ネットナンパ師“スケベガオ”の
今宵のベッドはキミと共に

【7】 2人の女と同時進行。そして、突然の破局。


 海ちゃんとは相変わらず続いている。処女だった彼女は、最初、ラブホに連れ込むだけでもそれなりの時間を要したし、会うのに彼女が躊躇することがあったりで、なんとかカントカ理屈をつけて「会った方がキミのためだよ」という方向へ持っていったりした。

 安物のエロ小説のようだけれど、「処女を捨てるだけじゃダメ。ちゃんと女の悦びを得ないと、処女に戻っちゃうようなもんだよ。またいちからやり直しだよ」と。そうして、回数を重ねるうちに、海ちゃんも声を張り上げて、自ら腰を振るようになった。

 彼女とは、3年ほど、続いた。そして、終わった。

 終わった……、と言っても、どちらかが別れを告げたわけではない。海ちゃんとのやりとりはメールだったのだけれど、「あれ?」と思ったのは、彼女に「○日はどう?」といつもと同じメールをし、そして帰ってきたメールを見たときだった。

 いつもの「その日はごめんなさい」メールなら、「○日なら大丈夫だけど」とか、「また誘ってください」など、一言添えられているのだが、それが無かったのである。それが3回も続いた。
 前兆が無かった、と言えば嘘になる。少し前にも、3ヶ月ほどデートにブランクが空いたことがある。これまでと感じが違うなとは感じていたが、気付かないふりをして誘い続け、またデートの日々が始まったので、それで良しとしていたのだ。

 しかし、こうなってみると「あれは前兆だったのか」と思い当たる。結局、様子を見るためにこちらから連絡するのをやめたら、とうとう彼女からは音信不通となった。その後、メアドを変更したので、一度だけ事務連絡的にメールをしたが、やはり反応無しである。

 原因はよくわからない。そもそも彼女にとって、僕がどういう位置づけだったのか、真剣に考えたことも無い。
 夜景を観に行ったり、蛍見物に出かけたりしたのも、最初の半年だけ。あとはずっと会えば「食事とセックス」ばかりだったが、そんな割り切った関係になってしまうのが納得できなかったのだろうか? それとも、僕に飽きたのだろうか? 彼氏ができて、こちらの関係を清算しようと思ったのだろうか? 生で挿入、時々中出しな関係に不安を抱いたのだろうか?

 いつの間にか出来上がった「会えば必ずセックスする」という前提での関係は、とても心地よく便利だったのだが、双方がそう思っていなければこんな関係は成立しがたいのだし、長く続けたければ「セックスするために会う」というだけではなく、あとひとつでもふたつでも、2人が仲良くしていられるような関係性を築いておくべきだったのかもしれない。

 雪ちゃんとは、また違った終焉だった。

 彼女ともあしかけ3年。年に2〜3回しか会えなかったが、お互いが相手の地元へ行って、一緒にお泊りをしたり、また2人して温泉旅行に行ったりもしたけれど、いつの頃からか、計画はしかけるけれども彼女の方から「やっぱり、やめておく」というようなことが多くなった。そして、いつしか約束自体をすることが無くなったのだ。

 どちらかから別れを切り出したわけではない。たま〜に思い出したようにメールのやりとりも、ある。でも、この先、会うことがあるのかどうか、もはやわからない。とってもステキな子なので、僕としては是非会いたいし、また抱きたい。でも、雪ちゃんは、私生活で色々あって大変な様子もそれとなく伝わってくるし、こういう関係に疑問を抱くようにもなったようだ。
 ホレタハレタの関係ではないにしろ、だからこそ、関係性に疑問を持ったら、きっと行き場が無くなってしまうのだろう。

 さて。海ちゃんとも雪ちゃんとも関係が切れ、身近な女性にセフレ関係や不倫関係を誘いかける勇気もない僕は、妻以外とセックスを楽しむなんて機会もきっと、これっきりなんだろうなと思っていた。ところが、約1年後、なぜか再び、ウハウハな関係が始まってしまうのだが、それはまた次回。


ぶるう浪漫:今回は、セフレ的な関係の人と長続きさせるには、どういう心配りが必要か、とまあ、そういうテーマだと思ったらいいですか?
スケベガオ:そうですね。その通りです。
ぶるう浪漫:で、ここで紹介されているふたつの例というのは、成功例と考えたらいいのですか? それとも、失敗例ですか?
スケベガオ:むつかしいですね。こういう関係が3年も続いたと考えれば成功例だし、こんなもんだと思えばこんなもんだし、いやいや、もっとうまくヤル方法があったはずだ、もっと長続きしたはずだとするなら、失敗例です。
ぶるう浪漫:スケベガオさん的には、3つのうちのどれでしょうか?
スケベガオ:自分的には、「こんなもん」だと思います。でも、読者の皆さんにノウハウを伝授するという視点に立てば、明らかに失敗例でしょう。
ぶるう浪漫:というと?
スケベガオ:雪ちゃんの場合は遠方ということもあったんだけど、相手のペースを大切にしすぎたんじゃないかって思います。やっぱり、極端に間が空くのはどうかと思いますし、もう少し強引な部分があっても良かったと思いますし、デートも年に2〜3年というのではなくて、基本はツキイチ、でも、都合がつかなくて会えないときもあるよね、ぐらいのペースを維持すべきだったと思います。もともと、何の接点もない二人なわけですから、成り行きに任せておいたら、どんどん疎遠になっていきます。
ぶるう浪漫:なるほど。では、海ちゃんの場合は?
スケベガオ:あまりにもワンパターン過ぎたかなって思うわけですよ。最初の頃はデートでもちょっと考えたり、手を加えたりしたけれども、そのあとはずっと、食事&ホテルだったし、食事も似たようなランクのお店ばっかりでしたから。
ぶるう浪漫:ワンパターンはやっぱりダメですか……。
スケベガオ:ダメですね。ベースの部分はそれで良くても、時々、「あ、今日はいつもと違うな」っていうのが無いとね。飽きてきますよね。
ぶるう浪漫:でも、そもそもそういう関係が前提だったわけですよね? 仕事帰りに会って、エッチして、っていう。
スケベガオ:そうだとしても、同じことを繰り返していると、「あれ? 私、何をしているんだろう? 好きでもない人と……」みたいに、我に返ってしまう。でも、時々、デートらしいデートをして、楽しい思いをしたり、目先が変わったりしたら、余計なことを考えずに、純粋に「会うのが楽しい」ってなるでしょう?
ぶるう浪漫:なるほど。会ってエッチが前提だから、それはそれでいいとして、ワンパターンすぎると、セフレな関係ってなんだろうと、我に返ってしまうわけですか。
スケベガオ:まあ、僕が勝手にそう思ってるだけですけどね。「どうしてもう連絡くれないの?」とか質問したわけでもないですし。
ぶるう浪漫:では、具体的には、ワンパターンにならないためには、どんな工夫がありますか?
スケベガオ:時間にも費用にも制約のある中での話ですから、難しいとは思いますが、食事に行く店のランクを似たようなものにするのではなくて、いい店に行くこともあれば、安い店に行くこともある。ラブホで食事をすることもあれば、高級な弁当を買い込んで行ってもいい。お互い不便になるけれども、初めての場所で待ち合わせをして、ブラブラしてみるとかでもいいし。芝居や映画やライブなんかに一緒に行くとか、美術館や水族館に行くとか、なんかのイベント会場へ出かけてみるとか、そんなことも必要でしょうね。
ぶるう浪漫:場合によっては、エッチの時間を削ってでも、ってことですか。
スケベガオ:そうです。その結果、エッチする時間が無くなってしまうなんてことがあっても、たまにはそういうのもアリでしょう。
ぶるう浪漫:そのほかに、何か注意点はありますか?
スケベガオ:あとは、マメに連絡を取り合うこと。実はこれが一番の反省点なんですが、海ちゃんとは、待ち合わせをどうするかとか、そんなメールしかやりとりしてなかったんですよ。つまり、連絡を取り合うのは、セックスの約束をするためだけだったという。
ぶるう浪漫:……。あのう、デートがワンパターンがどうとか言う以前に、それが一番、ダメなんじゃないですか?
スケベガオ:その通りです。カップルごとのペースってのがありますから、1日何回以上メールしなさいとか、そんな話ではないんですが、まあ1日一回くらいは、世間話的メールはやりとりした方がいいと思います。それこそ、疎遠にならないためには大切です。
ぶるう浪漫:随分、文書量使った割には、そんな初心者でもわかるような締めで、ありがとうございました。
スケベガオ:初心者以下な講師で、どうもすみません……。


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