夏の風が胸元をかすめていった あとがき 

 

 あ、あっさりと全2話で終わってしまいました。自分でも驚いています。

 いくつかの連載ものを平行執筆中ですが、いつ終わるとも知れないストーリーばかりを交互に書き続けることに、少し飽きが来ていました。
 新しい作品を書きたいなと言う欲求が湧いてきます。そして、その新しい作品はとにかくそれなりにまとまってどんどんアップして、早く完結をみなければなるまい、そういう想いで書き始めました。
 僕が最初にWeb上にアップした作品は「夜明けの町」です。「夜明けの町」は全部で4章の構成で、これは初期構想と同じです。それ以降にアップした作品と根本的に異なるのは、全4章を2カ月足らずの間に一気にアップしたことでしょう。
 これには理由があります。作家デビューを目指して何度も作品を書き始めては途中でかけなくなって放棄してしまう。そんなことが続いたのです。
 どこに発表したわけでもないですから、作品を途中で放棄したって何の問題もありません。しかし、Webの場合は、そうはいきません。
 一人でも読み始めたら、それは発表された作品であり、いずれ完結させなくてはならないからです。
 そう自分に言い聞かせて、「夜明けの町」を一気に書いたのでした。
 うん、きちんと終わらせることが出来る。ならば、平行していくつかの作品を連載しよう。
 どちらかというと僕はひとつの作品にかかりきりになるよりも、あれこれ手を出した方がラクに書けるのです。
 で、そういうスタンスで書き続けてきたのですが、ふと気が付いたのです。
 「完結した作品」のラインナップがちっとも増えていない!
 新しい作品が書きたい。それも、早々に「完結」ラインナップに入れたい。
 しかしまさか、2章で終わってしまうとは思いませんでした。
 結論は第2章に書いたとおりで、テーマもそれなりにはっきりしていると思うのですが、そこへ辿り着くまでにもっと多くのエピソードがあり、あれやこれやとマリンは心を迷わせるはずでした。
 ところが、あっさり完結してしまった原因は、「喜多嶋隆」さんの作品に触れたせいでしょう。
 簡単に言うと、登場人物が爽やかでとても気持が良いということです。
 当初、「夏の風が...」には、ネチッこい嫌なキャラも登場予定でした。担任や教頭、PTA役員、近所のオバサンと言った連中です。
 そういう困難を乗り越えた方が作品としては深みが出るかも知れませんが、僕が嫌う「渡る世間は鬼ばかり」のような、エンタテイメントのくせに気持がスカッとしない嫌な物語になりそうです。
 それぐらいなら。
 気持のいいキャラだけを出して、テーマを語らせ、さっさと完結させてしまおうと思ったのです。
 そのキャラとは、改めて言うまでもないでしょうが、悠哉の母です。
 こんな人物が本当に存在するのかどうか疑問ではありますが、そこはそれ、しょせんはフィクション、虚構の世界です。
 悠哉の母は僕が書いた中で最も気持のいいキャラです。(と、僕は思っています。「風の予感」の社長もかなり気持のいいキャラではあります)
 さて、皆さんはどのようにお感じになられましたでしょうか。

 とにかく「完結した作品」ラインナップがひとつ増えました。
 また、ダラダラと続くいつ終わるとも知れない作品を書き始めましょう。

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