ロシアンルーレット

敗 者 復 活 戦

 

34.

 おでこへのキスで、真理子の表情から固さが消えた。でも、まだまだだ。「真也がわたしの想いを受け入れてくれた。良かった……」程度の安心感でしかないはずだ。
 処女を捧げる決意をした少女の心情など、真也には推し量る術もない。まして、毎晩のようにセックスしまくっている男に身体を預けようというのである。心底惚れた相手というわけでもない。

 僕は多分、彼女にとって、身近にいて、抱いてくれそうな男、そんなところだろうなと真也は思った。
 処女を失うためにだけ選ばれた男。

 それはそれで、重要な任務だ。いくばくかの女性経験を積んでいる真也にとって、初めての男が不甲斐ないために、セックスの歓びをロクに知らないまま、ダラダラと経験だけを重ねることになってしまった女性の不幸も知っている。
 そんな女性でも、いずれ身も心もとろけてしまうようなセックスを経験するには違いないだろうが、初体験がハズレではその道は遠くなるだろう。最悪、セックスってこの程度のものなんだと、先入観を抱いてしまう。
 自分はそれなりの経験があるんだから、処女が相手でも、セックスの良さの片鱗くらいは感じさせてあげねばならないだろう。

 こんなことを考えながらセックスしなくちゃならない自分も決して幸福ではないよな、なんてことをチラリと真也は思ったが、自分の下半身は、まっさらな女性の肉体に快感をぶちこんでやるんだという期待に今にも爆発しそうになっていた。

 瞼、頬、耳たぶ、首筋……。
 体温で氷を溶かすように、ゆっくりと真也は唇を移動させた。肌に触れるか触れないかの微妙な感じを、そっと与えていく。
「あ、ふ……」
 真理子の吐息が、真也の顎にかかる。
 唇がかすかに開いている。

 小鳥が餌をついばむように、ちょんちょんとキスをして、それからゆっくりと唇に重圧をかけてゆく。真理子の舌がかすかに突き出され、真也の唇に触れた。だが、真也はそれに応じず、いったん唇を離した。
 もう一度首筋にキスをして、舌先から多少の湿り気を真理子の肌に与える。胸の膨らみへと続くカーブに唇を移動させると、真理子の肩がキュと縮こまった。

 キスの経験くらいはあるかもしれないが、ここから先は真理子にとって、未体験ゾーン。
 花弁をちょっとずつ開くようにして真理子に抵抗なく受け入れさせるのがいいのか、強引さや乱暴さを伴って一気に激しいセックスに持ち込むか。どちらがいいだろうなどと考えているうちに、真也は全く別のことを思いついた。純白の少女をまるで玩具のように弄びたくなったのである。

 いずれにしても真理子はパジャマを着たままだ。これをなんとかしないといけない。
 真也はキスをやめて身体を離し、「立ってごらん」と言った。「脱がせてあげる」

 2人の身体に等しくかぶさっていた布団を真也はめくりあげた。真也は全裸。真理子はきちんとパジャマを着込んでいる。裾がめくれているなんてこともなければ、胸のボタンもきちんととめられている。
 真理子は言われるままに、右手を敷布団の上について、上半身を起こし、続いて右足を曲げて足の裏で床を踏ん張った。一連の起き上がる動作だが、そこで動きが止まった。

「あ、これ……」
 真也のシンボルに目が奪われたのだった。

 いくら処女とはいっても、これまでに一度も男性器を見たことがない、なんてことはないだろう。幼い頃に男風呂に入ったことはもちろんあるだろうし、その頃のことは覚えていないにしても、家族のモノを目にする機会くらいはあったはずだ。
 ネットで画像なんかいくらでも手に入るし、女の子どうしで写真なんかを見せ合ったりもするだろう。

 だが、真也はあえて訊いてみた。
「初めて、見る?」
「……全く初めて、というわけじゃないですけど……」
「けど?」
「こんなに大きくなるんですね……。なんか、すご……」
「キミのせいだよ。真理子が誘うから、こんなになっちゃったんだ」

 でもまだ最大限に張り詰めたわけではない。一応、勃起している、という程度だ。もっとも真也のモノはその程度であっても、標準的なサイズを十分上回っている。さらなる刺激でこれが膨張し、はちきれんばかりにキンキンになり、固くなる。
 経験のない子は他のモノと比較しようもないだろうが、それでもその大きさに驚くし、経験のある子なら「こんなの入らない。壊れちゃう」と引くこともある。
 経験豊富な女の子は、このサイズに感動し、むしゃぶりついてきたりもする。

「大きく、なってるんですよね? わたしの、せい?」
「そうだよ」
「まだ、何もしていないのに」
「キス、したでしょ?」
「うん……」
 真理子は恥ずかしそうに俯いた。

「さ、立ってごらん。脱がせてあげる」
「……は、い」
 彼女が立ち上がろうとするその視線の正面に、真也はわざと回った。自分のモノを見せ付けるようにして。

 お姫様をエスコートする王子様のように真理子の右手をとり、彼女は左手を真也の肩に載せた。それで体重を支えようとしているわけではないが、その手には必要以上の力が入っている。真也のぬくもりを感じようとしているかのようだ。
 真也は真理子の身長に合わせて、少しかがみながら、キス。そして、パジャマのボタンをひとつずつ外した。
 上から順に、静かに、そっと。

 わざとではないが、真也の指先や手の甲が真理子の身体に触れる。それは脱がす前のパジャマの上からだったり、はだけた後の肌に直接だったり、ブラジャー越しだったりした。
「ブラ、してるんだ」
「うん」
「寝るときって、はずさない?」
「いつも、してるよ……」
「エッチに来るときは、外しておくといいよ」
「そういうものなんですか?」
「ううん。僕の趣味……」
 真也はそう言って、全てのボタンを外したシャツをそっと脱がせ、ブラの上から正確に乳首にキスをした。
「ほら、邪魔でしょ?」
「ん、んん」
 悶える真理子。
「どうしたの?」
「なんか、オッパイが変な感じ……」
「もう感じてるんだね。男の人にここ、キスされるのは、初めて?」
「……え、ええ」

 真理子のバストはまだ熟しきっていないが、青い果実のようにまだ何ものにも犯されておらず、光沢を放っていた。肌はピンと張り詰めている。それでいて、唇で重圧を与えると柔らかく沈み、唇を離すと、すっと元に戻る。その柔らかさと弾力は、今だけのものだろう。
 ブラはハーフカップで、曲線美の上半分は露出している。真也は何度も、肌に直接唇を触れ、押しては引くを繰り返した。

 真理子はその都度、シュっと訪れてはふわりと消えてゆく妙な感覚に身を縮め、次の瞬間には身を縮めた分だけの開放を味わった。

 真也はシャツの真ん中あたりを両手で持ち、それを真理子の背後へ持っていく。そして、そっと手を離すと、シャツは柔らかい音を立てて床に落ちた。これで真理子の上半身はブラジャーだけになった。胸の膨らみ、丁度ブラと肌の境目あたりに唇を置いた真也は、舌先を出し、ラインに沿ってなぞってゆく。まずは、左の乳房。そして、右の乳房。また、左の乳房……。

「あ、うう……」
 唇で膨らみを押したり引いたりされていたときとは違う、肌に与えられる摩擦に官能を覚えて、真理子は初めて気持ちよさによる声をあげた。

 最初は舌先だけで触れていた真也も、真理子の反応を見ながら、接触部分を増やしてゆく。舌のサイドに乳首の突起が触る。ラインにそっての移動の途中で、真也の舌先は乳首に寄り道をする。
「……あん……」
 真理子はまだ、声を出すことに抵抗があるようだ。
 いや、そうではない。なぜ声が出てしまうのか、理解できないでいる。まだそんな段階だ。意思と関係なく出てしまう喘ぎに、戸惑っている。

 真也は真理子のブラジャーの肩紐に手をかけ、そっと外した。ブラは腰のあたりまで落ち、真理子の乳房が露になる。真理子はとっさに、隠そうとしたのだろう。肩がすぼみ、そして手が動いた。だが、それより早く真也は真理子の乳首の先端に唇をあてたし、真理子も手の動きをとめた。

 上半身が裸体となった真理子は、快感の扉を開けつつあったが、少し後ずさりした。恥じらいの気持ちが大きくなった。しかし、真也の手で女になろうとしていることには変わりない。それも、自ら望んでのことである。それは恋を夢見る少女のが、甘い甘い口付けを夢想するようなものではない。欲望のままに肉体を求め合い、性器と性器を結合させることである。それは快感を求めあい、与えあうことでもある。オナニーの経験はあるから、真理子にもそれはわかるのだ。

 上半身を男の前ですっかりさらけ出し、怯んだのも、一瞬のこと。真理子は男を求める自分を感じていた。

 まだ下半身は着衣のままだ。これもすぐに剥ぎ取られるだろう。
 そう思うと真理子は、自分の性器がじんじんと反応してしまう。
 拒絶反応ではない。そっちの方へどんどん向かいたいと身体が切に望んでいるのだ。真理子は真也によって、官能の扉を開け、一歩、足を踏み入れた。

 真也は真理子の乳首を唇で挟みながら、その先端部分を舌でちょんちょんと突付いたり、かすかに擦ったりした。
「……あ、ふ。あん」
 時折漏れる吐息はそれまでとさほど変わらなかったが、身体は明らかに変化をしていた。股間はしっとりと濡れ始めていたし、意思と関係なくもぞもぞと身体が動き、つい両足に力が入ってしまう。
 それが自分自身の官能をさらに呼び覚まさせているとも気付かずに。

 だから真也が、パジャマのズボンに手を掛けて少し下げ、その下のショーツも一緒につかんで一気におろしても、ちっとも嫌ではなかった。それどころか、「ああ、やっと」という思いの方が強かった。
(いよいよ、あの固くて大きなものが入ってくるのね)
 怖くもあったが、来るべきその瞬間に、胸が高鳴った。

 真也に促されて、まず左足、そして右足と順に上げた。真也はその都度、スルリと着衣を取り去ってゆく。
 これで真理子は一矢纏わぬ姿になった。

「さあ、ちゃんと立ってごらん」
 真也は真理子との間に距離を置いた。真理子は布団の向こう、真也はこっち。2人の間に布団の川がある。そして、部屋の照明はその布団の真上にあった。真也は普段から部屋のど真ん中に眠っていたからだ。

 起きた後、真也は布団をちゃんと畳む。万年床のようなことはしていない。ただし、畳んだ後は、押入れに仕舞うのではなく、部屋の隅へズルズルとひきずっていく。壁際に置いて、それで終りだ。部屋で過ごすことはほとんど無いので、布団があっても邪魔にならない。パソコンを必要とするときは、仕事中でも部屋に戻るが、そのパソコンは、部屋の壁にピタリと寄せた座卓の上に置いてある。座卓と畳んだ布団がある限りの部屋なのだ。
 このスキー場に来たときからずっと持っているザックや、脱いだり洗濯したりした衣類は押入れの中。テレビや本などといった娯楽は一切無い。DVDを借りてくる暇も無い。

 改めて部屋を見回し、なんと生活感のないことか、と真也は思った。
 生活感がないだけではない。妙に寂しげな空間だと思う。ミコが居なくなったからだ。彼女がいなくなっただけではない。彼女が持ち込んだあれやこれやも、綺麗さっぱり持ち去られている。そのせいで、余計に寂しく感じるのだ。

 人が居なくなって殺伐としたこの部屋に、真理子はやってきた。
 真也にとって真理子は、間違いなく潤いをもたらす存在だった。
 この部屋には、ヌード写真の掲載された雑誌ひとつすらない。<br><br>  そこに現れた生身の少女。
 汚れひとつ無い処女の肉体は神々しくさえあり、まだ十分に熟していないからこそ、青い果実のような美しさがあった。それは朝露に濡れた果実である。

 真也は真理子の身体に両手を添えた。乳房の横、身体の側面を両手の掌でそっと挟むように。わずかに乳房が、左右から中央へ寄せられたが、オッパイに刺激を与えるほどではない。
「この位置に、こうして立っていて」と指示するのに、言葉を使わず、エロオヤジがあえて身体に触ることで表現するような、そんな感じだ。

 真也はしつこく乳房と乳首まわりを唇と舌愛撫し、あまり乳首そのものには触れないようにした。
(こんなになったら、痛いんじゃないの?)
 真也にそう思わせるほど、ピンと張り詰めた真理子の乳首。
 思い出したように小刻みにピクピク震える真理子の裸身。
 真也はアソコに指をあてがい、濡れ具合を確かめてみたい衝動にかられたが、じっとこらえた。

 これがミコなら、お互いのことを隅々までわかっているし、トータルでの快感も心得ているから、どんな順番でどんなセックスをしてもOKだ。不十分な濡れの時にいきなり突っ込んでひっかきまわし、あとでゆっくりとまったりするなんていうのも楽しみのひとつである。それに、十分濡れていなかったとしても、挿入しそうになると、それを察知してあっという間にぐちゃぐちゃになる。いずれ真理子にもそうなってもらいたい。自分と2〜3回も交われば、セックスの快感を脳髄に焼き付けることになるだろうという、そんな自信も真也にもある。

 だからこそ、最初が大切なのだ。
 最初に、セックスは気持ちよくない、痛い、辛い……そんな思いを抱かせてしまったら、女の子が不幸になる。
 いずれ目覚めさせてくれる男に出会うだろうが、そんな男にすら最初に足を開くまでに時間がかかるだろう。
 その男が、同じようにセックスしても、感じ方も少ないに違いない。セックスが苦痛だという先入観が、精神的な開放を妨げるからだ。

 しかし、最初にきちんと仕込んでおけば、全く逆になる。
 セックスがしたくてしたくて、どうしようもなくなってしまう。

 最終的に、やりたがりの女が自分の周りに増えれば嬉しい、という結局は自分本位なところに結びつくわけだが、それでも真也は、真理子が処女だということを強く意識していた。
 あるいは、真理子が後に違う男性との交わりを経験したとき、「ああ、真也のはすごかった」と言われたい、という思いもあるのだろう。

 真也は胸への愛撫をやめ、唇を腹の方向へ動かした。
 もちろんその間も、微妙な肌触りを楽しみ、それは同時に、真理子へも肉感を与え続けた。
「うっく、ひく……」

 手の位置は、最初、唇の移動にあわせて身体の側面をそっと撫でながら下へ降りてゆく。
 しかし不意にその動きは反転する。乳房の両脇に戻って、そこから中央へ。
 オッパイを手で揉むのは、これが初めてだ。
 唇や舌とは違った感触と、指先できめ細かく与えられる刺激に、いよいよ真理子は本格的にのけぞった。

 このとき、真也の口はヘソを通り越して、下腹部に差し掛かろうとしていた。しかし、真也は一気にコトを進めない。入念に乳房を揉みこんだ後、その手をまた腰まで下降させ、お尻の上部にサワサワとそよ風を送りながら、足の付け根のラインを舌でなぞる。わき腹の下から、ナナメに。ラインに沿って、局部に向かって。
 だが、アンダーヘアーに到達するかしないかのギリギリのところ、毛の生え際とも言うべき位置からは下にはおりない。入念に下腹部を行ったり来たりしながら、もう片方の足を今度を中央から腰にかけて移動、肝心の部分からはどんどん離れてゆく。

「うわ、あ〜、まだ……」
 真理子は、「まだ来てくれないの?」、そう言いたかったのだろうか?
 ついに、「焦らさないで、お願い……。焦らさずに、アソコを触って……」と、口に出した。

「焦らしてるんじゃないよ。キミの全てを……愛してあげてるんじゃないか」
「す、全て……、でも、あ、もう……」
 真理子はくねくねと身体をくねらせる。

 初めての快感にのけぞることしかできないでいる真理子。
 けれど、真也は見抜いていた。まだそれほど深い官能を彼女が得ているわけではないことを。
 ただ、初めてだから、それがスゴイことだと思っているに過ぎない。

(もっと、すごいことになるからね)
 真也は心の中で呟いた。

 真也はいったん真理子から離れた。そして、パジャマの上を羽織らせた。
「え?」と、意外そうな顔をする真理子。

「下着もつけずに、パジャマの上だけ。ズボンははいちゃだめ。ほら、色っぽいだろう?」
 色っぽいだろうと訊かれても、真理子にはよくわからなかった。なにしろ姿見に類するものが真也の部屋にはない。確認のしようがないのだ。

「ボタンはきちんととめて。でも、全部とめたらダメだよ。胸はたっぷり見せて。乳首がちょっと見えるか見えないか、くらいがいいね」
 自分の姿を鏡に映すことはできないけれど、服を着ているのに肝心な場所がきちんと隠せていないという状況、これだけは真理子にも理解できた。

「次から、僕の部屋に来るときは、その格好だよ」
「……、この、格好って……」
「裸に近いけれど、裸じゃない。けれど、すぐに裸になれる。さあ、いますぐ犯してくださいっていう合図。一緒に気持ちよくなりましょうって」
「……こ、んな、恥ずか、しい……」
「恥ずかしいだろ? 自分から身体を求めてくるようで、いやらしいだろ? でも、それが真理子の本性なんだ」
「……そ、そんな」

 真理子は俯いた。パジャマの裾を引っ張るが、それであらたにどこかが隠せるわけでもない。

「本性は隠せないよ」
 真也は真理子に近づき、それまで決して触ろうとしなかった真理子のヴァギナに指を添えた。

 まだ貝の口は固く閉ざされたままだ。けれど、樹液が溢れ出している。そこは乾いた肌ではなく、ネットリとした液体が張り付いていた。
「ほうら。もうこんなに濡れている。女の子は恥ずかしい格好をしたら、それだけで濡れるんだよ。でも、誰でもそうなるわけじゃない。エッチな子だけがそうなるんだ」
 あれだけ入念に愛撫を繰り返したのだ。しかも、バージンだとややもすれば、肝心の場所にいきなり接触を試みると、せっかく湧き始めた官能が止まってしまうことがある。だから、真也はあえてそれをしなかった。
 キスだけなら、恋に恋する少女でもOKだ。でも、その一歩先、例えば胸を揉むなどは、悪戯ちっくにならかまわないかもしれないが、セックスの直結するような本格的な愛撫になってしまうと、どうだろうか。

 その「どうだろうか」の部分には踏み込む。
 そして、女の子はその先のことを想像して、期待をしたり、不安になったりする。
 でも、先へ進みたい。<br><br>  その状態を長く維持しながら、本能的に持っている快感への欲求をじっくりと引き出してやる。それで濡れない方がどうかしているが、真理子にはそんなことに気付かない。ただ、今の自分の恥ずかしい状態を指摘されて、赤くなるばかりである。その羞恥がますます真理子の官能を呼び覚ましている。

「いや……、こんな……」
 露出しているわけではないのに、右手で乳房を覆った。
 右の乳房は腕の下、左の乳房は掌の中だ。自分で触れているだけ、しかもパジャマ越しなのに、それにすら反応してしまう。

 左手は1番大切なところに添えられていた。
「隠したら、ダメだよ。その服装は、むしろ、見てくださいってアピールなんだから」
「だって、恥ずかしい……」
「じゃあ、全部、脱いでごらん」
「…………」
「脱がないと、これで終りだよ」
「……終りでも、いいです」

 本当は最後まで、それを望んでいる真理子だったが、口から出た言葉は「終りでも、いいです」だった。真也が一方的に身体を求めてくるんなら、受け入れることはできるだろう。けれど、恥ずかしい自分を指摘されたら、もう動けない。
「本当に、そうかな?」
 真也は、真理子が掌で隠しているアソコの上に、自分の掌を重ねた。
 真理子の中指に、自分の中指をあてがう。ちょうど、それは中心線。
 そして、これまで触れることをしなかった果実の中へ、真理子の中指を押し込んだ。

「う、ああ……」
 ぐちゅ、と音がして、中で溜まっていた愛液がトロトロと流れ出してくる。

 真理子は中にものが入ってきて、感じることを思い知らされた。
 オナニーくらい経験あるが、男の手によって自分自身の指を挿入されて感じるのは初めての経験だ。しかも真也は、手の圧迫具合を調整して、クリトリスにも刺激を与えている。

 トロリとした官能になんとなく気持ちのよさを感じていた真理子が、一気にある点を突破した。

 すかさず真也は真理子の唇を奪って舌をねじ込む。
 たまりかねたように絡ませてくる真理子。
 同時に真也自身の指も真理子の蜜壷へ滑り込ませる。

「ん、ぐ、あ」
 唇を塞がれているので、ちゃんとした声が出ない。しかし、喉の奥から震えるように音声が搾り出されてくる。

(さあ、これからだよ)
 真也は再び真理子のパジャマを脱がせ、そして、布団の上にそっと横たわらせた。

 

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