ネットナンパ師“スケベガオ”の
今宵のベッドはキミと共に

【4】 ネットにモテ期はあるか?


 海ちゃんとは、セックスフレンド的な存在として続いていたけれど、同時に空ちゃん、雪ちゃんの2人の女性とも仲良くなった。
 海ちゃんの存在のおかげで「会いたい、ヤリたい」なギラギラ感がなくなり、シモネタも含めた世間話を楽しくやりとりしていたのだ。

 前回はその2人の女性にアプローチしたことを書いたが、それとは別に、最初からエッチ目的の女性とも会ったりしていた。
 さすがに、ソレが目的なので、話は早い。
 遊びと割り切っていて、仲良くなって継続的に関係を持ちたいなどとは微塵も考えていないようだった。

 それにしても、あれだけ惨敗を続けていた出会い系、今頃になってどうして勝率が上がってくるのか、不思議である。ネットにもモテ期なるものがあるようだ。それとも、単なる「慣れ」なのか。

 イケそうとなったら、露骨なメールも出したりするのだけれど、「どこでイケそうと判断するのか」とか、「露骨さと言外に含むニュアンスとのバランス」とか、そもそも「この子はいずれ落ちる」かどうかを最初に見極められているかなど、様々な要素があるのだと思う。

 モテ期だったのか、慣れだったのか、とにかく僕は調子に乗っていた。
 そして、繰り返されるメールのやりとりの中で、すっかりイケると勘違いして雪ちゃんにまでお誘いをかけ、「匿名のネットで女を口説くなんて、卑劣。サイテー! 悔しかったら、住所も名前も全部明かしてから、誘いなさいよ」な〜んて痛烈な返信を受け取ることになったのだ。

 ところで、「ヤリ目的」で会った女性たちはどうであったか。
 実はこれが、つまらなかったんだよね。

 食事やデートもなく、ろくな会話もなく、いきなりホテル。
 しかも、「2時間だからね」とか、「1回だけよ」とか、風俗店じゃね〜っていうの。

 きっと、わずかな時間を惜しんで逢瀬を楽しんでいるんだとは思うんだ。何時までに帰らないと子供が帰宅するとか、買い物をして夕食を作って旦那を待たなくちゃなんないとか。
 回数制限も、ご主人か彼氏への義理立てなんだろうね。火遊びはしたいけれど、夢中になったらいけない、な〜んて自制してるに違いない。
 いや、やっちゃったら、同じでしょって、僕は言いたいけれどね。

 それにさ、結論から書いちゃったけれども、こういうのって、本当に「つまらない」のよ。だって、本当に会ってヤルだけ、なんだもの。
 確かに、火遊びするには様々な条件がついてくるだろうし、人妻サンなら、なおさら。でもね、条件最初にありきな感じがして、そうすると、「とにかくヤレればよろしい」ってのが見えてくるわけで、そうではなくて、「双方色々都合があるのはわかっているけれども、会っている、あるいはヤッている間は、相手のことだけを見て、夢中になろうよ。疑似でいいから恋愛しようよ」ってのが無いと、味気ないんだよ。

 それで、気がついたね。僕はただヤリたいだけ、というんじゃない。
 行動としてはラブホ直行で、行為としてはヤッてるだけだったとしても、人と人との交流や触れ合いこそが大切なんだ、ってね。

 そういう感情がなく、エッチだけした・性欲は満たしたっていうのだったら、「お金を払って、プロにサービスしてもらいます」の方がいいと思いません?

 素人女性をナンパするのは、最終的にはエッチだとしても、デートを楽しみという要素は欠かせない。
 だけど、街中に出てイチからナンパでは、成功率も低いし面倒だから、メールでお互いその気になっておく。それだけの違いなんだよね。

 ところで、雪ちゃん。悔しかったら身分を明かせとメールを寄越してきたわけだけど、そりゃあもう、悔しかったですよ。
 会ってもいないのにこんなこと言うのはおかしいかもしれないけれど、僕は彼女のことを好きになってたし、会ってエッチしたいとも思っていた。
 このまま終わらせて、たまるか! だから、名前も住所も、彼女にメールで伝えた。


ぶるう浪漫: ちょっと待った。
スケベガオ: え? 何です?
ぶるう浪漫: 前回、あんな終わり方をしておいて、その続きって、これだけ?
スケベガオ: だけ、とは何ですか。だけ、とは……。
ぶるう浪漫: だって、そうでしょ? 痛烈なメールを受け取ったら、どう対処して、その後、どうなったか、気になるじゃないですか。それに対して、「言われたとおりのことを伝えました」だけじゃん。
スケベガオ: ……それが、なにか?
ぶるう浪漫: だから、今回は、雪ちゃんとの、その後を期待していたわけですよ。
スケベガオ: ……はあ。
ぶるう浪漫: 言っても、無駄か……。暖簾に腕押しっぽいし。
スケベガオ: いや、その後のことは、ちゃんと書きますよ。雪ちゃんとのことは、自分にとってのネット出会いの中では、とても重要な位置を占めてますから。
ぶるう浪漫: だから、もったいぶってると。
スケベガオ: とんでもない。雪ちゃんとのことだけを延々と書いたら、ハウツーものにならないでしょ? 雪ちゃんとの仲が深まっていくには、それ以外の人とのことを説明しておくのは不可欠なんですよ。そうしないと、いかにヤリ目的だけの出会いが詰まらなくて、人と人っていう出会いこそが、深く仲良しになっていくために必要なんだ、心を通わせることが大切なんだってことを、伝えられないじゃないですか。
ぶるう浪漫: まあ、そうなのかもしれんけど……。
スケベガオ: そうなんですよ!
ぶるう浪漫: ま、いいです。じゃあ、今回のテーマ、ネットのモテ期ってやつですが……。
スケベガオ: はい。
ぶるう浪漫: あるんですか? ないんですか?
スケベガオ: 私は、あると思いますね。
ぶるう浪漫: ほお。それはまた、どうしてです?
スケベガオ: いわゆるモテ期は、人生に3回あるとか言いますけど、それとは違うように思います。でも、調子よく次々話がまとまって会えるときと、そもそも実際に会うところまでいかず、それどころか、アプローチしても誰もひっかかって来ないていうのが連続する時があるんです。まるで、昨日今日、ネットで出会い系を始めたばかりの頃のように、全て空振りしてしまう時期が、ネットナンパに慣れた後でも、繰り返しやってきます。
ぶるう浪漫: 何度か成功して、コツをつかみ、慣れてきても、うまくいかない時期があるってことですね?
スケベガオ: そうです。
ぶるう浪漫: スケベガオさんは、それを、どんな風に分析していますか?
スケベガオ: そうですねえ。ある種の波と言えば波でしょうね。でも、その波を作っているのは、まさしく自分なんです。相手を1人の女性として、それ以前に1人の人としてとらえ、丁寧にメールやメッセージをやりとりしてたら、やっぱりうまくいきます。でも、心がけてそうなっているのではなくて、自然とそうなる。相手の気持ちを深く察してみたり、自分の気持ちを伝えるのに言葉を尽くしたり。でも、ネットナンパが調子よくなってくると、やっぱりどこかで思いあがるんでしょう。どうせヤルだけなんだから、適当な言葉を並べておけばいいや、なんてことはこれっぽっちも考えて無くても、自然とそういうのが現れていたんだと思います。
ぶるう浪漫: つまり、ネットのモテ期は、運命のようなものではなく、自分で作っているものだと?
スケベガオ: そうなんです。きっと、顔が見えないからこそ、心を込めたやりとり、っていうのは、余計に大切なんだと思います。


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