ロシアンルーレット

敗 者 復 活 戦

 

35.蚯蚓
 

 裸体になった一組の男女が、ひとつの部屋にいる。
 場所は冬のスキー場。そこは十分に暖房が効いている。全裸でいることに何の支障もない。
 けれど、真也はぶるっと身体を震わせた。武者震いである。セックスに関してはいつのまにか百戦錬磨といえるようになった真也だけれども、目の前で自分に全てを預けようとしている処女の女の子に、「これ以上無い経験」をと決意した。すると、やはりそれなりに緊張を伴うのだ。
 処女であることを意識し、丁寧に優しく、最新の注意を払って、一切の抵抗感を感じさせないままに、ゆっくりと真理子の官能を引き出していく。同時に、激しく蹂躙して、快感に翻弄されるままに肉欲の世界に引きずり込む。
 できるだろうか、と真也は自問自答する。
 そして、できる、と自分に言い聞かせる。
 なにしろ自分には、常人よりも、太くて長くて固い持ち物がある。しかも、相当の長時間に渡って、射精をコントロールできる。自分に彼女がいると相手の女の子が知っていても、2度目を誘って断られたことがない。自ら望んで抱かれる女もいる。真也を意識した途端にドクドクと濡れ始めると告白されたことも一度や二度ではない。
 就職活動ではヘタレだけれども、セックスには絶大な自信を持っている。その自信がさらなる魅力になっていることも、真也自身もう気がついている。おどおどした態度をとっていたら、それだけで魅力という輝きは失せる。しかし、胸を張れば実力以上に輝くのである。もちろん虚勢を張ったんではダメだ。堂々たる経験に裏打ちされた自信だ。
 真理子は既にセックスの快感の虜になった経験者ではない。だから、セックスがいかに気持ちのいいものかを知らない。そんな子が、記憶の中の快感を甦らせて身体を交える前からジュクジュクに濡れる、なんてことはないだろう。
 けれど、自分は多くのテクニックを身に付けているし、彼女自身オナニーの経験によって快感の片鱗は経験があるだろうし、これまで毎晩、ミコや祥子とのセックスで、彼女たちが悶え歓び声を上げまくっているのを聞いている。普通の健康的な女の子として、セックスへの興味だってあるだろう。
 絶対にうまくいく、と真也は確信した。
 布団に身を横たえている真理子の顔の真横に、真也は膝を突いた。彼女はゆったりと目を閉じている。
「真理子……」
 呼びかける真也。真理子は瞼を開いて、微かに声の方向に顔を向けた。真理子の視界の中に、真也の優しい顔と、怪物のようなペニスが入ったはずである。
 真也はさらに膝を曲げて姿勢を低くする。そのまま膝を曲げきったら正座になるところだが、その途中で止める。そして、真理子の髪を撫でた。

 真理子もまた、この暖かい部屋の中で、鳥肌を立てていた。
 寒さのせいではない。正しくは交感神経の興奮や緊張によって起こる生理現象で、寒さや恐怖もその原因となるが、強い喜びや衝撃的な出来事を感じた場合などにも発生する。真理子の場合はもちろん後者だ。
 未知の世界への恐れが全くないと言えば嘘になる。けれども、既に真理子は真也のキスで心は完全に開かれていた。そのあとにあるのは、期待だけである。もはや、自分がどうしてこの男に抱かれようと思ったのかすら、意識からは抜け去っている。
 感情は全て、この人とセックスしたい、抱かれたい、という思いに彩られていた。

 真也はあらためて真理子に口付けをした。真理子が誘うように唇を緩め、そこに真也の舌がスルリと入り込む。
 ゆっくり、ねっとり。真也は真理子を味わった。ヌルリとした感触を押し付け合い、絡めあう。
「さあ、一緒に行こう」
 心の中で語りかける真也に、真理子が「連れてって」と反応する。
 真也はいったん唇を離すと、真理子の上に跨った。ちょうど、腰の上あたりである。両手の肘を真理子の顔の両側に突いて、もう一度顔をゆっくりと近づけてゆく。真理子は顔をわずかに起こして、真也に「来て」と合図する。
 真理子の手が動き、布団についた真也の肘をしっかりと握る。その手に力がこもり、そして、すっと抜けた。

 真也は真理子の顔面にキスの嵐を注ぐ。唇はもちろん、頬、瞼、鼻の先……。耳は上部から耳たぶにふうわりと唇を這わせ、耳の穴を舌先でつんつんと突っつく。
 微かに息を吹き込んでみる。耳に息……は定番の愛情表現だけれど、慣れてないと気色の悪く感じる人もいる。真也はそのことを良く知っていた。だから、あくまで、徐々に、である。
 真也の持てる全てを真理子に与えたかったが、それは無理である。なにしろ真理子は処女なのだから。
 バリエーションとしてのプレイを楽しむのは、もっと経験を積んでからでいい。今はただ、ひとつになる歓びをたっぷり味あわせるだけに神経を集中すればいい。

 両耳へのキスを終えた真也はもう一度唇にキスをした。
 今度は舌を入れず、唇を歯で挟む。甘噛みである。
「ん、くっ」
 思ったとおり、真理子は反応した。
 表情も少しだけ変化する。それは、例えて言うなら蚊に刺された程度の変化。これがもし、電車の中で居眠りしている女の子だったら、まわりの人たちは全くその動きに気がつかなかったろう。
 けれども、真也にはわかった。自分が与えた小さな刺激に、その分だけ真理子が反応したからだ。
 焦らすのはやめよう。そう真也は思った。もうとっくに、真理子は受け入れの準備ができている。性急な行為は彼女をびっくりさせるから控えねばならないが、焦らし焦らされることで得る愉悦は、まだ真理子は体得していない。
 彼女が期待するままに。
 真理子がもう少し来てと感じるのならもう少し。ちょっと待ってと思うのなら、時間を置いて……。

 真也は真理子の隣に身体を横たえた。そして、片手で彼女の頭を持ち上げると、その下にもう片方の腕を滑り込ませる。腕枕だ。そうしておいて、真理子の顔をぐいっと引き寄せる。
 ついばむように唇と唇を重ねたり離したりしながら、真也はいよいよ真理子の乳房に手を伸ばした。
「あ……!」と、真理子の口から吐息が漏れる。その吐息すらも吸い込むようにして、真也は唇を重ねた。

 真理子の感度は決して悪くない。セックスへの興味、オナニーの経験、そして真也がここまでゆっくりと真理子の身体をとろけさせてきた。その甲斐あって、乳房を包み込むように掌をあてがうと、真理子は連続して喘ぎ始めた。
「あ、ん。あ、ん」
 真理子はまだ、喘ぎ方も知らない。意識しないのにそんな声が出てしまうことに戸惑いすら感じている。
「感じるままに、声を出していいんだよ」と、真也は囁く。ささやきながら、掌を乳房の表面でくるくると動かす。乳首の先が微かに触れる。触れながら、掌の動きに合わせて弄ばれる。
「い、いや、あ……」
「イヤなのかい?」
 そう訪ねながらも、真也は手の動きを止めない。
「イヤ……じゃ、ないけど……」
「ないけど?」
「なんか、ヘンな感じ。勝手に声が出ちゃうし……あ、ん!」
 真也が手の動きを変えた。5本の指先をわずかに乳房に食い込ませながら、指をすぼめてゆく。自然と五つの指先は真理子の乳房の中央、突起に向かって滑ってゆく。 「ヘンな感じなんかじゃないよ。真理子は感じてるんだよ」
「感じてる……そうだね、うん」
「気持ち、いいだろ?」
「うん。気持ち、いい……あ、ん…」
 気持ちいいかと訊かれて、それを肯定する。それは真理子にとって、理解しがたい感覚を、あらためて認知することだった。そのせいだろう、言葉の最後に官能の吐息が混じっている。
 真也は親指と人差し指で乳首をつまみ、指の腹で擦った。最初はゆっくりと、次に早く。今度は力を入れて、そして、力を抜いて滑らせる。
「う、ん。あは……ん」
 乳首への愛撫に合わせて、あるいはわずかに遅れて、真理子は上半身をクネらせる。
 真也は、そろそろ頃合かな、と思った。
 乳房から手を離して、真理子の頭を支えると、彼女の枕になっていた腕をそっと引き抜いてから、頭を支えた手をゆっくりと下ろした。そして、自由になってから、真理子の乳房に口付けをした。

 いきなり乳首に吸い付くような真似はしない。今の真理子の状態ならば、決してそれも悪くはないが、まずは乳首よりも上の膨らみの部分、少し胸の開いた服なら露出しているところからアプローチする。
 一番の秘部への接触も済ませているが、素肌の上にパジャマを着せた状態でのお触りは、いわば「イチャイチャ」の範疇。お互いが全裸になって、彼女を布団の上に横たえさせたところからが、本格的なセックス。真也はそう考えていた。
 まずは人目に触れる場所へのキスから。それは唇であり、首筋であり、乳房の上部である。
 でも、胸の膨らみは、他の場所とは意味が違う。そこは服装によっては隠された部分であり、少し唇を下に移動させれば、決して人前では露にしない場所となる。女性が外見上もっとも女性らしい部位でもある。
 その胸の丘に、真也はそっと唇をつけた。その所作は優しかったが、しかし、表面に触れる、という程度ではない。唇に力を入れて、柔らかな膨らみを押すような感じだ。弾力が真也の唇に伝わるが、決して押し戻しては来ない。乳房は真也の唇が求めるままに形を変形させて、受け入れた。
「ふあ~」
 有声音を混じらせながらも、それ以上の吐息を真理子ご漏らす。
「感じる?」
 病人をいたわるような声で真也が問う。その唇や舌の動きすら、真理子の乳首に刺激を与える。
「ん。ん……」
 真理子も、まるで高熱にうなされた患者がかろうじて返事をするように答える。
 まさしくふたりは、これから熱く燃え上がろうとしていた。
 真也は身体をずらして、横から真理子に密着する。トロトロと自身の先から漏れ出す液体は既に亀頭全体を覆ってあまりある。十分な潤滑液に潤されたソレを真理子の肌に擦りつけながら、真也は乳首を吸い、そしてもう片方の乳房を手で包んだ。
 真也の先端は真理子の太腿にある。真理子も自分の肌にあたっている固いものが何かを察したのだろう。微かに逃れては、またこわごわと接触してくる。その先端の微妙な接触が与える快感をペニスの先で感じながら、真也は胸の愛撫を執拗に続けた。
 真理子の肩がピクピクとふるえ、時々波打った。
「あ、いや……。こんなに、か、んじる、なんて……」
 途切れ途切れの真理子の台詞。
「そんなに感じる? 自分でしたこと、ないの?」
「ある……けど、こんなに感じな……あ!」
 真理子がひときわ大きな声をあげた。それは真也が、乳首の根元を歯で挟みながら、舌で突起を左右に弾いたからだった。
「あ、ちょっ、な、なに……これ……」
 快感の大きな波が、これからまさに押し寄せようとしていた。そのことを真理子は敏感に感じ取ったのだろう。薄いベールの向こうにある神秘の世界が、これまで見たことのない輝きを放ち始める。
「ちょっ、ま、ダメ……、あ」
「待てない。どんどん先へ連れて行ってあげる」
「いや、こわ、うそ!」
 まだ触れてもいないのに、腰がひくひく動いては止まる。
 真也にはわかっていた。もう真理子の蜜壷は来るべきモノを受けるために細動を開始しているはずだ。
「ね、ほんと、ダメ……ちょ、まって」
 左の乳房を口に、右のそれを手に捉われ、真理子は激しく感じていた。膨らみの形が大きく乱れるほど、少々乱暴な?みかたをしても、真理子の細胞は即座に快感へと変換させて神経を駆け抜ける。
「ああ~、もう……。イク、いきそう……」
「オッパイだけでイッちゃうの? 感じすぎじゃない? 根がきっと、エッチなんだね?」
 指摘されて、恥ずかしくて、真理子はますます感度を上昇させてしまう。
 真也はもちろんそれを計算してのことだが、真理子にとってはそうじゃない。まるで淫乱だと指摘されているようで、そのことがますます快感に拍車をかけた。
「だって、だって、だって……」
「1人エッチで、イッこと、ある?」
「……う、ん……」
「じゃあ、やっぱりエッチなこと、大好きなんだ」
 目の前の津波の襲来になすすべもなく、ただ防波堤に突っ立っている人のように、あとは波に飲み込まれるしかない。
 真也が擦りつけてくる男性器から出た液体が、肌にまとわりついてくる。自分の秘部からも同じものが染み出してくるのもわかる。
「こんな……胸だけで、あ、ああ、んんん~。イ、イっちゃいそ、あ、そ、ああああ!」

 真也はいったん真理子から手と唇を離した。そのまま彼女の身体に覆いかぶさる。真理子の両サイドに手をつき、肘を曲げて高さを調節する。そして、自分自身の胸部と腹部を使って、真理子の乳房を愛撫しはじめた。
 大きくはないけれど、だからこそ寝ても潰れずにその存在を主張する綺麗なふたつの丘は、真也がボディーを前後に動かす度に、イレギュラーな感覚に支配されていく。それもそのはず、真也は肘を曲げ伸ばしして、かろうじて乳首と自分のボディーが触れる位置から、2人の肉体が密着寸前になる状態までを、何度も何度も繰り返すのだ。
 甘噛みされるときほどの強い刺激はないけれど、真理子はイク寸前の状態がずっと続いていた。
 おまけに、真也が身体を下から上へグラインドさせると、わずかに性器と性器が触れるのだ。このまま突き上げられたら、私の中に入っちゃう! まさにその位置に来ることもあれば、そうではない場所の時もあった。でも、触れるたびに、「そこ! 1番感じる!」というのが繰り返されるのだ。
「あん、あん、あん、いやあ~~、あ、そ、そこおん」
 最初は遠慮がちだった喘ぎも、大きく開かれた唇から今は奔放に飛び出している。
 その唇を、舌を、歯を、真也はついばむように何度も何度もキスをした。
「もう、もう、もう、だめええええ~~~!」
 イク寸前の継続を真理子に経験させたのは、決して焦らしプレイを楽しませるためではない。陸上競技の助走のように、大きく跳ぶための力を蓄えさせるのが目的だ。
 そろそろ頃合だと真也は思った。これ以上、この状態を継続していたら、真理子はまた別の世界へ行ってしまう。それはそれでセックスの妙味だが、まだ彼女には早い。
 真也は自分のモノを真理子の愛豆の位置まで持ってくると、自分の胸と真理子の乳首もまた接触させて、自らの身体を細かく律動させた。
「いやああ~~! うそおおおぉぉぉ~~!! イクうううううぅぅぅ~~!!!」
 そう叫ぶ真理子の口を自らの唇で塞ぎ、舌を突っ込んでかき回した。
「ん、んんんん~~、んんん~~!!」
 真理子の肉体がビクンビクンと跳ね、やがてぐったりと動かなくなった。

「……おかしくなりそうだった……」
 真理子が呟いた。
 真也のバスト攻撃で、真理子は1回目の絶頂を迎えた直後のことである。2人は布団の上に仰向けに並んで身体を横たえていた。
「イクのは初めてじゃないんだろ?」
 そう言葉をかけながらも、真也は次のステップの準備を怠らない。とはいえ、大したことをしているわけじゃない。髪を撫でたり、下腹部を中心とした部位に掌を走らせたりなど、軽いスキンシップを続けているだけである。ただし、ただのスキンシップではない。それだと、充足したセックスを終えた後、余韻を楽しんでいるのと変わらない。
 それだと、身体も興奮もゆっくりと冷えてゆく。
 そうではなくて、セックスはまだ途中であり、身体も興奮も決して冷えないように、この先がまだあるんだよと示唆するための愛撫である。
 だから交わされる会話も、エロさを失ってはいない。
「そうだけど、自分でしてイッた時と違うもん」
「何が、違うの?」
「何がって……なんか、感じが」
「どんな風に?」
「よく、わからないけど……」
「自分でするときは、どうするの?」
「……そんなの、言えないわよ」
「ここを、こうするんじゃない?」
 真也は愛豆に手を伸ばして、そっと触れた。
「……うん。そことか、アソコとか……」
「こっち?」
 蜜の溢れるラインにそって、指を動かす。
「あ、そこ……」
「また、感じてるんだ」
「だって」
「気持ちいいの?」
「う、ん」

「じゃあ今度は……」と、真也は上半身を起こした。そして、真理子の手をとった。
 女の子の手は、男性のそれよりも概して小さいものだが、真理子も例に漏れず、真也はかわいい小動物を掌で包み込んでいるような錯覚を覚えた。
 けれど真理子の手は、哀願動物なんかじゃない。これからタップリと、真也に快感を与えてくれるはずの、まさしくオンナの手だ。
「……僕のを触ってくれる?」
 真理子の手を、自分の股間に引き寄せる。

 真理子はそれを拒否するでもなく、自ら進んで手を伸ばすでもない。力のこもらない手が真也に導かれるままにイチモツまで辿り着く。
 けれど、ソレをどうしていいか、真理子にはわからなかった。
「指先で、触れてみて」
 真理子はそっと、真也の先端に人差し指を伸ばす。わずかずつ噴出し続ける男汁は、決して亀頭を乾かすことなく、妖艶な艶をソコが放つ原因になっていた。固く大きくはちきれんばかりに膨れ上がったソコは、ドス黒さの中にあってさえも、赤々とした熱を帯びている。
「もっと大胆に……。握ってもいいんだよ」
 カリのわずかに下を、恐る恐る握る真理子。親指と中指ははるかに届かない。
「ふと……」
「これが、キミの中にはいるんだよ」
 それには答えず、顔を下向ける。
「ダメだよ。ちゃんと見て。それから、もっとしっかり握って」
 どんなに乱暴に扱われてもピクともしないほどに、真也のは張り詰めている。
「これはキミのもの。自由にしていいんだよ」
「……でも、どうしていいのか、わからない」
 自分のモノを握った真理子の手の上から、真也は自分の手を重ねた。そして、真理子の手を誘導する。
「ほら、こうやって、上下にピストン……、そう、その調子」
「これでいいの?」
「ああ、気持ちいいよ」
「わたしが気持ちよかったのと、同じくらいに?」
「それはまだ無理だよ。色んなテクニックを覚えないと」
 真理子は少しの時間を置いてから、「テクニック、教えて。真也さんにも、気持ちよくなって欲しい」
「今日は初めてだから、そんなこと考えなくてもいいよ。真理子が気持ちよくなってくれるのが、僕にとっては1番気持ちいい」

 そうは言いながらも、真也はいくつかのことを真理子にやらせた。
 握ったままのピストン、それも力強くやるのと、肌の表面が擦れ合う程度のものと、触れているのか触れていないのかわからない程度のもの。それぞれ独特の快感がある。
 カリの裏側や、先端部分も指先でなぞらせる。
 自分好みの愛撫を施してくれる女の子に育て上げるのだ。
「なんだか、ヌルヌル」
 真理子が指摘した。
「真理子だって」と、真也は真理子の秘部にてを伸ばす。アソコについてはまだロクな愛撫はしていないが、真理子の受け入れ準備はOKだ。しっとりと潤ったそこに、指先をスルリと差し込んだ。ある程度経験を積んだ子のように、自ら咥え込むような感覚はまだなかったが、それでも開発にはあまり時間を要しなさそうだ。
 もしかしたら、処女喪失と同時にソコソコの快感を得られるかもしれない。
 自然なオナニーで自然に迎える絶頂を経験したことのあるヴァギナだった。
「ほら、こんなに濡れてる」
 真也はジュクジュクと音を立てながら2~3度かきまわし、指に愛液をまとわりつかせた後、抜いた。その指をさっそく真理子の眼前にかざす。
「やだ、もう……」
 そういえば、男汁がとても多いと祥子に指摘されたことがある。何人もの男を知っている祥子ならではの感想だった。
「濡れてない女の子にもブチ込むために、たくさんお汁が出るようにトレーニングしたんだ」
 そんな返事をしたが、もちろんこれは嘘だ。しかし、標準よりも遥かに大きなモノをスムーズに挿入するためには必要なローションであるのも事実。大きくて固くて射精を自由にコントロールできるのも、たくさんのジュースを分泌するのも、自分の性能力が常人よりも優れているからだと真也は解釈をした。
 これだけの自信が就職活動でも持てればいいのだけれど、そう簡単ではない。劣等感を忘れ、得意分野に没頭するために、自分はこんなにセックスに執着するのかもしれないなどと思ったことを思い出す。

 真也は再び自分を握る真理子の手に自分の手を重ね、手淫の補助をした。
「今度は、こうして、振動をあたえてごらん」
 ピストンよりも、真理子にとっては習得しやすいテクニックだったようで、ギュンと快感がこみ上げてくる。
「あ、うう」
「うふ。男の人も声を出すのね」
「ああ、そうだよ」
「嬉しい……。それで、あの……」と、真理子は言い澱んでから「最高に気持ちよくなったら、射精するのよね」
「うん」
「真也さんの、出してあげたい」
「僕は自分でコントロールできるから、ちょっとまだ無理だよ」
「そうなの? 我慢できないほど、気持ちよくさせてあげたいな」
「キミがそんな女の子になってくれたら、とても嬉しいよ。早くそうなってね」
「うん」
 うん、と目を輝かす真理子は、本当に可愛かった。しかも、エロチックな表情がどんどん現れている。
 他にも女がいる。しかも、1人ではない。その事実を知りながら、こんな爛れた男に抱かれようとするのだから、その本性は相当エッチなのではないかと真也は思っていたが、どうやらその通りであるらしい。仕込み甲斐のある女の子だった。
「じゃあ、次は口で」
「え?」
「僕のを、お口で気持ちよくしてくれるかい?」
 真理子は無言で頷いた。
 

 

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