を置いていった。
 知らない間に援助交際させられていたのだった。

 合宿が終わって、わたしは不安になった。あんな乱れたことをして、表沙汰になったらどうしようと思った。まさかとおもったけれど、どうでもよかった。好きでもない相手とこれだけやりまくったら、売春であろうとなかろうともう同じだと思った。大浴場に行くと、直美がいた。わたしたちは一言もしゃべらなかった。部屋に戻ると、新しい男が待っていた。またお金をくれた。
 でも、女子ソフトボール部のこのシステムは、既に成熟していることを知らされた。わたし達が合宿に使った旅館はOG夫妻がやっていて、合宿そのものもOG会主催の自主的なもので、顧問の先生はノータッチなのだった。
 2ヶ月後に妊娠の検査をさせられた。わたしはもちろん妊娠していた。一切避妊せずに、あれだけやりまくって、妊娠しない方がおかしいと思う。合宿に参加した7にんのうち、5人が妊娠していた。OGの一人が産婦人科を開業していて、そこでみんなおろした。
 これらの費用は、援助交際でまかなうよう、先輩に言われた。「どうせ妊娠してるんだから一緒でしょ?」と言われて、「女子中学生・生入れ・中出し」を条件に相手を先輩が紹介してくれた。これも常連だそうだ。この時期は中絶を前に資金集めのための援助交際をわたし達がすることを知っていて、毎年楽しみにしている人たちだ。OGの彼だの、知り合いだのがルートである。その後、避妊を条件に関係が続くこともよくあった。わたしもそうだった。お小遣いの魅力は大きかったし、今更それを拒否しても何の意味もないような気がした。でも、マッキーとお付き合いするようになって、援助交際はやめた。

挿画は「かゆう」さんより頂きました。どうもありがとうございます。

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