むなしいエッチ  by さや その1





 



「うっ、うっ……ママ……」

 私は8年間付き合い、同棲もした彼の大きくなったペニスを握っていた。
 私は冷ややかな目で彼を見ていた。

 彼は人生で一番辛い事が起き、私の身体を求めた。
 でも、私はすでに数ヶ月前から彼への愛情が無くなっていた。私は身体を交える気持ちにならなかった。

 同棲して4年。当初は結婚を目指していた。
 でも、4年の間にお互いの事情が変わり、彼と一緒にいるのが苦痛になっていた。
 彼は薄々私の気持ちに気付いて、結婚話を進めだした。私は長年付き合った彼であったので、気持ちが全く乗らないものの、結婚するしかないのかというあきらめでいた。

 そんな気持ちを癒すように、私はネットにはまっていた。いろんな男性とチャットをしたり、掲示板で交流をするようになった。そのうち、私は一人の男性Nと会った。
 そのNは私のマゾの性癖を見抜かし、会ったその日から、私はNのことで頭がいっぱいになった。そんな中で、彼の不幸が起きた。

 小さな子犬のように泣く彼。
 半年前の私であれば、愛で彼を包んであげただろう。今の私は、彼は汚い何かにしか感じなかった。
 Nからされたように、私は彼を言葉でなぶる。
 彼もマゾだった。マゾ同士だったから、彼とのセックスでは私のマゾは開花してなかったのだ。

「そんな恥ずかしいことを言ってるから、ここはおおきくなっているんだね……。何をして欲しいの?」
「さやが欲しい」
「ほら、こうやって触ってあげるだけでも、感じているんでしょ?」

 私は彼のペニスを握りながら、もう一人の自分が私を見つめていることに気付いていた。あんなに愛した相手なのに、こんなにむなしいエッチはない……。私は、もうこの人を愛せない。

 彼がNの存在に気付くのにそんなに時間がかからなかった。私がNに会うようになってから、様子が変わったからだ。
 とうとう、Nの写真を持っていたのがばれてしまった。

 彼は私を脅し始めた。半年前に撮った、彼とのセックスの写真。それをばらまく、と。
 私が入浴中に逃げられない風呂場で暴言を吐いた。そして、暴力。
 私が引っ越しするのはあっという間だった。

 別れる直前、彼は私に言った。
「おまえの大切な人間が亡くなったとき、おまえを笑いに行くからな」
 彼のことは別れて5年経っても、夢に出てきて、うなされることになった。
(ロマンス&ラブトーク掲示板より 2010年8月27日 30歳 人妻)

 
 なんとも苦い別れになってしまいましたね。一時は愛しあい、結婚まで考えた仲、愛が冷めて別れるのは仕方ないにしても、せめて「元気でな」ってお互いに心の底から思えるような別れだったら良かったのに……。心に傷を残してしまいましたね。最初、ロマンス&ラブトーク掲示板に「主婦」って書いてくださっていたから、「ああ、その後、幸せな結婚に至ったんだな」ということがわかるので、救われる気分がしています。

 
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