番外編 ジャスト ア ミニッツ「今夜の月は踏み外して」 
 =社長が風の予感をはじめたわけ= 



 パチ! パチパチ!
 暖炉で火が爆ぜている。
 「慰安旅行に行きましょう。といっても、ちょっとした知り合いのペンションですけどね」と、社長が嬉しそうに言った。
 「慰安旅行って言う限りは、経費は会社持ち、よね?」と、清花が声を弾ませる。
 「もちろんですよ」
 「じゃあ、行く行く。和宣も行くでしょう?」
 「授業が、なければ」と、僕はぼそぼそと言った。
 「なに言ってるのよ。年中自主休講しているくせに」
 それはその通りだが、ダラダラとさぼっているのと、確信犯的に旅行に出かけて授業に出られない状況を作ってしまうのとでは、根本的に違う。
 違う・・・? そうか? 自分で自分に言い訳が出来るかどうかの違いくらいしかない。でも、まてよ。じゃあ、ダラダラサボってるのなら言い訳が出来て、確信犯なら言い訳が出来ないのか?
 「いや、行こうとは思っていたんだけど、なんとなく時間が過ぎてしまって・・・」
 「行かないよ。だって、サボってスキーに行くんだもん」
 どっちがカッコイイだろうかといえば、後者、つまり確信犯の方だ。前者の方はひたすらカッコ悪い。
 それに、自分の中でカッコつけても仕方ない。結論が一緒なら、同じことである。
 「まあ、行くよ」と、僕は言った。
 「で? どこへ行くの? 温泉?」
 「まあ、温泉は温泉ですけどね。小さなペンションなので、大浴場なんてありませんよ。どっちかっていうと、スキー大好きな連中が集まるところです。ホワイトエンジェルっていう、名前だけ聞いたらどこにあるのかわからないようなペンションですよ」
 「確かにわかりませんね。どこにあるのですか?」
 僕は訪ねた。スキーなんて高校の合宿以来である。難易度の高いゲレンデで恥をさらし、筋肉痛だけを持ちかえるなんてていたらくは避けたい。ま、社長や清花にエエカッコしても仕方ない。どうも僕はカッコつけることばかり考えているようだ。普段からそうなのだろうか? わからない。
 「新潟県の六日町、ってところです」
 「ふうーん」と、清花は言った。
 六日町ってどこだっけ、と考えたけれど、思い出せなかった。もともと憶えていなければ、いくらがんばっても思い出せるわけがない。
 「私達のほかには、誰が行くの?」
 「残念ながら他のメンバーは都合がつかなくてね。3人だけです」
 「なあんだ。じゃあ、社長遠慮してよ。わたしと和宣のふたりの旅行、ってことで」
 もちろん清花のその台詞は冗談である。わざとらしく僕の腕を取り、頬を押しつけながらエヘヘっと笑う。
 清花もそんな所作が出来るまでに回復したんだな、と僕はしみじみ思った。
 そんなやりとりがあってやってきた六日町である。
 朝、東京を出発して、新幹線を使えば午後にはもうゲレンデ。スキーバスでないところがさすがに慰安旅行である。自分で出資するとなると少しでも安い方法を僕は選んだだろう。

 初日は半日もゲレンデにいられなかった。レンタルスキーのサイズあわせをして、足慣らしをして、そしてリフトに乗れば、何本も滑れなかった。
 ゲレンデは空いていて快適に滑れるのだけれど、時としてリフトだけが異常に混雑する。学校合宿などにもよく使われるゲレンデで、スキースクールがさかんなのだ。だから、クラス単位でリフトにまとめて群がると、その一瞬だけ混雑する。だが、ゲレンデに出ればスキースクールはゆっくりとしたペースでしか滑降してこない。だから、空いているのだ。
 こうして1日を終え、ペンションに戻って食事とお風呂。後は寝るだけ、というゆったりした気持ちで、僕たちはロビー兼リビングでくつろいでいた。
 僕は床暖房されたフローリングに座りこんでいた。傍らにはクッションもあった。背もたれのある椅子もない椅子も、雑然と並べられているようで、なんとなくインテリアとして落ち着いていた。赤味がかった照明と暖炉の炎が、室内の空気をオレンジ色に染めている。それは、寒い場所にしつらえられたとても温かい場所、という感じがした。

 パチ、パチパチ。
 暖炉で火が爆ぜ、紅色の炎が清花の頬を染めていた。

 「明日は八海山へお連れしましょうか?」
 ブランデー入りの紅茶を運び終えて、オーナーの娘さんは言った。
 娘さんといってもおそらく僕や清花より5歳は年上だろう。ペンションとはこうだよね、って言いたげな可愛らしいエプロンをつけてはいるが、りんとした雰囲気を漂わせている。ようやく肩にふれる程度の髪が、風もないのにふわりと揺れた。社長はオーナー一家とは懇意らしく、あおいさん、とファーストネームで彼女のことを呼んでいた。
 「橘クンや立花サンには、まだあのゲレンデは重荷でしょう」
 八海山というのはどうやら難易度の高い所らしい。
 「社長だけ送迎してもらえば?」と、清花。
 「うーん、どうしようかな」
 社長が唸っていると、「お二人ともタチバナサン・・・、ご夫婦なんですか?」と、あおいさんは言った。
 「いえ、たまたま偶然ちょっと読み方が同じで。漢字はちがうんですけど」と、僕は言った。
 ええい、なんでしどろもどろになるんだよ、自分!
 (ちなみに作者は、漢字も読み方も同じ女性と結婚しましたけどね。だから妻は旧姓も今も同じなんです)
 「明日の朝、お知らせ下さっても良いですよ」
 紅茶だけ渡してさっさと去ったのでは愛想がないと思ったのだろう、「送迎」の件は客あしらいの一環だったようだ。いますぐ決めなくても間に合うんだから。
 「さ、社長の話を、聴かせてもらいますよ」と、清花は言った。

 僕も清花も知りたいと思っていた。社長が探偵社をやめて「風の予感」をはじめることになったきっかけを。調査対象に直接コンタクトをするタブーを犯したためだとは聞いていたが、社長はそのことを後悔していないし、ましてやそれが業務上の失策として責任をとってやめたというのでもない。それどころか、それで全ては丸く収まったのだという。しかし、それはタブーだったのだ。
 自分の信じることをやりたい。
 それが独立のきっかけになった思いである。
 しかし、僕や清花が知っているのは、そういうアウトラインだけである。いつか教えて欲しいと思っていた。それがどういう事件だったのか。
 「人に話すようなことじゃありませんよ」
 「ううん、そういうのを教えるのが、社員教育って言うのよ」
 「そうですかねえ」
 ああだこうだと逃げ回っていた社長だけれども、それでもやはり自分の想いを伝えたいという気持ちがどこかにあったのだろう。清花がねばると「じゃあ今夜、スキーを終えて、食事もして、それから温泉にも使って、寝る前のひととき、ブランデー入りの紅茶でも飲みながら、お話しましょうか」ということになった。
 「コーヒーじゃ、ないんですか?」と、僕。
 「コーヒーは普段着、ブランデー入りの紅茶はちょっとしたおしゃれ着です」
 「じゃあ、目いっぱいのおしゃれ着っていうのは?」と、清花。
 「そりゃあもう・・・・。なんでしょうね。結婚式に着る衣装でしょうか」
 東京から新潟に向かう、新幹線の車中での会話であった。

 暖炉の火は少しずつ弱くなりつつあった。炎の部分と影の部分がくっきりときわだっている。まだまだ消えてしまうには程遠いが、ゆっくりと火の勢いが衰え、いずれ消えてしまうであろうことは認識できる。まだロビーが賑わっていた頃は、あきらかに今より火勢が強かったからだ。
 だが、これで朝まで持つのだという。
 「朝、といっても、そうですね、5時半ごろでしょうか。スタッフの人は朝、まず薪をくべます。そうすると、朝食の時間にはちょうどいい具合になるんですよ」
 食事そのものは空調のきいた食堂でとるが、その頃になると、目を覚ました人がからこのロビー兼リビングをうろつくのである。手足を伸ばす人、ただ所在なげに朝食ができるのを待つ人、新聞を読む人・・・・
 社長はゆっくりとカップを傍らのテーブルに置いた。
 清花は目を輝かせた。

 「僕はね、もともと警察官になりたかったんです。それも、事件を解決する刑事に、ね」
 すると、清花はすかさず、言葉を継いだ。
 「夢かなわず、がっかり気落ちして、それでこんな仕事を始めたのね」
 「どうしてそんな結論にするんですか。話は長いんです」
 「はいはい、続けて続けて」
 「うん、でもね、公務員試験に落っこちたんですよ」
 「ほら、やっぱり夢やぶれたんじゃないですか」
 「まあそうとも言います。でも、まあ、よく『警察は事件にならないと動いてくれない』って言うじゃないですか。それに、警察の調査に不満を持ったままの人だっていますし、証拠不十分のまま裁判で煮え湯を飲まされる人もいます。じゃあ、警察には出来ないことをしよう、困った人を助けてあげよう。そう思って、探偵社に入社したんですよ」
 「そして、経験を積んで独立、と」と、僕。
 「勝手に先を急ぐのなら、もうお話ししませんよ」
 「ごめんなさい」
 「探偵業というのは、結局、人の秘密をあばく仕事です。そして、多くの場合それは、人に知られたくないことなんですよ。だけど、一方ではそれで救われる人もいる。そう割り切っていたつもりだったんですけどね」
 「でも、割り切れなかった?」と、清花。
 「ええ、そうです」
 社長は当時のことを振り返りながら語り始めた。

 社長がそのとき担当していた案件は、交通事故だった。
 依頼者は、交通事故の加害者。
 誠心誠意謝ったし、出来る限りの保証はすると申し出た。
 にもかかわらず、被害者の父親はガンとして受け付けず、金など要らない息子を返せの一点張りだった。しかし、加害者が出来ることと言えば、頭を下げることとお金でけりをつけること。このふたつだけだった。加害者は繰り返した。やがて「そこまで言うのなら」と、要求してきた賠償金は、常識外れの莫大な金額だった。
 加害者は苦悩した。大金だろうが何だろうが、それで被害者の家族の気持ちが少しでも和らぐのなら、用意してもいいと思った。けれど、とても自分たちの資力ではたちゆかない。
 保険会社にも相談したがけんもほろろで、それどころか、「後ろに悪徳弁護士でも付いているのじゃないか」とすら言われた。「相場ってものがありますよ。それを無視した要求には応じる必要はありません。いえ、それに応えるのがあなたがたの誠意だというのならご自由になさってください。保険会社は相場でしかお金は出せない、それだけのことです」
 事故を起こしたのは確かに自分が悪い。けれど、いつまでたっても通じない誠意に、加害者は身も心も疲れ果てた。
 人間疲れるとロクな考えが浮かばない。保険会社の言うように、バックでろくでもない入れ知恵をしている者がいるんじゃないかと、半ば本気で思うようになった。
 そこで、社長の努めていた探偵社に、調査依頼が来たのである。
 依頼者との面会に、社長は当時の上司とともに同席した。
 「思い過ごしかも知れませんよ。もういちどよく話し合って・・・」
 そう言いかけたとき、隣の上司に足を踏まれた。
 「有田君。我々はカウンセリングをしているんじゃない。依頼に基づいて事実をお調べするのが仕事だ」
 納得いかなかったが、確かにそれが仕事だ。調査の結果、依頼者の思い過ごしだったら、そこからもう一度話し合いを初めてもらえばいい。依頼者の立場からすると、「それはあなたの思い過ごしです」では、調査費用を無駄に使ったことになるが、探偵社としてはそれが仕事なのである。最初から「話し合ってはいかが?」などとアドバイスすれば、依頼を一件逃すことになってしまう。

 調査内容は、まずは地道な張り込みと尾行である。
 もし、後ろで手を引いている者がいるとしたら、どこかで逢っているはずだ。
 家に出入りする者がいれば写真を撮り、出てきたら尾行をして何者かを突き止める。
 被害者の父親が単独で外出するようなら、やはり尾行し、誰かと会っていないかどうかを確認する。
 ガスの点検と称して家に上がり込み、「ちょっとお電話をお借りします」と嘘をついて電話に近づいて、盗聴器も仕掛けた。
 果たして、被害者の父親は毎日外出した。
 しかし、誰とも会っていなかった。
 行き先は、息子の墓前。
 立ったまま手を合わせ、膝をついては顔を伏せて泣き、また手を合わせた。
 そういうことが一週間も続いた。
 気が付いたら、社長も隣で手を合わせていた。
 「あなたは? どうして私の息子を拝むのですか?」
 話しかけられて、社長は全てを喋った。
 加害者の依頼できていること。加害者はあなたの気持を思うともはやどうすることも出来ず、心身共に疲れ果ててしまっていると言うこと。こんな外部の者に相談するくらいだから、まさしくまともな精神状態ではないのであろうということ。
 そして、どうすればあなたの気が済むのか教えて欲しいとも言った。
 「わかってるんです、全て」と、被害者の父親は言った。誠意も十分伝わっているし、苦悩されていることも知っている。無理難題をふっかけたところで、息子が還ってくるわけじゃなく、むなしいだけの行為であることも。
 でも、加害者の前に出ると、ただ憎い。感情が抑えられなくなる。加害者を罵り、無茶を言うことだけが救いなのだ。
 「お互い、苦しむだけの行為は、もう終わりにしませんか? どうすればいいですか? 私で良ければ中に立ちますよ」
 「ありがとうございます」

 こうして、被害者は常識的な金額を事務的に受け取り、被害者と加害者の哀しい交流は終わった。
 加害者からの依頼は取り下げられた。案件は依頼を達成されることなく途中でキャンセルとなったのだ。既に行われた調査のための費用とキャンセル料は請求し、受け取ったが、それでも調査が完遂された場合に比べれば売上は大幅にダウンしたことになる。社長は上司から叱責を受け、口論の挙げ句、自らすすんでクビになった。
 売上ダウンはともかくとして、「余計なことをしてさらにややこしいことになったらどうするつもりだったんだ?」というのが叱責の理由である。
 確かにそういうこともあるだろう。「調査がうまく行きませんでした」なら頭を下げて済むかもしれないが、依頼されてもいないことに頭を突っ込んで事態を混乱させれば、すいませんでは済まない。
 「私は最善とは何かを考えて行動し、依頼者に感謝されていますが」
 だが、上司は首を横に振った。「それは結果オーライとなっただけだ。うぬぼれてはいかんよ、有田クン」

 「僕が勤務していた探偵社は、浮気調査とかそういう飛び込みの依頼も受けていたんですが、メインはいくつかの企業からの素行調査だったんですよ。新入社員とか、幹部への昇進とか、社員の結婚相手とか。そんなことに神経が使える世の中、平和だと言われればそうなのかも知れません。けれど僕は殺伐とした気分になりました。何のためにこんな調査をし、そしてこの調査結果がどう使われるのか、そんな風に思うとたまらなくなりましたね。少なくともこの手の調査は誰かを幸福にすることは出来ません。確かに、僕がやめるきっかけになった案件、交通事故の加害者が依頼者、なんていうのは、事象としては殺伐としているかも知れません。けれど、とても人間的な事だと思いますし、お役に立てたと思ったんです。探偵社や興信所の現在のありようが間違っているなんてことは僕には言えません。必要としている人がいるんですからね。でも、僕は、きっとそれとは違うことがやりたいんだろうな、そう思って、かなり考えましたよ。色々なことを」
 「それで、思いついたのが、『風の予感』?」と、僕。
 「まあ、そうです。『風の予感』をやろうと思いつくまでにも、公私色々とありましたけれど、結論としては、そうですね」
 「で、仕事も順調だし、スタッフも増えたし、それでいよいよ会社組織にして、華々しく電話帳広告を打とう、そういうことだったんですね?」と、清花。
 「またもう、過ぎた事を。電話帳広告の件はもういいじゃないですか。すんだことです。あれは、まあ、見栄みたいなもんですよ。依頼自体は口コミで来ますし、大きく宣伝したら気の進まない仕事も入ってくる。手作りの良さ、みたいな感じの仕事で良いんじゃないですか?」
 「そりゃあ、わたしもその方がいいと思うけれど、じゃあどうして、わたしに電話帳広告の文章を作らせようとしたんです? まさか、私にたいして見栄を張った訳じゃないでしょう?」
 「ううん、しょうがいないな、正直に申し上げましょう」
 申し上げましょう、と言いながら、社長はいつまでたっても口を開かない。視線をあげたりおろしたりしながら、「まあ、コーヒーでも頼んできましょうか?」なんぞと言っている。
 「いま、何時だと思ってるんですか?」と、清花。
 日付が変わってどれくらいになるだろう。厨房から響いていた音もすっかり静かになっていた。夕食の片付けも朝食の仕込みも終えて、ペンションはとっくに眠りについていた。
 「はい、どうぞ」
 紅茶を出してくれるとは思っていなかった僕は、自動販売機で缶コーヒーを仕入れていた。
 「さ、役者は揃ったわね。さっさと白状しなさい」と、清花。

 結局社長は、リップを開けることなく、缶を掌で暖めるように包み込んだまま、話した。
 「今度ちょっと、結婚を考えているって前に言いましたよね?」
 社長は僕たちが頷くかなにかするのを待っていたのだろうか。いったん言葉を切った。でも、僕も清花もただ社長の顔を見つめるだけだ。
 「それでね、会社組織にして、電話帳広告が掲載されてるのを見せれば、相手の親も少しは安心するかな、と思ったわけです。だから、言ってみれば、見栄ですよ。見栄は良くありません。ありのままで良いじゃないか、とまあ、最近そう思うようになりまして」
 「わたし、そういうの見栄じゃないと思います」と、清花が言った。「相手の親を安心させる。それって、思いやりですよ、社長」
 「でもね、立華さんの広告文章を読ませていただいて、ああ、風の予感にはやっぱり広告なんて似合わないんだなあって、そう思いました。あ、でも、会社化は予定通り進めましたけれどね。スタッフの人にもきちんとしてあげたかったし、妻、になる人にも」と、社長は「妻」だけを小さな声で言った。
 「事務員ということで、ちょっと手伝って欲しいなとか思ってますし」
 「素敵ですよ、社長」と、清花。
 「そ、そうですか? なんだか、照れくさいだけで」
 「今度紹介して下さいね」と、僕は言った。社長の選んだお嫁さんなら、きっと素晴らしい人なんだろうと思う。
 「あ、あのコンサートの時、一緒に来ていた人ですね?」と、清花は思いついたように言った。
 「いや、まあ、そうです」と、社長。
 「なあんだ。そんなことなら、近くで見れば良かった。私達、遠慮して声もかけなかったんですよ」
 「いやまあ、妻、になる人は、いずれ紹介しますけれども、そういう事なんですよ。で、僕のことはともかく、お二人はどうなってるんですか?」
 僕達にたったひとつしか部屋を与えないでおいて、「どうなってるんですか」もないもんだと、僕は笑顔と共にため息をついた。
   




番外編 ジャスト ア ミニッツ「今夜の靴は踏み外して」 おわり

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