少 年

第1章 見ていることしかできない その1

 当麻智史はほとんど無表情だった。ときおり瞳の奥に屈辱の光を鈍く光らせるものの、すぐにそれは弱くなり、まもなく消える。
 彼は女子ソフトボール部の部室に全裸でつるされていた。2メートルほどの間隔をおいて設置された長い蛍光灯2本からロープが下がっている。そして、智史のそれぞれの手にくくりつけられていた。
 智史はY字型にバンザイをした状態だ。しかも、少し踵が浮いている。手を下ろしたりしゃがんだりすれば、蛍光灯がロープで引かれて、粉々に砕け散るだろう。そして、智史の裸に降り注ぐ。
 智史は身動きが出来ない状態だ。太股やふくろはぎ、そして二の腕の筋肉が時々ピクピクと痙攣した。

 わたし、島崎灯子はあまりにも残酷なその情景から目をそらすことが出来なかった。わたしの本能がまばたきすら拒否していた。彼の筋肉が痙攣すると、わたしの瞼も小刻みに震えた。喉がカラカラになった。
 石原中学校女子ソフトボール部室。わたしたちは2年生。3学期に入って3年生が引退すると、クラブはわたし達2年生の天下になる。義務教育の中学校に設けられたクラブだから、顧問の先生の威光は強いけれど、部室だけは別世界だ。上下関係が厳しいので、「立入禁止」と言えば、1年生は絶対に入ってこない。

 智史のペニスは床と平行に立っていた。平常の状態ではない。けれども、屹立もしていなかった。異様な状態に興奮しているのがわたしにはわかる。そして、もし彼のペニスが一切の勃起をやめてしまったとしても、それが相当な大きさであることは想像できた。
 なぜなら、わたしは父や弟のものを何度も見ているし、処女でもない。ソフトボール部員にバージンはいない。その理由は、いずれ語ることもあるだろう。

 当麻智史をU字型に取り囲んだ中学2年生女子ソフトボール部員は6名。
 「苦しい? それとも、気持ちいい?」
 加賀野幸絵が言った。私たちの中で一番大人びていて色っぽい子だ。わたし達が一斉に処女でなくなったあの日を境に、一番セックスに溺れている。
 「ランナーズハイって知ってる?」と、幸絵が言った。
 「苦しみが限界を超えると、頭の中に麻薬物質が出来るのよ。一流のスポーツ選手はみんな体験しているらしいわ。あたし達は一流じゃないけれど、でも体験している。恍惚の世界よ。どんなに苦しくなっても、この状態になればもう、限界がなくなるの」

 わたし達はその時を待っていた。
 やがて、智史を激しい痙攣が襲った。目からはとっくに精気が失せていた。ぴいんと張りつめたロープは、あと少し引っ張られれば蛍光灯を砕きそうだ。
 みし、と蛍光灯の付け根が音を立てた。
 (だめだ。蛍光灯の破片が降り注ぐ)
 そう思ったとき、ロープがたるんだ。彼の足元を見ると、しっかりとつま先で立っている。全身を襲っていた激しい痙攣もおさまっている。目はまるで生き返ったように輝いていた。
 (来た!)
 彼のペニスは一段と太さを増し、天上へ向かって反り返り、お腹にピッタリとくっついていた。

 (欲しい・・・、けれど、今日は幸絵の番だ)
 幸絵は制服をゆっくり脱いだ。ブラを外した。いつもは色気のないスポーツ用のアンダーウエアしか着ていないのに、彼女の今日の下着はすごい。前を隠すのは3センチか4センチしかない三角形の布、お尻はひもバック。しかも思いきり食い込んでいる。太股の内側には液体が伝わっていた。
 その様子を見るだけでわたしのあそこはキュンとなった。

 幸絵は智史に近づいた。胸の谷間に彼のペニスを挟み、両手で胸を外側から締め付けた。
 智史は声を出す。

 それから、彼女は、彼の足もとにひざまずき、ペニスをくわえた。先端を口の中に含みながら、竿を手で激しくピストンし、もう片方の手で玉袋を愛撫する。
 智史が声をあげる。歓喜の声だ。ランナーズハイの状態で性器を刺激されたらたまらない。
 しかも、この異様なシチュエーションと雰囲気の中では、正常でいられるはずがないのだ。

 幸絵が口を離すと、彼のペニスは耐えかねたようにぴょんと跳ねた。幸絵の上唇が一瞬めくれ上がり、糸を引いた。
 「気持ちいい?」
 「う、あう」

 わたしのヴァギナから汁があふれ出している。気が付いたら自分で胸を揉んでいた。制服の裾から手を入れて、乳首に刺激を与える。
 我慢できなくなったわたしは部室を出て、女子トイレで声をあげてオナニーをした。

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