破局(4)  by もも その14





 

 彼と別れた私は寮に戻り、彼を忘れるため、忙しさに身を投じていました。
 季節は12月ですから、仕事も学校も追い込み。
 私は何度も学校をさぼったので補習補習の連続で、友達にノートを見せてもらいながら……、あっという間に正月休みで、帰省。
 一人になると彼を思い出すので、毎日誰かしら友達と会い、飲めないお酒を飲み……カラオケにいく……。
 そんな私を母と姉が心配して「三が日くらいは家でゆっくりしなさい。体を壊したら大変やから……」
 私はおとなしく家にいました……。一緒にお雑煮を作ったり、近くに初詣に行ったり。

 三日……、B君から電話があり「ももちゃん、新年おめでとう。これから時間ある? 初詣いかへんか?」
 B君はK君の親友。彼を思い出すから……。
「ゴメン……。今はB君と会うのも辛いから、やめとく」と断りました。
 彼と別れて一ヶ月……。まだまだ私の中にはK君が充満していましたから……。

「ももちゃんの気持ち……、ゴメンな……。でも俺はももちゃんと初詣行きたいんや……」
 食い下がるB君。
「ちょっとまって……、母に聞いてから……」
 反対すると思ってたのに、「夕方までなら」と、父が許しをくれました。

 時間を伝え電話を切り……、迎えに来てくれたB君……。
「久しぶり……」
「うん。久しぶり……」
 車を走らせるB君……。
「いつまで休み?」
「五日まで……。五日の午前中には寮へかえるつもりやから……」
「ごめんな、無理言うて。会えてよかった!! せっかく会えたんやし……初詣のあとカラオケでもいこか?」
「………」

 凄くつまらなそうにしてたと思う……。
「そんな緊張せんでも……、襲えへんし(笑)」
「わかっとるけど……、B君とこんな風に話すの初めてやから……。いつもKく……」
 私は言葉に詰り、涙が溢れ出た。
「やっぱり辛い。ゴメン、帰る……」
 そう無理を言ってUターンしてもらった。
 涙が止まらない私を心配して、途中で車を停め、暖かい缶コーヒーを……。
 B君は私に、「黙っとこうと思ったけど、俺な、この間Kと喧嘩してアイツ殴ったんや。ももちゃん泣かして何をしとるんやって……」
 B君は私の知らないその後を話してくれました。
 K君のお母さんが激怒してビンタしたこと、大学を辞めるか悩んでること、あんなに仲のよかったK君とお母さんとの関係は今は最悪だということ……。

 何よりBくんから……。
「俺は高校入った時からももちゃんが好きやった。気がついたらKの彼女になってしもとった……。アイツ俺にももちゃんと結婚するっていうたのに……。こんだけももちゃん泣かして……。今すぐにとは言わへん。Kを忘れるまで待つ。そやから俺を見てくれへんかな? 返事は今すぐでなくてかまんから……」
 驚き過ぎて、声が出なかった……。
 まさかそんな……。

 私は何も言えず、彼に送られて家に帰った。家では何事もなかったように明るく笑い、でも、一人になると、涙が……。
 五日……、私が寮に帰る日、B君から寮まで送ると電話があったけど、断った。同じ空間には……、まだ、……笑えない……。

 父が送ってくれた。車の中で「慌てて嫁に行かんでええぞ!」と私に言った……。
「うん。ずっと家におったるで……行かず後家になったるわ」と言うと、「まぁ……、それもええか」と、父が笑う……。
 寮に着き、いつもの生活へ……。忙しい日々……。

 ある日K君のお母さんから連絡が……。
「ももちゃん、久しぶりやねぇ」
 元気のない声。
「元気にしとった? 体は大丈夫?」と私を気遣ってくれて。
 お母さんは涙声で、「ももちゃん……、ゴメンね。ばか息子がももちゃんに……、ほんまに申し訳ない事を……」
(受話器の向こうでお母さんが泣いているのがわかります)
「ももちゃん、声聞けてよかったわ……。体に気をつけて頑張って保母さんになりよ……」と。
 お母さんに会いたい……。と思う反面、辛さに耐えられない事も目に見えてる……。
「お母さん、私は元気にしてます。頑張って資格とって保母さんになります。お母さんに言われたように夢を諦めらんとあと二年頑張ります。私は大丈夫ですから……。お母さんこそ体を大事にして下さいね」
 涙が出そうなのを我慢して、そう言い電話をきりました。

 辛い……。
 別れるってこんだけきついんや……。
 もう男はいらん。そう思いました。

 あんなに時間を惜しんで動いてたのが一転ぐうたらに(笑)
 平和な日々……。私は無事に進級!!

 周りは彼氏の話で春欄漫。季節は五月の連休に。私は実家へ……。
 忘れた頃にB君から電話。
「ももちゃん、明日会える?」
 なんか、会ってもええかな。そう思った。
「明日? 大丈夫やと思うけど……」
 そういうと彼は嬉しそうな声で時間を告げ迎えに行くからと、電話を切った。

 翌日、B君が迎えに来た。
 正月に行けなかったからと初詣の続きを……。人のいない境内……。二人でベンチに座る。他愛のない世間話……。
 会話が途切れた……。

 B君は私に、K君の話を始めました。今、その話をしなくても。そう思いました。
 そう言えば今、何ヶ月? もう産まれる頃? そんな事をふと……。

 B君の話は私にとって凄くショッキングな話でした。

 E子の妊娠がうそだった……、と。

 K君がお母さんと二人で挨拶に行き、式の日取りまで決まろうとしてたのに、後日、E子のご両親が破談を申し出てきた。
 K君のお母さんは激怒したけど、K君は追い詰めたのは自分やからと結婚の話をつめようとしたけど、E子の家族の方は申し訳ないと断ったらしい。

 妊娠が、うそ……。
 私の……、想いは……、何……。
 今、……Kくんは……。
 言葉が出ない……。手が……、体が震える……。呆然とする私……。
 私の頬に優しく触れるB君。、出てたみたい……。

「ももちゃんに俺との事をちゃんと考えて欲しいからKの話をした。アイツは今一人や。連絡するならしたらええ」
「えっ……、そんな、こと……」

 何も考えられない私の肩はB君に支えられてた。涙をふくこともせず、ただ流すだけ……。
 私はB君にすがって泣いてしまった……。

 広い境内。私とB君の二人だけ。
「ドライブでもしよか……」
 そう言って私を立たせ体を支え、抱きしめる……。

 車にのせられ、窓に持たれて、外を見る私……。
「B君、ゴメン。帰りたい……」
「あかん。……今日はかえせへん」
「えっ……」
 私は泣きはらした目で彼を見た。
「こんだけ泣いとるももちゃん、ほっとけらん。……こんな時にゴメン。でもな今やから、俺の事見てくれへんかな……」
 Mさんも同じ様な事を……、そんなことが頭をよぎる……。
「ゴメン、B君。……今は誰かと付き合う事は考えられへん。B君とは友達以上は無理やと思う。K君の親友やん。……無理、……やわ……」

 五ヶ月も待たせた上に、この返事。私は嫌な女……。

「俺、諦めの悪い男やで……。ももちゃん、待つから……」(笑)
 B君は私を強く抱きしめて、「ほんまに好きやねん。大好きやねん」
「ありがとう……。こんな私にそんなこと。嬉しいけど……、ゴメン……」
 涙はずっと流れたまま……。なんで泣いてるんかわからんようになってた……。  頭が痛い。泣きすぎた。B君の指が私の涙を拭う……。
「あっ」
 唇が重なった……。
 優しい感触。拒めなかった……。 「B君、もう会うのやめよ。私なんかよりもっとB君に似合いの人おるはずやから……」
 会えばこうなるのはわかってたはずやのに。余計に嫌な女……。

 B君は黙って車を走らせた……。
「今日は一日付き合って」
「………」
 頭痛いし、もう思考回路なんか働かない。どうにでもなれって感じ。でも……。
「B君、ゴメン……。私、まだK君忘れられへんから……。もう帰りたい……。……B君、私とどうなりたいの? 私を抱きたいの? 仮に抱かれたとしても心ここにあらず……やわ……」

 B君は車を止め、私の方を向き、私をしっかりと見つめ口を開いた……。
「抱きたい…てん、それもある。無理矢理にとは思ってない。Kがももちゃんをどんなに大事にしてきたかわかっとるから。そやから俺を見て欲しいんや……。ゆっくり付き合って分かりあいたいんや……」
 そう言いました……。

 私がK君と付き合ってたこと、B君が彼の親友であること……。
 これは消せない……。
 やっぱり無理。

「Bくん、ゴメン、やっぱり……無理……。今さらK君に連絡しようとは思わん、……もう終わった事やから……。でも、B君をK君の代わりにしたくない。ゴメン、ここで下ろしてタクシーで帰る……」
 そう言ってドアを開けようと手をかけた……。
 ロックされてて開けられない……。
「ももちゃん……」
 私を抱き寄せ、ディープキス……。

 唇が首筋に……。ビクッ、とした……。
「いや……。やめて……」
 そう言って拒否した……。
 彼は私を強く抱きしめ、愛しんでくれる優しいキス……。
 それ以上の事はしなかった……。

 その後、家まで送ってくれた。
 K君の親友じゃなければ、このまま愛し合えたかもしれない……。そう思った……。
「これで最後。ゴメン、ありがとう……」そう言って車を降りた……。
 それ以降、B君の電話にでるのをやめた。
 お互いの為に……。

 初体験だけを投稿するつもりが、なんだか止まらなくなってしまいました(笑)
 浪漫さんに読んでほしいっていうか、きいてほしくて……。
 他の人からすれば、なんやそんな事か、ありがちな事やん、そう思われるかもしれません。
 でもK君との別れは19になったばかりの私の心を修復不可能なくらいのボロボロにした。
 私にとって、大切な思い出でもあるんやけど、一番思い出したくない記憶でもありますから。
 今まで目をそむけてきた……、考えないように……、思い出さないように……。
 このサイトを知って、浪漫さんを知って……、辛い思いと向き合ういい機会になりました。もっと早くしってれば、そう思います。

 私自身……、もしかしてまだまだ立ち直ってないの? ……と、まさかまさか思う反面……、K君との幸せな頃の私を思い、微笑んでみたり……。
 主人には申し訳ないですけどね……。
 もちろん今は家族に囲まれ幸せに暮らしていますが……。
 ここ数日は涙で中々書き進められなくて……、当時を思い出すと、やっぱり辛く、切ないですね。

 現在……、K君はE子ではなく別の方と結婚し東京の方にいるとききました。
 B君は、私の事を私の友達に相談してたらしくて、色々とあったようですが、その友達と結婚しました。(笑)
 浪漫さんからメールを頂いて……、《ご主人はK君? だったら素敵ですね》
 あれはかなり効果のあるパンチでしたね(笑)。
 でも……、MさんやK君との別れを……、辛いことを乗り越えて今があるんです。最愛の主人とも出会えましたからね(笑)
 長々と読んで頂いてありがとうございます。私の涙が乾いて落ち着いたら又、……主人との出会いなどを投稿させて頂きますね。
(メールによる体験告白より 2009年2月23日 )

 
 K君の浮気、そして、浮気相手の妊娠。それが事実だったなら、ももさんもここまでは傷つかなかったでしょう。でも、それが嘘だっただなんて。K君を自分のものにしたいがために、E子さんも、必死だったのでしょう。でも、この嘘が誰を傷つけ、誰の人生を変えてしまうのか、そして、そんな嘘で自分自身が本当に幸せになれるのか、それをきちんと考えることができていたら……。今さら言っても仕方ないことですが……。それはそれとして、「慌てて嫁に行かんでええぞ!」と言ったももさんのお父さんの愛の深さを感じずにはいられませんでした。

 
前へ   もくじ   次へ


アナタもエッチな体験をここで告白してみませんか?