遥かな草原の香り =0=
=再連載にあたって=     

 

 この作品は、連載が中断してしまった「グリュースゴット」を改題し、構想も新たに連載を再開させたものです。

 グリュースゴットとはドイツ語をカタカナに直したもので、山歩きなどをする際にすれ違ったトレッカーと交し合う南ドイツ地方の挨拶の言葉です。日本でも登山などをすればすれ違う人と「こんにちわー」って挨拶しますよね。
 そういうほんの一瞬の出会いや触れ合いを大切に、というメッセージが作品の根底にあるんですよ、という想いをタイトルにこめていたのでした。

 新しいタイトルは「ラストシーン」のイメージによるものです。ラストシーンがその通りになるかどうかはわかりませんが、このようなタイトルのつけ方をした作品に「風の予感」があります。

 旧作「グリュースゴット」にはけちゃさんからイラストを頂いていました。ただ、再連載に当たってジャムちゃんのイメージが多少変化してくるので、この挿画が使えなくなってしまうんです。

 ジャムちゃんはセーラームーンなどに見られるような「コスチューム戦士」なのですが、その服装が元作ではちょっとエッチだったんですね。どうエッチだったかというと、このイラストをご覧いただければわかります。

 本編で公開できなくなるので、この「再連載にあたって」で掲載させていただくことにしました。

 けちゃさん、どうもありがとう。そして、ごめんなさい。

 新しいジャムちゃんのコスチュームは、セーラー服とレオタードとスクール水着です。なんかありきたりですが、普通の高校生がそのまま戦士になってしまうんだから、ありきたりでいいかな、と。だからといって、別にそちら方面の愛好者用に書かれた作品ではありませんので、過度な期待はおよしになったほうがよいかと思います。

 それにしても、オンラインノベルのサイトでは挿画が華やかです。
 挿画はイメージを固定させ、読者の想像力を一定の枠内にはめ込んでしまうからということで採用にならない方も多いのですが、一方で挿画は、作品そのものに厚みをもたらせてくれますし、また単純に見て楽しめるという点からも、僕はどちらかと言うと挿画はあった方がいい派です。
 しかしながら、自分で描けない哀しさ。
 スキャナもタブレットも購入しましたし、フォトショップもインストールしたんですが、やはり挫折。オンラインノベルの挿画が華やかなのは、無条件でカラーであるということと、筆者自らが描いている場合が多いという点に集約されるでしょう。
 自分で描けない、しかも人様に描いてもらっている、にもかかわらず、構想変更で本編から外すことになってしまったなんて申し訳ない気持ちで一杯です。

 ところで、このグリュースゴットは実は3度目の連載再開です。これまでに2度も連載中断しているんですよね。なんと難産な作品なことか。

 オンラインには、ひとつの作品をきっちりと完結させてから次の作品に取り掛かる方の方が主流のように見受けられますが、中には僕のように同時多発連載をしておられる方もあります。
 その中でも僕は特にやっかいな作家で、全体の進行に支障をきたすほど連載数を抱え込んでしまう癖があるようです。

 困り果てて2001年の秋には「最終回ラッシュ」なるものを試みました。その際、いくつかの作品が「連載中断」のまま放置されました。そうして新しい作品がいくつかスタートしたわけですが、連載中断の作品を撤去せずにおいたのは、いずれ連載を再開させたいという想いがあったからです。

 構想を新たに書き直して、というつもりはありませんでした。しかし、そのまま続けるには、僕の心情も変化していますし、稚拙な部分も多々見受けられ、書き直すことこそが再連載への近道だという結論に達したわけです。

 続きを楽しみに待たれていた読者の方には申し訳ないのですが、このような理由でもう一度最初から読んで下さいね、というお願いをして、連載再開の挨拶とさせていただきます。





本編にすすむ

目次へ