ネットナンパ師“スケベガオ”の
今宵のベッドはキミと共に

【1】 出会い系の深い闇の中に、かすかな光明を見た?


 惨敗続きである。出会い系どころか、ちっとも出会えない。

 有料サイトなら運営もしっかりしてるだろうと登録したら、ポイントばかり消費して戦績はゼロ。「しっかり」ではなく「ちゃっかり」だったんだと思い知ることになった。
 あと一押しで「落ちる」と確信し、ポイントの追加購入もしばしば行ったが、メールでの会話は弾めど、なぜか会えない。カラクリ(サクラの存在)がわかればそれも当然のことなのだ。

 ならばサクラなど雇いようもない無料サイトが狙いだとばかり、チャレンジしてみる。
 ところが、「同時に自動登録される有料サイト」から使用料の請求は届くわ、女の子から来るメッセージは「他サイトへ誘導する」サクラばかりだわ、もう散々。

 ネット上には女の子が書いた出会い系での体験談が溢れてるのに、「どうして俺にはサクラしかまとわりつかね〜んだよ」

 実は、「出会い系で出会って」という体験談を書いている子も、多くがサクラなのだった。
 そもそもこの「エッチの森」の「体験告白」だって、「出会い系」で出会った、だなんて投稿、全体のごくわずか。リアルでちゃ〜んとそれなりの出会いをして、それなりの関係になってるっていうのが、ほとんどじゃね〜か。我ながら、気づくの、遅すぎ。

 さて。惨敗続きの私でありましたが、やがて勝機が訪れた。
 いや、勝機と言っていいのかどうか。
 なにしろ「ニックネーム:海、28歳、処女、焦っています」てな具合である。会ったはいいが最悪の事態に対面することになったらどうするんだと、自問自答。
 せっかくの据え膳なら食わねばならぬが、「これまで誰にも相手にされなかったような女に手を出そうだなんて、勝機どころか、正気じゃねえよ」なんてことも考えてしまう。

 彼女はこれまで、まともに男と付き合ったことがなく、女子大生の頃には定期的に会う男性はいたそうだが、フェラチオして口内発射までの仲だったのだという。う〜ん。少なくとも彼女に咥えさせる男がいるんだから、そんなに酷い女ではないかもしれないと萎みかけた気持ちを奮い立たせたが、じゃあ、そこまでやって何で最後までヤんないのかというと、ヤるに耐えないからではないのかとか、色々な思いが交錯して、もうわけがわからない。

 いやいや、仲が良かったというだけで、恋人というわけではなかったとのことだから、男だって遠慮したのかもしれない。ましてや、処女である。フェミニストな男性なら、さすがに奪ってしまうことに躊躇したとしても、やむをえん。
 しかしそれなら、チ○ポを咥えさせたっつーだけでも、罪だろうが……。

 しかしまあ、過去はどうでも、良い。よし、とにかく、覚悟を決めよう。

 とびっきりの美女が少数派であるのと同じように、どうしようもない女だって少数派なのだ。極度に太ってなければ、良しとしよう。太った女は生理的にダメなのだ。
 いざとなったら、口内発射だけ済ませて、とっとと逃げ帰ればそれで済む。
 腹をくくって、待ち合わせの日時場所を決めた。

 そして、当日。予想外の事態が僕を待ち受けていた。
 彼女は太ってもいないし、容姿もまずまず人並みだ。女性らしいきらびやかさは多少劣るが不満はない。まあ、男からチヤホヤされるタイプでは、確かにないかもしれないけれども……。

 でも、そんなことは、どうでもいい。
 では、何が問題かというと、彼女、とびっきりの無口なのだ。
 居酒屋よりもややランク上の創作料理店に入っても、オーダーに常人の5倍くらいの時間がかかるし、こちらが質問をしないと自分からは口を開かない。アルコールの効果もなく、ただ黙々と時間が過ぎていくのである。
 ホテルに誘うどころじゃない。この気詰まりな空気、どうする?(つづく)


ぶるう浪漫:今回から、ネットナンパ師を自ら豪語する、スケベガオ先生(すげー名前だな。スガシカオのパロディか?)に、自らの体験を元に、ネットナンパの極意を語っていただくことになりました。よろしくお願いいたします。
スケベガオ:よろしくお願いいたします。ていうか、別にネットナンパ師を豪語なんて、していませんが……。
ぶるう浪漫:まあ、その方が読者の目を引くかなと。それに、私から見たら、その体験を聞くだけで、ネットナンパ師だなと思ってしまうんですが。
スケベガオ:いや、男が欲望に素直になれば、これぐらい普通かな、と。
ぶるう浪漫:とはいえ、普通の男は、理性というものがあるじゃないですか。さすがに、ここまで手当たり次第だと、まずいんじゃないか、とか。
スケベガオ:……書くの、やめようかな。
ぶるう浪漫:もうしわけありません。……では、気を取り直して、インタビューです。今回はネットナンパ成功第一弾だそうですが、それまでにどれくらい惨敗して、有料サイトにどれくらいお金をつぎ込んだんですか?
スケベガオ:わっはっは……
ぶるう浪漫:なるほど、相当つぎ込んで、相当失敗されたようですね。
スケベガオ:何も言ってませんが……。
ぶるう浪漫:いや、その部分には触れられたくない、と、そう判断したものですから。
スケベガオ:その通りです。
ぶるう浪漫:しかし、それもこれも、ネットナンパ師として成功するための礎だったというわけですね?
スケベガオ:とんでもない。自分が愚かだっただけですね。気がつけば、簡単なことですし、最初から気づいて成功されてる方も多いと思いますよ。気づかないまま撤退して、「出会い系なんてどんでもねー!」と泣き叫んでいる人も多いとは思いますが。
ぶるう浪漫:では、その成功の秘訣とは、なんですか?
スケベガオ:それを語ったら、連載、終わっちゃいますよ。
ぶるう浪漫:じゃあ秘訣はまあ、おいおい、ということで。まずは初回らしく、プロフィールを教えて下さい。
スケベガオ:ええと、年齢は40代です。
ぶるう浪漫:わりと、いってますね。
スケベガオ:ほっといて下さい。
ぶるう浪漫:では、年齢のことはほっといて、ご職業は?
スケベガオ:普通のサラリーマンです。
ぶるう浪漫:ご結婚は?
スケベガオ:一応、してますけどね。
ぶるう浪漫:つまり、ネットナンパで女とヤリまくるというのは、アレですね。浮気というか、不倫というか。当然、奥様にバレないようになさっているんでしょうけれども、罪悪感とか、そういうのは、どうですか?
スケベガオ:いずれ、バレない浮気の方法とか、そういうのも語りたいとは思いますが、男が欲望に素直になれば、これが普通です。
ぶるう浪漫:なるほど、普通なのですね。よくわかりました。では、次回もよろしくお願いいたします。
スケベガオ:こちらこそ、よろしくお願いいたします。


←戻る  2へ→


メール ←クリックして全角文字「X」を削除してください。

戻る    写真はイメージ……つーか、広告です。